2月 17, 2018 20:33 Asia/Tokyo
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今回は、イランの乳製品についてお話しましょう。   

たんぱく質は、人間の体に必要な栄養素のひとつです。FAO国連食糧農業機関は、一日に必要なたんぱく質の50%を、動物性たんぱく質から確保するよう奨めています。乳製品は、重要な動物性の摂取源であり、他の動物性たんぱく質に比べて値段が安いため、世界の家庭で普通に消費されています。先進国では、人々のカルシウムの85%が牛乳から確保されています。

 

人口の増加と生活水準の向上、生活習慣の改善と牛乳の消費量の増加により、牛乳の必要性はこれまで以上に感じられています。そのため、FAOの統計によれば、この30年の間に、各国の牛乳の生産量は50%以上増加し、1983年には5億トンだったのが、2013年には7億6900万トンに達しました。

乳製品

 

2011年のFAOの報告によれば、オーストラリア、アルゼンチン、ヨーロッパ諸国、キルギス、パキスタンの牛乳の年間消費量は、150キロ以上でした。また、西アジア、北アフリカ、南アフリカ、中南米諸国、カリブ海沿岸諸国は30キロから150キロ、南アジア、中央アフリカ、その他、東アジアや東南アジア諸国では、30キロ以下でした。

 

アメリカなどの国々では、大規模な工場で産業形態により、乳製品の生産が行われています。しかし、インドなどの国では、小さな飼育場で羊を育てることによって乳製品が作られており、その半分は、飼育場でその家族に消費されています。また、フランスなどのヨーロッパ諸国では、生産されたミルクのおよそ3分の1が、ヤギの乳となっています。

 

羊やヤギの乳は、必要な栄養素を確保できるだけでなく、治療の効果があることが分かっています。牛乳は、ラクトースが含まれているためにおなかの調子が悪くなることがあります。しかし、羊の乳にはそのような問題がありません。牛乳を原因とする消化器官の病気やアレルギーは、羊やヤギの乳を利用すればなくなります。

 

牛乳や乳製品の重要性により、世界のさまざまな国で、この製品の生産と消費を増やすための支援政策が実施されています。各国の政府は、乳製品の生産業者に助成金や補助金を給付するなどして、乳製品の生産量を増加しようと努めています。

 

この支援策は、消費者の利用を増やすため、乳製品の価格をコントロールする可能性を整えています。消費者を支援する政策のひとつは、小学校での牛乳の配布です。これは、イランをはじめとする世界の多くの国で実施されています。

小学校での牛乳の配布

 

統計によれば、イランの牛乳の生産量は、消費量を上回っています。2016年、イランでは、965万トンの牛乳が生産され、今年は1000万トン近くが生産され、さまざまな形に加工されると予想されています。

 

この5年間の乳製品の輸出に関するイランの貿易額は、平均しておよそ50億ドルでした。イランは昨年、100万トンの生乳を輸出しました。また、イランの乳製品の8%以上が、チーズ、生クリーム、ドゥーグと呼ばれるヨーグルトドリンク、ヨーグルトなどの30種類の加工品として、輸出されています。

 

加工乳の中でも特に輸出量が多いのは、ヨーグルトとドゥーグです。イランの税関の統計によれば、イランの乳製品は、主に、イラク、アフガニスタン、パキスタン、シリア、アラブ首長国連邦、グルジア、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、タジキスタンに輸出されています。2017年には、加工乳の輸出量は、10億ドルに達すると見られています。

キャシュク

 

加工乳のひとつに、キャシュクがあります。キャシュクは、ヨーグルトから作られます。ペルシャ語には、キャシュクに関する多くのことわざがあり、それはこの栄養価の高い食品が、昔から、イランの社会で生産され、利用されてきたことを示しています。キャシュクは、伝統的な方法により、ドゥーグや脂質のないヨーグルトから作られます。

 

キャシュクは、ヤギや牛の乳、あるいはそれらを混ぜたものから作られます。機械によって生産される液状のキャシュクは、直接、ミルクから作られます。一方で、伝統的な方法によって作られるキャシュクは、乾燥させたキャシュクを溶かして作られます。

 

キャシュクは、非常に栄養価の高い食品であり、カルシウム、脂質、塩分、タンパク質、ビタミンB3などが含まれています。キャシュクは100グラム当たり、およそ105キロから120キロカロリーで、人間の体に必要なエネルギーを確保する食品として、毎日の食事に取り入れることができます。

 

この他、代表的な加工乳はチーズです。チーズの生産工程では、大量の液状のクリームチーズが生産されますが、それらは主に、乳製品の生産企業によって、乾燥させたり、粉状にされたりします。粉状にする作業は経済的な損失であり、廃棄物の処理もまた、環境汚染を引き起こしています。

乳製品の生産企業

 

こうした中、イランのナレッジベース企業が、ナノテクノロジーを利用し、クリームチーズから、日量100リットルの乳清たんぱく質を生産することに成功しています。この乳清たんぱく質は、チーズの生産の価値を大幅に高めています。乳清たんぱく質は、さまざまな特徴により、さまざまな産業に利用されています。

 

近年、イランの乳製品生産工場は、質の高い製品を様々な国に輸出することができています。イランには、何百もの乳製品生産企業が存在しています。

 

イランの代表的な乳製品の生産企業のひとつが、ペガーです。ペガーは、中東最大の乳製品の生産会社で、牛乳、ヨーグルト、クリーム、バター、チーズ、ドゥーグ、アイスクリーム、フルーツジュース、キャシュクなどの製品を生産しています。

乳製品の生産企業・ペガー

 

この他、イランを代表する乳製品の生産企業は、カーレです。カーレは、1990年に設立されました。

 

カーレは、毎日2500トンの生乳から、160種類以上の乳製品を生産しています。これらは国内の市場の需要を満たしている他、その一部は、ヨーロッパ諸国をはじめとする海外に輸出されています。カーレの年間輸出額は、1億ドルにのぼります。

 

カーレは、2013年、イランの優良企業100社のひとつに選ばれました。カーレはイランの模範的な輸出業者であり、2015年、ヨーロッパの消費市場調査企業によって、世界で48番目の食品産業のブランドに選ばれました。

 

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