自動車産業
今回は、イランの自動車産業についてお話ししましょう。
自動車産業は、発展の指標の一つであり、世界の貿易の中でも重要な産業のひとつです。自動車産業は、他の60を超える産業と関係があるため、原動力、推進力となる産業として知られています。
自動車の製造には、金属、プラスチック、化学物質、繊維物質、ガラス、電子機器、電気、デザイン、管理、経済など、さまざまな技術が用いられています。
2016年、世界ではおよそ9500万台の自動車が生産されました。そのうち7000万台は乗用車、残りが商業用の車となっています。最も生産台数が多い国は、中国、アメリカ、日本となっています。
イランの自動車産業の歴史は、フォードの乗用車が初めて入ったときから始まりました。この自動車は、20世紀初めにベルギーから購入されましたが、排気ガスの量が多かったため、煙を吐く馬車として知られていました。
都市生活の拡大を受け、1920年から、イランの自動車の輸入が増加しました。当時、多くの自動車は、イギリス製とアメリカ製でした。1960年代初めに入ると、部品の組み立てによる外国企業との協力や民間部門により、イランにおける自動車産業の基礎が築かれました。
1979年のイスラム革命勝利前まで、イランで活動していた自動車製造会社は9社でした。その9社とは、イランホドロー、パールスホドロー、サイパ、ザームヤード、イランカーヴェ、モラッタブホドロー、レイランド・モーター、ハーヴァル産業グループ、バフマン自動車製造グループです。これらの会社の工場では、乗用車、トラック、マイクロバス、バス、オートバイ、ピックアップトラックが製造されていました。これらの会社で製造された自動車は、主に、ドイツ、イギリス、イタリア、日本の自動車製造会社のライセンス生産によるものでした。
イランに入った最初の自動車は、フォード製の車で、20世紀初めに、ガージャール朝のモザッファロッディーンシャーの指示により、ベルギーから購入されました。
イランの自動車産業は、イスラム革命後、根本的な変化を遂げ、組み立ての段階から、設計と製造の段階に達しました。イスラム革命後、イランの自動車産業は国営化が発表されました。1980年代にイラクがイランに対して仕掛けた戦争とそれによるさまざまな問題により、この産業は、新たな政策の発表にもかかわらず、大きく停滞しました。
イランイラク戦争が終わり、1992年から2003年にかけて、自動車産業は、輸入ではなく生産、自動車産業の自給自足政策、質や燃料消費量、汚染の削減、適正価格への注目といった戦略により、進められました。この産業の政策の次の段階は、輸出機会の拡大を目指した自動車産業の競争化でした。
自動車生産台数の10倍の増加、組み立てから生産までの自動車産業における変化、およそ40のモデルの乗用車と商業用の乗用車30種類以上の製造、アジア、アフリカ諸国、ベネズエラ、キューバといった国々への自動車の輸出が、およそ100年間のイランの自動車産業の活動の経歴となっています。この間、およそ2000万台の自動車がイランで売却され、そのうちの90%以上が国内で製造されました。
現在、イランの自動車産業分野では、25社以上の製造会社と1200以上の部品の製造や組み立て工場が活動を行っています。自動車関連会社で働く人の数は、イランの労働人口のおよそ10%です。2014年には、イランの自動車や部品の売上額が230億ドルに達し、そのうち部品の売り上げはおよそ50億ドルでした。2025年までに、イランの自動車産業の収入は、450億ドルから500億ドルに達すると見られています。
イランの自動車産業は、まだ好ましい状態には達していませんが、イスラム革命勝利後の制裁にも拘わらず、目覚ましい成功を収めています。近年の成功としては、国際規準にのっとった国産のエンジンの製造が挙げられます。
イランホドロー社で、天然ガス自動車・CNG車の国産エンジンの最初の生産ラインが稼働を開始したことは、自給自足における重要な一歩でした。これは世界初のCNG車のエンジンで、大量生産に至っています。このプロジェクトの開始により、イランはエンジンの生産国の仲間入りを果たしました。
自動車産業において提起されている問題のひとつは、燃料の種類です。地球の温暖化、気候の変動、世界の各都市における大気汚染の拡大、化石燃料の減少といった問題により、自動車産業の関係者は、燃料の消費量を抑え、汚染を減らし、化石燃料を合理的に使用するためにさまざまな方法を見出そうとしています。
そうした方法のひとつとして、これまでに、燃料の消費量を抑えるための新たなエンジンや近代的な技術による自動車の生産、設計が市場に紹介されています。電気自動車やハイブリッド自動車がその例です。
ハイブリッド車とは、少なくとも2種類の動力源が使用される自動車のことを指します。
2030年までに、世界で生産される自動車は、電気自動車かハイブリッド自動車になると言われています。
ハイブリッド車の歴史は、およそ100年前にさかのぼります。当時、電気自動車やハイブリッド車は、バッテリーの充電や重量、環境汚染といった一部の問題により、歓迎されませんでした。しかし、近年、世界の自動産業の研究施設によって、再び、これらの技術が注目を浴びるようになりました。
電気自動車やハイブリッド車の利点は、化石燃料による環境汚染が削減されることとエネルギー源が安価であることです。1996年から2006年の10年間で、電気自動車のバッテリーの価格は4分の1になりました。
イランの自動車製造会社も、このような重要な変化に注目しており、一部の設計者らが、この分野で活動を行っています。
12年前、オーストラリアのメルボルンで、アリアナ800という最大時速200キロの電気自動車が発表されました。オーストラリアのSBSテレビは、この自動車の生産者がイラン人だったことに触れ、正式に、世界初の電気自動車はイラン人によって開発、生産されたと発表しました。
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この他、電気自動車やハイブリッド車に関するイラン人の開発品に、地球の重力によって充電されるバッテリーがあります。このバッテリーは、電気自動車をはじめとする多くの機械や設備に利用することが可能です。化石燃料を使わずに、電気自動車に使用するため、220ワットの電力を生産することができます。
この機器の利点は、サイズが小さく、軽量であることで、電気自動車に設置できます。同時に、環境を汚染することもありません。また、自動車が動いている最中にバッテリーを充電することができ、充電のために停止する必要はありません。
この他、イラン人の研究者によって、電気オートバイのシステムや部品の開発が行われました。これについては、四輪のオートバイを挙げることができます。このオートバイは、3時間の充電により、時速80キロで200キロを走行します。このオートバイの最も重要な特徴は、環境を汚染しないことです。