シーア派12代目イマーム・マハディの時代1
今回も前回の続きとして、現在はお隠れ中で、将来再び出現することが約束されている救世主の、シーア派12代目イマーム・マハディの時代についてお話することにいたしましょう。
前回お話したように、イマーム・マハディーによって打ち立てられる統治体制において、際立った役割を担うのは正義です。正義は、世界を支配する原則の1つであり、人間社会の礎でもあります。ある民族や社会が、正義の確立のための一歩を踏み出せば、実際に創造世界の体制と歩調が合い、それは定着します。逆に、正義なくしては社会体制は崩壊してしまいます。
全人類が正義を渇望していることから、いつの日か神のお告げにより救世主が出現し、人類のこうした現実的なニーズに応え、全世界に正義が広がることになります。
真実や不変の真理を求め、清らかで成熟した人格を持つ人々は、正義を歓迎します。このため、イマーム・マハディーの隆盛な統治時代においては、人々は法律やその実行者を恐れて圧制や暴虐、侵略を回避するのではなく、自ら進んで意欲的に正義を認知することでそれらの行為を避けるようになります。それは、正義がもたらす多大な効果のほどを認識しているからです。
また、イマーム・マハディーの時代には正義が広くあまねく普及し、人々から剥奪されていた権利が彼らに返され、圧制者がその責任を問われることになります。これについて、シーア派5代目イマーム・バーゲルは、次のように述べています。
“イマーム・マハディーの治世には、人々の権利の遵守や富の差別なき分配という意味での正義と平等が、完全に実施されるであろう”
イマーム・マハディーが統治する黄金時代においては、人類社会の経済問題は大幅に改善されます。また、物理的な可能性や投資が増大し、経済が恒常的に発展する一方で、そうした可能性が公平に分配されます。すなわち、経済関係における平等とバランスが確立し、これにより人々の間では吝嗇や、今以上の物を求める欲望は影を潜めます。
イマーム・マハディーは、一部の権力者や大富豪が違法な手段により横領した富や財産を、彼らから取り返してこれらを社会の福祉と平穏のために活用し、また抑圧されたり、貧困状態にある人々に、しかるべき権利を与えます。
イマーム・マハディの公正な措置は、貧困や抑圧を根絶し、経済の繁栄をもたらす上で特別な役割を果たします。この救世主による経済政策のもとでは、階層の格差がなくなり、貧困が撲滅されるとともに、公共の福祉と平穏が確立する下地が整います。これについて、イマーム・バーゲルは次のように述べています。
“イマーム・マハディは年に2回、人々に富を与える。これにより、人々による任意の寄付は必要なくなる。寄付をする人々は、金品を、それを必要とする人のところに持っていくが、彼らはそれを受け取らず、自分たちはあなた方の金銭を必要としていない、と告げる”
正義という樹木の結実は、経済の繁栄です。実際に、正義が広まる事で経済が発展し、人々が他人からの経済的な支援を必要としなくなるための下地が出来上がります。これについて、シーア派6代目イマーム・サーデグは、次のように述べています。
“人々は、自らの間に正義が広まるときには、他からの支援を必要としなくなる”
イマーム・マハディーが形成する発展した理想の社会では、生産物は豊富に存在し、すべての人々に行き渡ります。安価な品物やサービスが豊富に存在することで、公共の福祉が実現し、経済活動の安全性も高まります。
このような公明正大な統治体制におけるもう1つの原則は、消費のバランスがとれていることです。イスラムの見解では、経済が発展していても消費のバランスが取れていない社会では、経済面での平等は実現しないと考えられています。この点から、行過ぎた消費志向や物質的なニーズを満たす上で歯止めがきかないことにより、階層格差が拡大することになります。
イマーム・マハディーが治める理想の社会では、本当に必要なものとそうでないニーズが改めて識別されます。このため、人々は浪費に走らないよう外部から監視される必要もなく、自ずから浪費を回避するようになります。このため、こうした社会では、贅沢趣向や浪費といった現象はまったく見られません。
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