2月 21, 2018 18:46 Asia/Tokyo
  • イランのガス産業
    イランのガス産業

今回は、イランの天然ガス産業についてお話しします。

1970年代の初めから、さまざまなエネルギー資源の中で、天然ガスがエネルギーや経済の専門家の注目を集め、世界で使用されるエネルギーの主要な部分を占めるようになりました。人口の増加と、エネルギーに関する技術の進歩、消費市場の拡大が、天然ガスへの注目が高まった理由です。

 

この数十年、世界のエネルギー需要は、環境汚染の少ないエネルギーへと向かっています。天然ガスは、石炭や石油などの他の化石燃料に比べて汚染物質の排出が少なくなっています。天然ガスから得られるエネルギーは、原油に比べておよそ24%、石炭に比べて42%、温室効果ガスの排出量が少なくなっています。そして、この資源から生まれるエネルギーは、他の資源よりも多くなっています。

 

天然ガスは、発電に必要なエネルギーの中でも最も重要な資源の一つで、このクリーンなエネルギーへの需要が高まっています。調査により、2007年から2035年の間の発電における天然ガスの使用は、1.2%以上増加すると予想されています。

 

天然ガスは、汚染や投資費用が少ないこと、さまざまな用途に使用されることから、魅力的なエネルギー源となっています。調査によれば、2015年、世界では3兆5000億立方メートル以上の天然ガスが消費され、2000年に比べて41%増加しました。

 

イランのガス産業

 

天然ガスが発見されたのは、数千年前のことです。歴史的な資料によれば、中国人は、3000年前に地下300メートルから600メートルで天然ガスを採掘し、塩水を蒸発させるために使用していました。また、古代のイラン人は、石油や天然ガスを、原始的な方法で使用していました。

 

かつて、土壌の浸食や断層のずれ動きなどにより、地下の非常に浅い場所から石油があふれ、自然に発火する現象が生まれていました。ソレイマーン・モスクの近くにあるゾロアスター教寺院の廃墟は、ゾロアスター教徒が、拝火教寺院を保持するために、自然発火の減少を利用していたことを示す場所となっています。

 

メタンは、炭化水素の中でも、もっとも消費量が多く、単純な構造をしています。天然ガスは化石燃料の一種であり、他の化石燃料よりも環境汚染の危険が低く、再生利用が不可能なエネルギーの一つとなっています。

 

現在、天然ガスは、工場や家庭で最も一般的に消費されている燃料のひとつで、幅広く利用されています。今後数十年で、その利用は拡大すると予想されています。インペックスとBPの2017年版「BPエネルギー予測」と題する報告には、次のようにあります。

 

「2016年、世界の天然ガスの生産量は増加し、平均して3兆5000億立法メートルに達した。この数字は、2015年と比較して210億立方メートル増加した」

 

国際エネルギー機関の報告によれば、2016年、イランは1900億立方メートルの天然ガスを生産し、世界第3位でした。イランは世界最大の天然ガス埋蔵量を誇っています。

 

世界の天然ガスの埋蔵量188兆立法メートルのうち、イランの確認埋蔵量は、およそ34兆立方メートルです。これは、世界の天然ガス埋蔵量の18%、中東の埋蔵量の51%、OPEC石油輸出国機構の加盟国の埋蔵量の40%を占めています。

 

イラン国営ガス会社は、1966年に設立されました。この会社は、イランのエネルギー部門の全体政策に注目し、発展の中心、国民の福祉、産業の成長、環境の保護を達成するための天然ガスの合理的な利用を目標に計画を立てています。

 

イラン国営ガス会社の責務の一つは、工場、発電所、企業や家庭の燃料を確保することです。現在、イランでは、7万3000箇所以上の工場が、そのエネルギーをガスでまかなっています。また、農村の家庭の70%、都市の家庭の95%でガスが利用されています。

 

イランでは、日量8億立方メートル以上の天然ガスが生産されており、石油化学コンビナートや発電所、工場や家庭で使用されるだけでなく、近隣諸国や国際市場にも輸出されています。

 

2011年の統計によれば、イランでは、42か所以上のガス田と92か所のガスホルダーが登録されています。

 

現在、イランは、石油と天然ガスを合わせた埋蔵量で世界1位となっています。

 

南パールスガス田

 

イランは、数多くの油田とガス田を近隣諸国と共有しています。イランが共有する油田、ガス田28か所のうち、18か所が油田、4か所がガス田、残りの6か所は石油と天然ガスの両方を埋蔵しています。

 

イランが油田とガス田を共有している近隣諸国は、クウェート、カタール、アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラク、トルクメニスタンです。

 

南パールスガス田は、ペルシャ湾上のイランとカタールの国境に位置しています。この油田・ガス田は、地球上の人口の10%が消費するエネルギーをまかなうことができると言われています。

 

南パールスガス田は、9700平方キロメートルの面積を誇り、世界のガス埋蔵量全体のおよそ8%を占めています。そのうち3700平方キロメートルが、イランの領海に位置しており、イランの天然ガス埋蔵量のおよそ半分を占めています。

 

イランは、日量5億立方メートル以上の天然ガスを南パールスガス田から採掘しています。

 

イランの天然ガスは、パイプラインにより、またはLNG液化天然ガスとして輸出されているため、イランのガス輸出政策では、近隣諸国が優先になっています。

 

現在、トルクメニスタン、トルコ、アルメニアが、イランの天然ガスの主な輸出先であり、クウェート、アラブ首長国連邦、ジョージア、インド、アフガニスタンは、イランからのガスの輸入を求めています。

 

タグ