ノガン
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ノガン
今回は、山七面鳥とも呼ばれるノガンについてご紹介することにいたしましょう。
ノガンは、イランを代表する野鳥の１つですが、近年においては自然界での生息場所が限られてきたことや乱獲、生息環境や産卵形態の乱れなどから絶滅の危機にさらされています。この野鳥は、世界でも非常に稀であり、国際自然保護連合が定める「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」に掲載されています。
ノガンは、美しく大きな体格を有し、七面鳥によく似ています。体の長さは１メートル、体重は１６キロにも及びます。背中に生えている羽毛は赤褐色で、黒い横縞が入っており、腹部は完全に白くなっています。また、強く長い足を持ち、指は３本あります。この強靭な足は、ノガンがあまり空中を飛ばないことから極めて重要なものとなっています。
ノガンのオスとメスは、互いに類似していますが、オスの方が体格が大きくなっています。成熟したノガンのオスは、胸の部分が機褐色になっており、顔面には両側に向かってヒゲのような羽毛が見られます。ノガンは雑食性ですが、主に草花のつぼみや新芽、種子や葉を食べます。
ノガンは、小麦やヒヨコマメ、アルファルファの畑などの畑作地に多く生息しています。産卵期である春が到来すると、こうした畑の茂みの中に巣を作り、また秋と冬の収穫を終えた畑作地でも見られます。
この野鳥は、知能が非常に高く、人間に簡単に捕獲されることはありません。また、非常に神経の細かい野鳥でもあり、生息場所に少しでも変化が生じるとそれまでの住処を捨てて他の場所に移住します。また、非常に用心深く、危険が迫ってきた場合には空中を飛行できるにもかかわらず、走って身を隠します。
ノガンは、冬の終わりから春の初めにかけて、温かい陽気になり昼が長くなり始めることに交尾します。オスは、メスをひきつけるために翼を広げ、尻尾を傘のように広げて、求愛行動を行います。このとき、オスは力と愛情を誇示してより多くのメスをひきつけようとします。ノガンは、複数の配偶者と交尾し、オスは自らの力の大きさに合わせて、縄張りや配偶者を決定します。
ノガンのメスは２歳から３歳で、オスは４歳から５歳で成熟し、産卵する時期は春の中ごろです。メスは普通、１回に２個から４個の卵を産みます。これらの卵は灰色で、大きな褐色の斑点があります。卵の大きさは、およそ１５０グラムで、およそ２５日から２７日でヒナがかえります。オスは、交尾した後はヒナを育てる上ではほとんど役割を果たさず、ヒナたちは孵化した後はしばらく、母親のもとで生活します。
世界でノガンの生息する地域は、西はスペインのイベリア半島から、東は中国までの広範囲にわたります。しかし、生息環境や安全面での状況が好ましくないことから、これまでに個体数が激減し、現在では絶滅の危機にさらされています・
専門家の見解では、ノガンは１９世紀の間にイギリス、スウェーデン、デンマーク、フランスで絶滅したと考えられています。２０世紀に入ってからも、東ヨーロッパでこの状況が続き、その結果ポーランドや旧ユーゴスラビアに生息していたノガンが絶滅しました。このため、現在ではヨーロッパ全域のうちノガンが生息しているのはポルトガル、スペイン、ハンガリー、ロシアのわずかに４箇所のみとなっています。しかし、これらの国に生息するノガンは比較的好ましい状況にあり、今後この野鳥が絶滅をまぬがれる可能性もでてきています。
イランにおけるノガンの生息地は、主に西部と北西部となっており、特に北西部の西アーザルバージャーン州ブーカーン行政区にある生息地では、生殖が行われるほか、ノガンが冬を過ごす場所となっています。現在、ブーカーン行政区はノガンの最後の砦とも言われ、ノガンはこの行政区の天然記念物とされているほか、この地域を訪れる観光客の注目を集める存在とされています。
イランでノガンの生存を脅かしている主な原因は乱獲、生息地の破壊、農業の機械化などとされており、この数十年でノガンの個体数が激減しています。このことは、自然環境保護を訴える人々の懸念を引き起こしていますが、その中でもブーカーン行政区の環境保護局の関係者が、この地域にイランのこの珍しい野鳥のための安全な住処を設けようと努力しています。
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