6月 30, 2018 21:56 Asia/Tokyo
  • コーランの洞窟の民の物語を引用したイラン映画
    コーランの洞窟の民の物語を引用したイラン映画

今回は、信仰を持つ勇敢な人々の物語をお届けしましょう。抵抗によって唯一神信仰の精神を蘇らせたために、神からの導きを増やされた洞窟の民のお話です。

その日は祝祭でした。喜びの声があたりに響き渡っています。人々は自分たちの神々の周りに集まり、大きな祝祭を準備していました。王様も、その催しに参加していました。人々の中には、王様の前に平伏し、彼を称賛する者もいれば、魂のない神々に捧げ物をし、それらに向かって頭を垂れる者もいました。

 

王様の側近の一人だった、マクスィー・ミリヤンは、ゆっくりと王様のそばを離れました。誰にも気づかれないようにしていましたが、突然、誰かの声に呼び止められました。「マクスィー・ミリヤンよ、どこにいくつもりだ。ちょっと待ってくれ」

彼は立ち止まりました。すると、自分の方へと近づいてくる友の姿が見えました。友人は言いました。「私もちょうど、ここから出て行きたいと思っていたところだ」 マクスィー・ミリヤンは言いました。「お前も私と同じことを感じていたのか。お前もこれは無意味なことだと思っているのか? ダギヤーヌースのような圧制者に対して、どうしたら平伏すことなどできるだろう?」

 

彼らは共に木陰に行き、意味のある眼差しを美しい空に向けました。それからしばらくの間、話をしながら、自分たち二人が神への信仰について、同じ意見を持っていることを悟りました。マクスィーミリヤンは言いました。「王様の側近たちの仲にも、何人か、私と同じ信仰を持つ者がいる。私たちは夜な夜な、こっそりと会合を開いている。君もその会合に参加したらいい。でも、慎重に行動することだ」

 

こうして幾日かが過ぎ、神を信じる友人たちは、マクスィー・ミリヤンの家で無知と悲しみの埃を振り払い、ダギヤーヌースの消滅と、彼の圧制からの人々の解放を神に祈っていました。ある日、彼らの一人がおびえた様子で言いました。「マクスィー・ミリヤンよ、王様が私たちの信仰を知ってしまったらしい」 彼は言いました。「そんなことがあるはずがない。それは確かなことなのか?」

知らせた男は言いました。「間違いない。どうにかしなければ、明日にでも、私たちは絞首刑に処されてしまうだろう」 そのとき、マクスィー・ミリヤンのに知らせが届きました。王様が彼らを呼んでいるというのです。マクスィー・ミリヤンは言いました。「彼のもとに行こう。だが私たちは、自分の信仰をしっかりと守りぬき、決してそれを捨てたりはしないだろう」

 

彼らが入ってくると、王様は大きな部屋で、金の王座の上に座っていました。顔は怒りで真っ赤になっています。彼らを見ると、王様は突然、立ち上がって大きな声で言いました。「私の宮殿で、唯一の神について語っているのか? もし私の民や側近でなかったら、今すぐにでも、お前たちの体を切り刻むよう命じていたことだろう」

しかし、敬虔な人々の心は、神から革新を与えられていたため、王様の婿であったマクスィー・ミリヤンは言いました。「私たちは唯一の神について多くのことを考えてきました。神は天と地の創造主であり、私たち全てを創造された方です。私たちは決して、神以外のものを崇拝したりはしません」

 

王様は、さらに大きな声を上げました。「もう十分だ。これ以上、聴きたくはない。明日まで猶予をやろう。その教えを捨てるのだ。そうすれば、これまでと同じように私からの恩恵を与えてやろう」 その夜、マクスィー・ミリヤンの家には悲しみが広がっていました。敬虔な人間の一人が言いました。「神への敬愛が、私の魂に浸透しており、全身で彼の存在を感じている。神のことを思い浮かべるだけで、不思議な安らぎを得る。それなのにどうして、私たちの神が、全能で慈悲深く、生きた存在であるという事実を隠すことができようか」

 

彼らは互いに話し合い、とうとう、自分たちの地位やポストを捨て、信仰を守るために移住することに決めました。敬虔な人々は、夜の間に町を出て、長い道のりを歩んでいました。人々の少し前を歩いていたマクスィー・ミリヤンが言いました。「見てください。あそこに羊飼いがいます。彼から少し水を分けてもらいましょう」

羊飼いは彼らを見ると言いました。「あなた方の表情には善のしるしが見られます。あなたたちはどこに行くのか分からないようです。私の犬を、あなたたちと一緒に連れて行ってください」

敬虔な人々は言いました。「もし犬を連れて行けば、吠え立てて、他の人たちに気づかれてしまいます」 しかし、犬は彼らの後をついて来ました。そして、彼らがどんなことをしても、犬を遠ざけることはできませんでした。

 

羊飼いは彼らと共に、山を登り、別の山を下って、緑の豊かな山すそに着きました。羊飼いは遠くから、敬虔な人々に洞窟を示して言いました。「もうすぐです。あそこに行けば、休むことができます」

 

山の割れ目から、太陽の光が洞窟の中に差し込みました。信仰を持った勇敢な人々は言いました。「少しの間、ここで休み、長い道のりを歩いてきた疲れを癒すことにしよう」 彼らは共に祈りを捧げて言いました。「神よ、私たちに慈悲をお授けください。私たちのために、救いの道をもたらしてください」 彼らは疲れ果てていたため、すぐに深い眠りに落ちていきました。

 

 

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