イランの議会・専門家会議選挙の意義と結果の分析
イランの人々は2016年2月26日、議会選挙と専門家会議選挙に参加しました。
この2つの選挙は大々的に行われ、現在、221議席が確定し、69議席が二次選挙で決まることになります。
第10期議会選挙は、イラン全国の3400万人が参加し、前回の選挙と比べて、投票者の数は400万人増えたことが明らかになりました。投票率は62%に達しています。この選挙の結果は多くの人にとって予想しないものとなり、これに関するさまざまな分析が提示されています。
イランのイスラム体制は、宗教的な民主主義に基づいています。この体制により、選挙はイランの憲法で高く位置づけられています。憲法の原則によれば、イスラム体制においては、国の運営は一般の人々の投票に依拠しています。イスラム体制の構造は、国民の投票によって安定しています。イスラム革命からこれまでの37年間、36回の選挙が、失敗や停止などなく行われてきました。イラン国民は毎回、熱意と動機を持ちながら投票所に足を運んできました。
イラン国民は、民主主義の実現、独立の享受のために、大きな代償を支払ってきました。このため、選挙の制度化は、イランにおける民主主義体制の政治的発展による成果の一部です。イランのイスラム体制が強調する事柄とは、人々が自分たちや社会の将来を決定する上での、国民の票による役割の強化なのです。イラン大統領選挙、議会選挙、専門家会議選挙の実施、また市や村の議会の結成は、イランの憲法が集団的な事柄を運営する上での、人々の参加を認めていることの重要性を示しているのです。
選挙では、常に、2つの原則が最も大きな重要性を帯びています。第1の原則は、選挙への参加で、もうひとつは人々が正しい選択を行い、善良で公正な候補者に票が投じられることです。今回の2つの選挙で示されたような選挙における大々的な参加は、常に票に基づく人々の役割を強化し、目覚めの度合いを上げ、集団的な政治が発展を遂げる要因となっています。
イスラム体制は民主主義体制のモデルのひとつとして、世界の人々に次の事柄を提示しています。それはイスラムの価値観を守り、体制の統治と合法性の最も重要な柱である人々の票を考慮することで、国の運営においてすべての政治的傾向や見解を反映させる機会を提供できるということです。このため、イランで行われる選挙では毎回、政党の見解や政治的傾向以上に、人々の選挙への参加の原則が重要視されています。
このため、選挙で当選する人物は、特定の側に所属するということはなく、すべての人に対して公約を果たします。実際、当選者とはすべての人々の代表であり、このため、候補者の評価基準は、国民の代表としての任期の終了時の業績となります。明らかにこの評価は、人々の票に直接反映されます。
最近行われた2つの選挙も、例外ではありません。この2つの選挙の結果は、人々にとって予期せぬもので、多くのアナリストは、さまざまな角度から分析し、見解の批評を行いました。一部のメディアでは、今回の選挙を政治的な点から、今期政権の勝利としました。また、一部のメディアは、今回の選挙はローハーニー政権の行動に対する国民投票だったとしています。
今回の選挙で、テヘラン選挙区の30議席を改革派が獲得したことは、ひとつの転換点とみなされています。たしかに、69議席の決定は二次選挙に持ち越しになりましたが、全体的に、議会の新たな構成は、改革派と保守派の2つがおよそ同数となりました。また、独立派の当選者も大変多くなっています。こうした中、このような議会の構成は、一部の専門家の見解では、今期政権の計画の実施のための業務を加速させることになるということです。今期の議会の業務は、第6次開発計画の検討から始まることになります。
第5期専門家会議選挙でも、議員の構成の点で変化がありました。現在、専門家会議議長をつとめているモハンマド・ヤズディ師と、メスバーフ・ヤズディ師の2名の代表的な議員は、今回の選挙で当選しませんでした。一部の有識者の見解によりますと、この変化は、特定のメッセージを持っているということです。しかし、まちがいなく、この最終地点は、特定の側の政治的な傾向から離れ、すべての国民の利益となるでしょう。つまり、この選挙戦とその結果で深まったものとは、国民と政治エリートの間の、効果的で建設的な協力なのです。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は今回の選挙を前に、以前と同じように、もし体制や最高指導者を認めなくても、選挙に参加すべきだ、なぜなら選挙は国民のものであり、イランとイスラム体制に属するものだからだという立場を強調しました。第10期議会も、問題に直面し、覇権主義勢力に対抗するなかで成功を収めることができるよう、こうした連帯を今まで以上に必要としています。覇権主義を嫌悪し、正義を求める心を持つことは、代表としての責任と義務を果たすなかでの創造力を示すこととあわせて、人々に対する奉仕により、この分野で成功を収める重要な条件のひとつなのです。
ハーメネイー師の体制責任者と国民、そしてこの選挙で当選した新たな議員に対するメッセージは、ハーメネイー師のこのような期待を物語っています。ハーメネイー師はこの選挙に際したメッセージの中で、イラン国民に感謝するとともに、体制責任者に対して、国民へのふさわしい感謝は誠実な奉仕にあるとし、イランの内から沸き起こる全面的な発展を、根本的な目標として強調しました。
ハーメネイー師は国の関係者に対するメッセージの一部で、国の発展は基本的な目標だとして、「独立と国民の栄誉を伴うことのない表面的な発展は受け入れられない」と強調しました。ハーメネイー師はまた、発展とは世界の覇権主義者と妥協し、吸収されることを意味しないとし、「国民の栄誉とアイデンティティの保持は、内的な発展を抜きにして成しえない」と語りました。
明らかに、この方向で歩みを進めることは、社会の政治的な意識を高め、より活発な議会を作り出す要因となるでしょう。核合意の後、イランの経済状況と人々の生活状況の改善は、最も重要な人々の要望となっています。イラン政府の経済計画を実施する法的な下地を作り出すことも、議会の重要な責務のひとつです。
ローハーニー大統領も、この選挙の後のメッセージで、これに基づき、人々に次のことを約束しています。それは政府が、当選した議員らに対して、互いに協力することでイランとイランの人々のために希望と栄光ある未来を築くことを確約させるというものです。
現在、選挙の結果が明確になるとともに、人々は当選した議員による公約の実現を待ち望んでいます。このため、イラン国民が彼らの今後の責任として重要視しているのは、その歩みが、人々の期待や権利を実現させるものとなることです。
明らかなのは、人々と体制の相互信頼が、共通のアプローチを強化し、脅威に対抗する体制の力を拡大する要因となるということです。このため、イランのイスラム体制は、健全であらゆる問題のない選挙の実施を重要視しています。こうして、イランは人々の決定が基準となる自由な選挙の開催に努力する中で、選挙における共通の動機を強化することができました。
今回の選挙におけるこのような競争の雰囲気が醸成されることで、人々は政治的な変化の中、良好な形で自らの役割を果たし、政治的エリートへの票を通じて、自身の決定的な地位を最高の形で明らかにしました。この大きな動きは、常に圧力に対する抵抗を伴っており、多くの有識者によれば、イランと他国の関係における大きな変化の要因となっているのです。