今年度のイランの外交
イランは、今年度、地域情勢、国際体制に大いに関与し、地域、世界の平和と安定を脅かす脅威に対抗する中で、影響力ある役割を示しました。イランは、中東地域の戦略的な地位を有しており、積極的な役割を拡大することで、非同盟諸国の中で、そして、国際会合の中で、地域の危機を解決する支援を行おうとしてきました。
シリア危機を解決する中でのイランの影響力は、ロシア、トルコとともに、カザフスタン・アスタナの和平協議の中で発揮され、中東地域における平和と安定の下地を強化することにつながりました。地域と世界の危機に対するイランの基本的な政策とは、常に平和と治安の支持となっています。
イランの見解では、占領者、侵略者であるシオニスト政権イスラエルは、常に地域の暴力の要因となっており、イランは多くの国際会議で、そのさまざまな側面を世界の人々に伝えてきました。イランは地域諸国の分割化に反対であり、対立や問題の解消のため、外交という方法に訴えています。
この中で、イランはトルコ、パキスタン、イラクといった近隣諸国との地域協力を拡大するとともに、特にオマーン、クウェートといった国とは、イラン暦の今年、地域における安全保障協力を拡大しようと試みました。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、これに関して、体制責任者や第30回イスラム統一会議のゲスト、イスラム諸国の大使らとの会談の中で、拡大しつつあるイスラム教徒の弱体化と分裂に向けた覇権主義的な努力に触れ、次のように語りました。
「イスラム世界は今日、多くの大きな苦しみを受けており、イスラムの多くの共通点によって生まれる連帯、協力、そして宗派的・思想的対立の解消は、この問題と苦しみの解決法となる」
ハーメネイー師はまた、「イスラム諸国の国民と政府が連帯すれば、アメリカやシオニスト政権はイスラム教徒に要求を押し付ける力を失うことになり、彼らのパレスチナ問題を忘れさせる陰謀は失敗に終わることになる」と語りました。
さらに、東南アジアのミャンマーから西アフリカのナイジェリアにいたるまでの地域におけるイスラム教徒に対する攻撃と虐殺や、西アジアにおける重要な地域のイスラム教徒の衝突は、覇権主義者の分離主義的な陰謀の結果だとして、次のように語りました。
「このような事態において、イギリスのシーア派とアメリカのスンニ派がはさみの2つの刃のように、対立や騒乱、戦火を引き起こしている」
イランは、建設的な調和により、テロなどの共通の脅威に対抗できる、と考えています。過激派の威嚇と、外国の干渉によって西アジア地域の情勢不安が日々高まっていることから、集団安全保障体制の構築は必須のものとなっています。それは、イランが構築しようとしているものなのです。
イランはその戦略的な原則に基づいて、常に世界の平和と安全保障を全面的に求めてきました。イランは積極的な役割を果たす、独立国としての政策の中で、地域協力や国際協力を行っています。イランの平和を求める本質や役割、そしてイランの外交政策におけるその原則の実施により、イランは今年度、世界の安全と平和の実現に向けて積極的な進出を果たしました。
イランはこの原則に基づき、イエメンなどの地域の危機に対して、また、ミャンマーのロヒンギャ族のイスラム教徒の問題解決を支援するため、国際会議において責任ある役割を果たしてきました。
大量破壊兵器の廃絶に関しても、イランは今年度、積極的に努力してきました。イランは化学兵器禁止機関に加盟した当初から、基本的な原則に基づき、1992年の化学兵器禁止条約の締結と化学兵器禁止機関の設立において積極的に、加盟国として参加しました。
イランのこの分野における積極的な活動により、昨年5月、化学兵器禁止機関の常駐代表を務めるオランダ駐在のジャハーンギーリー・イラン大使が、この機関の非公開の会合で、非公開の委員会の合意により、このグループの責任者を担当することになりました。この努力や役割は、世界の安全に向けた一連の努力のひとつであり、世界は戦争や大量破壊兵器の使用が行われるべき場所ではないのです。
イランは今年度、イスラム協力機構の議会連盟の会合の開催国となりました。イラン議会の調査機構の会長を努めるカーゼム・ジャラーリー議員は、次のように語っています。
「今日、イスラム世界は、テロの問題に直面しており、議会連盟が現状において、ISISなどのテロ組織に断固とした立場をとることにより、声明や立場表明がより大きな影響力を伴うことになる。」
このような見解から、テヘランで開催されたイスラム協力機構の議会連盟の会合にはアジア・アフリカ諸国41カ国の代表が参加しました。イランは、この分野におけるイスラム諸国の議会の交流が、イスラム諸国に強いられた危機の解決に向けて、集団の努力を強化すると考えます。
イランの立場とは、中東の包括的で公正な平和は、パレスチナの占領を終わらせ、パレスチナ国民の完全な権利を実現する以外に確立することができないというものです。その権利とは、自国の将来の決定、難民の祖国への帰還、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒を含む全てのパレスチナ人の住民投票によるベイトルモガッダス・エルサレムにおける挙国一致政府の樹立といったものなのです。
イランはこの分野で、イスラム世界の優先事項として、抑圧されたパレスチナ国民の権利擁護を強調し、パレスチナ国民のインティファーダを支持する国際会議をテヘランで開催しました。この会議には80以上の代表団と700人の外国人の賓客が参加しました。
イラン暦の今年の地域情勢は、シオニストが世界の人々に、パレスチナ人は難民であり、どこの土地にも属することなく生涯を送るべきだと考えさせようとしていることを示しており、、抵抗をテロに変え、支配と和平を通常化するために長年の努力を行っているのは、まさにこのためなのです。
イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、イスラム諸国議会会合の参加者との会談で、パレスチナ問題はイスラム世界の最も重要な問題だとされるとして、このように強調しました。
「シオニスト政権イスラエルへの対抗は無益だと考えるべきではなく、神の恩恵により、シオニスト政権に立ち向かう戦士たちは成果を出している。前の年に比べて、抵抗運動が前進しているように」
ハーメネイー師は、この議会会合でミャンマーとカシミールの問題、そしてイエメンやバーレーンの大変重要な問題が無視されていることに触れ、次のように語りました。
「主にシオニストによって運営されている西側の危険なプロパガンダ機関が、イスラム世界の重要な問題を見過ごし、沈黙と言う陰謀によって、イスラム共同体の主要な問題が消されるのを許してはならない」
中東問題の専門家のザーレイー氏は、ベイトルモガッダスに関するアメリカの行動を分析し、次のように語っています。
「今日われわれが国際・地域レベルで目にしているものは、シオニスト政権の要請にしたがってパレスチナ問題を終わらせようとするアメリカなどの国の性急な行動だ。これは、抵抗戦線の一連の勝利が、イスラム世界の重要な部分をアメリカやシオニスト政権、その地域の同盟国の支配から解放することができた中で行われている」
ハーメネイー師はパレスチナ問題における歴史的な3つの事件、つまり土地の占領、数百万の人々の集団的な追放、虐殺と人道的な犯罪に触れました。これは大きな歴史的な抑圧に関する証拠があることとは別に、占領者に対する、イスラム世界に課された、忘れられた責務を思い起こすものです。イランは世界各国に対して、どのような状況でも、このような責務を放棄しないことを示したのです。