6月 28, 2018 21:54 Asia/Tokyo
  • コーラン第111章アル・マサド章ナツメヤシの木の繊維
    コーラン第111章アル・マサド章ナツメヤシの木の繊維

今回は、コーラン第111章アル・マサド章ナツメヤシの木の繊維をお送りします。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

アル・マサド章の名前、アル・マサドにあるマサドとは、ナツメヤシの木の繊維のことです。この章はこの他、アブーラハブとも呼ばれています。アル・マサド章は預言者がメディナに移住する前にメッカで下され、全部で5節あります。

 

アル・マサド章は、預言者が公然と人々の導きを始めた初期に下され、当時のイスラムと預言者の敵の一人であるアブーラハブを強く攻撃している唯一の章になっています。この章の内容は、アブーラハブが、預言者に強く敵対していたことを示しています。アブーラハブと彼の妻は、預言者に対してあらゆる妨害を行い、誹謗中傷や非難を浴びせました。この章は、アブーラハブと彼の妻の悪しき結末を明らかにしています。

 

 

「慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

アブーラハブの両手が断ち切られるように。彼に死を。彼の財産と彼が蓄えたものは、彼の状態の役には立たなかった。まもなく、燃え盛る業火の中に入るだろう。また彼の妻はその薪を燃やし、首にはナツメヤシの繊維でできた縄を巻いている」

 

アブーラハブは、預言者ムハンマドのおじであり、メッカの貴族の出身でした。彼は預言者が神から遣わされた当初から、預言者の最大の敵の一人でした。アブーラハブは預言者を嘘つきと呼び、他の多神教徒以上に、彼に嫌がらせを加えました。

 

ある日、預言者は、メッカの近くのサファーの山の上に行き、こう叫びました。「重大な知らせがある」 メッカの人々は、この声を聞いて、叫んでいるのがムハンマドだと聞くと、彼のもとに行きました。預言者は言いました。「もしあなた方に今日の夕方か明日の朝、敵の軍勢がこの山のそばからあなた方を攻撃するだろうと知らせたら、あなた方は私の言っていることを信じるだろうか?」 人々は言いました。「私たちはあなたの口から、一度も嘘を聞いたことがない」 そこで預言者は言いました。「私はあなた方に、神の厳しい責め苦について明らかにし、恐れさせる」

 

アブーラハブは言いました。「私があなたの宗教を受け入れたら、他のイスラム教徒に対してどのような特典がつきますか?」 すると神の預言者は言いました。「私の宗教を受け入れたら、イスラム教徒の一員となるが、いかなる特典も得ることはない。なぜなら私の宗教は、平等と同胞の宗教であるからだ。神の宗教においては、すべての人が平等である」 アブーラハブは神の預言者の言葉を聞いて腹を立て、暴言を浴びせました。「あなたが滅びるように。またこのような宗教が滅びるように」

 

アル・マサド章は、アブーラハブのこのような言葉に対してくだされました。そして、彼の言葉を彼自身に返し、「アブーラハブの両手が断ち切られるように、彼に死を」と言っています。

 

アブーラハブは常に、影のようにして預言者のあとをついて行きました。預言者ムハンマドがある部族をイスラムへといざなったとき、アブーラハブはただちにイスラムに反する宣伝を行い、このように言いました。「彼はあなた方が偶像を捨てることを望んでいる。彼はあなた方を道に迷わせようとしている。彼の言葉に決して耳を傾けてはならない」

 

アブーラハブは、いかなるときも、神の預言者への反対から手を引くことはなく、あらゆる妨害を行いました。彼は酷い言葉を使い、その点で、預言者のほかのどの敵よりも優れていました。このことから、アル・マサド章の節は、彼とその妻をこれほどはっきりと批判しているのです。

 

ターリク・モハーレビーという名の人物は、次のように語っています。「私が、メッカから少し離れたアラファトの近くの市場にいると、突然、大きな声で叫ぶ男性を目にした。彼はこのように言っていた。『人々よ、救われるために、アッラー以外に神はいないと言いなさい』 そのとき、その男性のかかとに向かって後ろから石を投げている人物を見た。男性のかかとからは血が流れていたが、石を投げている人物は、投げながら、“この男は嘘つきだ、彼の言うことを信じてはならない”と言っていた。私がその若者は誰かと尋ねてみると、彼らは言った。『彼はムハンマドであり、自分は預言者だと主張している。そしてその老人は、ムハンマドのおじのアブーラハブであり、ムハンマドを嘘つきと呼んでいる』」

 

コーランは、アブーラハブとその妻について、次のように語っています。「2人とも地獄の住人である」

 

アブーラハブの妻は、ウマイヤ族の人間で、アブーソフィヤーンの姉妹でした。この女性は、神の預言者に嫌がらせをするため、とげのある植物を集め、夜にそれを運んで、預言者の通り道に置いていたと言われています。コーランは次のように語っています。「彼は最後の審判の日にも、それと同じ姿で、首には縄を巻き、薪を背中に背負って地獄の業火の中に入る」