6月 24, 2018 22:10 Asia/Tokyo
  • コーラン第93章アッ・ゾハー章朝、第5節
    コーラン第93章アッ・ゾハー章朝、第5節

今回は、コーラン第93章アッ・ゾハー章朝についてお話しましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

アッ・ゾハー章はメッカで下され、全部で11節あります。

 

アッ・ゾハー章では、神の啓示が一時的に中断したときの出来事、現世と来世での預言者に対する神の恩恵、いくつかの重要な道徳的、社会的な指示が述べられています。

 

この章が下されたときのことについて、イブン・アッバースは次のように語っています。「15日が過ぎ、神の啓示が預言者に下されなかった。多神教徒たちは、“ムハンマドの主は彼を見捨てた。もし彼の任務が神からのものだというのが本当であったなら、啓示は常に彼のもとに下されていたはずだ”と言った」

 

アッ・ゾハー章の初めにも、2つの誓いが出てきます。「朝に誓って」とは、光に誓うことを意味し、「夜に誓って」とは、闇に誓うことを意味します。

 

ゾハーとは、一日の始まりの時間を指します。太陽が空に昇り、その光が全ての場所を覆いつくすときであり、実際、この時間は一日のうちで最高の時間です。またサジャーとは、元来、静寂と静けさを意味する言葉です。夜になると辺りは静寂に包まれ、人間に日中の活動や努力への備えをさせる時間であり、その点で非常に重要な恩恵であることから、誓いを立てるのにふさわしいと言えます。

 

アッ・ゾハー章は、この2つの誓いによって、神はいかなるときも汝を見捨てたりはしないという吉報を預言者に与えています。その後、預言者を慰め、神の啓示が遅れることがあっても、それは善を考えてのことであり、敵が言うように、神が預言者に対して怒りを抱いていたり、預言者のことを見捨てようとしたためではないとしています。それどころか神は、常に預言者に特別な支援と恩恵をさずけ、現世で敵に勝利させ、彼の宗教が世界的なものとなるとともに、来世でも、最大の恩恵に授かれるようにしています。たとえば、預言者ムハンマドが、最後の神の預言者、人類世界の指導者として、共同体に関する調停を神によって認められることです。

 

アッ・ゾハー章はその後、預言者に対する神の恩恵を述べています。第6節から8節を見てみましょう。

 

「神は汝を孤児だった状態で見つけ、保護を与えた。また汝を迷った状態で見つけ、導いた。また汝を貧しい人間として見つけ、汝を満たした」

 

イスラムの預言者ムハンマドがまだ母親の胎内にいた頃に、彼の父親が亡くなりました。また、預言者が6歳のときに母親が亡くなり、8歳のときには、彼を育ててくれていた祖父が亡くなりました。こうしてその後、預言者はおじのアブーターリブに預けられました。

 

ムハンマドは預言者としての使命を授かるまで、迷信、無知、腐敗、圧制、多神教信仰、不信心が広まっていた社会の中にいましたが、それらに穢れることはありませんでした。唯一の神は、預言者に自分への崇拝を呼びかけ、預言者もまた、神に対し、人々の救済を求めました。預言者ムハンマドはハラーの洞窟に避難し、夜は一人で過ごし、考えにふけっていました。そんなあるとき、ハラーの洞窟の真ん中に啓示の光が差し込み、預言者ムハンマドを真理へと導きました。経済の点でも、預言者ムハンマドが父親から遺産として相続したのは、メスのラクダだけでした。そのため神は預言者に、妻のハディージャの富と商売による利益を与えました。

 

アッ・ゾハー章の終盤の節は、いくつかの指示を与えると共に、預言者に対し、次のように語りかけています。

 

「あなた自身も孤児で、孤児の痛みを味わった。だから、孤児を見捨ててはならない。あなたは貧しい人間であった。貧困の苦しみを味わったことがある。だから貧しい人を遠ざけてはならない。あなたは、貧困の苦しみを味わった後、神の寛容さを経験した。そして、神の慈悲と寛容さの価値を知っている。だから神の恩恵に感謝し、常にその恩恵のことを思い起こしなさい。そして人々にそれを隠してはならない」

 

 

 

タグ