戦場の写真 (音声)
かつて、一枚の写真が何千もの言葉を語ると言われていました。この時間は、戦場の写真についてお話しましょう。
写真の歴史の中で、多くのカメラマンやジャーナリストだけでなく、普通の人々でさえ、世界に衝撃を与えるような写真を撮影してきました。公開後に、世界の世論や政治家に衝撃を与え、歴史を変えてきた写真も、決して少なくはありません。
報道カメラマンは、当初は事件の様子を撮影するだけの役割を担っていましたが、その重要な任務は、発行部数を増やすために衝撃的な写真を用意することです。そのため、常に、報道機関や雑誌の編集長の商業的な趣向が、報道写真に影響を及ぼしてきました。
戦場の写真も、こうした報道写真のジャンルのひとつで、戦場カメラマンは、紛争中の地域の人々の生活や衝突を記録します。戦場カメラマンは、文章では伝えられない戦争の悲劇の深さを伝えます。それは、戦場だけではない可能性もあります。戦争によって破壊された場所や苦しい生活を送る人々の様子、疲弊した兵士、悲しそうな子供の様子である場合もあります。
戦場での報道カメラマンは、常に、出来事をドラマチックに見せようと努めます。欧州安全保障協力機構のメディアの自由に関する専門家のドーブ氏は、湾岸戦争の一枚一枚の写真は、続きを見ずにはいられないテレビドラマのようだったとし、メディアはそれを、読者や視聴者の増加と広告収入の拡大のために利用するとしています。
このように、時の経過と共に、戦争や貧困をなくそうとするカメラマンの動機や使命は、メディアの発達と共に、見世物としての要素が強くなっています。
イラン・イラク戦争の写真とそのカメラマンに関しては、多くのことが語られてきました。しかし、未だに十分に語られたとは言えません。1980年代、イラクのサッダームフセイン政権によるイランへの攻撃とイラン国民の防衛に関しては、衝撃的な写真が残されています。これらの写真は、多くが、この不平等な戦争の事実を示すためのものでした。これらの写真は、実際、西側メディアのイラン国民に対する攻撃を否定しようとするものだったのです。
イランイラク戦争が終わってから30年近くが過ぎようとしています。聖なる防衛と革命カメラマン協会のサイトによれば、これまでに、この当時の220万枚を超える写真が集められています。それらの写真は、前線のものから、戦争によって被害を受けた普通の人々の生活を扱ったものまでさまざまであり、戦争の悲劇の深さを物語っています。
マフディ・モンエム氏は、戦争の犠牲者の写真により、それまでとは異なる形で、8年に及ぶイランイラク戦争による結果を発表した最初のカメラマンのひとりです。彼は、フリーカメラマンで、これまで、「戦争の犠牲者」と、「希望の奇跡」というタイトルの2つの作品集を出版しています。戦争の犠牲者には、戦後、地雷の爆発によって負傷した人々の写真も掲載されています。
国際機関の統計によれば、世界各地に、1億個を超える地雷が埋められているということです。こうした中、その数はさらに増えています。アフガニスタン、ボスニア、カンボジア、モザンビークの4カ国で行われた調査によれば、これらの国の人々の多くが、日々の活動の中で、埋められた地雷に遭遇しているということです。
イランの地雷の爆発による犠牲者は、主に、民間人、農村や国境に住む人々、子供や遊牧民です。負傷者の3分の1以上が、体の一部を失っています。その割合は、特に子供の間で多くなっています。
この数年、紛争地の写真は、大国によるテロリストへの支援と地域での衝突の増加により、増えています。2015年に最も有名になった子供の写真は、トルコの沿岸で見つかった難民の幼い子供の姿でしょう。この写真は、ヨーロッパの難民問題を示し、世界の人々を悲しませました。この年に住む家を離れざるを得なくなった人々の数は、第二次世界大戦後、最高だったと言われています。
ヨーロッパに移住しようとする人々の多くは、暴力や恐怖から逃れた人々です。2015年には、そのうちの半数が、シリア人でした。ロンドンに本部を置くNGO、シリア人権監視団は、2011年3月半ばから現在までに、少なくとも35万人が、シリアの内戦の中で命を落としたと報告しています。ユニセフなどの国際機関も、さまざまな写真を発表し、この状況の継続に警告を発しています。インターネットを開けば、すぐに、これらの子供の状況に関する何枚もの写真や映像を目にすることができるでしょう。
イエメンでも、サウジアラビアが主導する攻撃により、これまでに1万人以上が死亡し、コレラなどの病気の蔓延や飢餓が広がっています。
3年に及ぶイエメン戦争により、この国は大きな被害を蒙りました。イエメンの首都サヌアからの報告によれば、この戦争から1000日目、死者の数は1万3603人にのぼりました。そのうち子供が2887人、女性は2027人でした。また、この攻撃が始まってから33ヶ月の間に、265万人のイエメン人が難民となり、インフラが破壊されました。赤十字国際委員会の発表によれば、イエメン人の80%が、現在、飲料水、食料、燃料、医薬品を手に入れることができていません。
ユニセフは、「イエメンの200万人の子供が栄養不良に陥っている」と発表しています。イエメンでは10分に1人の割合で、子供が病気や栄養不良によって命を落としています。メディアではほぼ毎日、イエメンで起きている悲劇の画像や映像が発表されています。
5月14日、アメリカ大使館が、ベイトルモガッダス・エルサレムに移転されました。また、ベイトルモガッダスをシオニスト政権イスラエルの首都に認定したアメリカの決定は、国際法に反するものです。これはまた、国連や安保理の決議への違反でもあります。
この決定は、世界のイスラム教徒の抗議やパレスチナ人の怒りを招きました。パレスチナ人の大規模な抗議に対し、シオニスト政権軍も軍事力を強化し、ガザの国境やヨルダン川西岸での措置を拡大しました。
何年も前から、パレスチナ人の状況と、シオニスト政権による圧制を物語る写真が発表されてきました。最近のパレスチナ人の抗議についても、多くの写真が公表され、車椅子に乗って占領者に抗議する若者の写真は、最も多くの人に注目されました。このパレスチナ人の若者は、2008年、19歳だった頃に、シオニスト政権によるガザへの爆撃で両足を失いました。彼はそれから10年後にシオニスト政権の銃撃を受け殉教しました。
これらの写真を目にし、私たちの周辺で起こっていることについて、考えてみましょう。このような戦争が起こっている傍らで、何も考えずに暮らすことができるでしょうか?カメラマンは、世界で起こっている事柄に対して人々の良心を目覚めさせようとしています。それらの写真を、改めて、注意深く見てみましょう。