2月 14, 2018 21:37 Asia/Tokyo
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    家具産業

この時間は、イランの家具産業についてお話しします。    

家具産業は、各国の経済開発につなげることができます。この数十年、家具産業は、世界中で、利益の高い小規模産業のひとつとされ、国際的な経済機関は、開発途上国にこの産業への投資を推奨しています。

 

家具産業は、世界の中小規模の産業の最も重要な部門のひとつであり、雇用を創出する力を持ち、早いリターンが望めます。中小企業は、この産業において最大の役割を果たしています。

 

イギリスでは、家具産業で活動する企業の90%以上が、従業員10人から50人の小規模企業となっています。イタリアでも、家具工場は小規模です。ヨーロッパの家具の輸出の20%を占めるデンマークでは、生産の点で、イギリスと同様の状況にあります。

 

家具の年間消費額は、開発途上国では223ドル、世界平均は64ドルです。家具産業の世界の生産額は、2015年、4000億ドルを超えました。家具の多様性などにより、その取り引き量が増えています。これは、世界の大きな家具市場の存在を物語っています。

 

2015年、家具産業の世界的な取り引き額は、およそ1500億ドルでした。この世界市場に占めるアジアの割合は30%で、その5分の1を中国が占めています。メキシコ、ドイツ、イタリア、アメリカは、この産業の上位にある国々です。この巨大な市場に加われば、その国の家具産業に大きな変化が生まれ、大きな収入を望むことができます。

家具産業

 

家具産業には、椅子やソファ、机やベッドなど、人間の活動を助ける道具が含まれています。

 

家具の材料は、時代によって異なっていました。歴史的な資料によれば、数千年前から、人間は、家具を作るために、石や木、金属などのさまざな材料を使用してきました。イランのタフテジャムシード・ペルセポリスやエジプトのピラミッドに残る石碑は、これらの社会の家具や椅子の存在を物語っています。

 

テヘラン南東部で1934年から36年にドイツの考古学者、シュミットが行った発掘調査により、西アジア最古の背もたれのない腰掛けが発見されました。

 

この腰掛けは、紀元前6000年期後半のもので、粘土と砂、わらを混ぜたものによって作られています。この腰掛けは、重さと強さの点で、人間の体重に耐えることのできるものとなっています。色は赤く、現在、イラン国立博物館の先史時代の歴史遺産のコーナーに展示されています。

 

新エラム時代の最も美しい彫刻作品は、ライオンの手の形をした四脚の腰掛けの存在を示しています。この芸術作品は、腰掛けに座る女性の姿を示しています。

 

ライオンの手の形をした脚のある腰掛けは、紀元前550年から330年のアケメネス朝時代の台座や椅子のデザインのひとつになっており、アケメネス朝がエラム朝時代の芸術作品の影響を受けていたことを示しています。

 

この他、イランでの考古学調査で発見された椅子には、紀元前2000年期のブロンズの椅子があります。これは、イラン北部のギーラーン州で発見されました。このブロンズの椅子の一部は、背の高い長方形の背もたれとシンプルな4本の脚があり、完全に現代のものと似ています。

家具産業

 

歴史的な建物の壁、道具、皿に見られる古代の模様は、イランの家具の製造やデザインが、古い歴史を有していることを物語っています。しかし、イランの美しい手織りじゅうたんの存在にもかかわらず、イランの家庭では、家具の利用はそれほど広まっておらず、主に貴族階級に使われていました。

 

この100年の間に、イランの家具産業は大きな成長を遂げ、人々の生活様式が変化したことから、家具が次第に人々の生活に入り込むようになり、現在、イランの絨毯とともに、イラン人の家庭を飾るものとなっています。

 

イランの市場の家具産業の規模は、50億ドルと見積もられています。この数字は、イランの年間の家具の消費量を物語っており、それは世界平均をわずかに上回っています。

 

イランの家具産業の中心は、中小企業で、イランの各地で活動を行っています。イランの家具は、主にこれらの企業によって製造されており、大企業の数はわずかです。

 

現在、イランでは、およそ5万の中小企業が家具産業の分野で活動しており、この分野の労働者の数は、11万7000人以上です。また、イランでは、200以上の家具製造工場が活動しています。

 

イランの家具産業の構造はネットワーク型になっており、一つの家具を製造し、製品を市場に提供するには、さまざまな部門がネットワークとなって活動しなければなりません。イランの労働力の大部分が、このネットワークの中で活躍しています。

 

イランの多くの都市に、家具の製造工場が存在します。その中でも、テヘラン、ゴム、マシュハド、タブリーズ、マランドといった一部の都市が、中心地となっています。

 

イランの家具は、業務用のデザインと現代的なデザイン、そしてクラシックなデザインの3種類に分けて製造されています。イランから輸出される家具は、主に業務用とクラシックなデザインの2種類です。イランで製造された家具は、イラク、アフガニスタン、中央アジア、ペルシャ湾岸のアラブ諸国などの近隣諸国の他、一部が、スペイン、アメリカ、オーストラリア、オーストリアにも輸出されています。

 

イランの家具の製造地の中でも、西部ハメダーン州の中心から85キロの場所にあるトゥイセルカーン行政区は、リターンの早い小規模な工場を支えにした家具製造の成功モデルとなっています。トゥイセルカーン行政区は、イランのクラシックなデザインの家具の製造の中心地として知られています。トゥイセルカーンが家具の製造の中心地となったのは、この行政区がクルミの木を有しているためです。

 

 

クラシックなデザインの家具の重要な特徴は、そのデザインの繊細さにあります。こういった家具のデザインは、伝統的な独自の芸術に由来し、その多くが、クルミ、ブナ、ハシバミ、イチョウの木でできていて、耐久性が強いものとなっています。

 

トゥイセルカーンには、4000か所を超える家具の製造工場があります。これらの工場では、非常に美しく高価な家具が製造されています。トゥイセルカーン行政区では、年間6万5000個以上の各種の家具が製造されています。

 

イランの家具産業は、その質や価格、独創的な人材の存在により、国際市場において明るい展望を有しています。イランの家具産業の5か年開発計画では、年間2億ドルの家具の輸出が目標とされています。この目標を達成するために、イランの家具関連産業協会は、近年、この産業の機能的な協力に向け、さまざまな土台を整えてきました。

 

展示会の開催、11か国の輸出先での常設店舗の創設、専門的な教育の基盤づくり、情報通信技術を利用するためのインフラの開発といったことが、この分野で行われてきた活動となっています。