7月 08, 2018 16:57 Asia/Tokyo
  • 配偶者の選択基準
    配偶者の選択基準

今回はまず、配偶者の選択基準についてお話し、続いて核家族に準ずる準核家族について、あるイラン人家族の例を挙げながらご説明してまいります。そして最後に、夫婦関係のポイントについてお話することにいたしましょう。

結婚は、そのほかの重大な仕事や業務と同様に、それに向けて用意が整っている事が必要となります。この重大な選択に向けて、最初から自らの用意や心構えが整い、一連の責任を担う力がなければ、幸せな結婚をすることはできません。また、結婚の主要な目的が安らぎの獲得である事にも留意する必要があります。

時には、配偶者を選ぶにあたって厳しい条件にこだわり過ぎる事から、長期間にわたって独身のままでいるという結果にいたる場合もあります。しかし、文化的、社会的な特質や魅力、そして、相手に対する包容力や責任感といった事柄を考慮しなければ、将来的に夫婦生活に必要な安らぎを感じることはなく、最終的にこうした生活は、その基盤の弱さから崩壊することになります。

 

結婚の目的は安らぎの獲得

 

 イランの家庭問題のカウンセラーで、ジェンダーの健康の専門家でもあるアーズィーン博士は、次のように述べています。

「あらゆる社会において最も重要な柱は家族である。だが、結婚の主な目的が安らぎを得る事であるという点を忘れてはならない」

幸せな結婚をするには、配偶者の選択の基準が似ている事が必要です。もし、互いを気に入っている、愛し合っているとしても、互いに歩み寄れるような相互理解がないとすれば、言葉上だけのもので終わってしまうこともあります。配偶者の家族の文化的な特徴が夫婦生活に影響を及ぼす事は確実です。それは、結婚する当事者の男性と女性が、いずれも別々の家庭環境で育っているからです。

まず、何よりも自分の気に入った相手を正しく認識することに努める必要があります。夫婦はいずれも相手を変える責務はありません。人間は、一緒にいる事でプラスの変化を遂げることもあれば、そうでないことも可能性もあります。

 

注目すべき事は、現在の状態の相手と結婚するということです。もっとも、結婚生活を続けていく中で、生活様式や人格面での変化も生じ、夫婦もより親しくなると考えるかもしれません。しかし、こうしたことが必ず起こるとは限りません。相手が変わるなどという保証はありません。このように考えた場合、将来的に緊張や軋轢が生じる可能性が高いと思われます。

このことから、相手の持つ文化や周りの家族の特徴に注目し、相手の存在をそのまま受け入れるという考え方が必要になってきます。たとえば、宗教を重視する家庭で育った男性が、宗教を信じていない女性に結婚を申し込んだ場合、後になって数多くの問題が生じてくる事は間違いありません。

幸せな結婚や安らぎのある生活、そして長続きする夫婦関係の決め手となる最も重要な要素は、当事者の男女が同じようなレベルにあることです、イスラムは、結婚において夫婦の釣り合いが取れていることを強調しています。

 

前回は、核家族についてお話しました。現代的な家族形態である核家族は、近代的で産業化に基づいた都市型生活の需要から出現したものです。このため、このタイプの家族形態が広まり、旧来的な家族形態としての拡大家族が廃れることは、発展途上国の社会でも決して想像に難くないのです。

核家族にもいくつかの種類があります。今回ご紹介する準核家族は、完全な核家族にかなり近い形態であることから、このような名称がつけられています。この種の家族では、家族の主要メンバーとともに、妻または夫の親族の1人あるいは複数名がともに暮らしています。

家庭内での力関係やその運営の点では、家族のメンバーは主要な家族や家長に従っているため、この点で大きな家族とは異なっています。この種の家族は、世界でも特にアジアやイランをはじめとするイスラム世界に非常に多く見られます。核家族の多くにおいては、夫婦の祖父母や兄弟姉妹、そのほかの親戚が家族の主要なメンバーとともに暮らしています。夫あるいは妻の両親の存在は、文化的、経済的な根源を持っています。

 それではここで、あるイラン人家族をご紹介しましょう。

今回ご紹介するのは、ホセイニー夫妻を中心とした家族です。彼らは、娘1人と息子2人、そしてホセイニー氏の両親と暮らしています。祖父母は70歳で、彼らは以前は地方の村で暮らしていました。しかし、そこでの水不足と、子供たちの強い希望により、土地と家を売却してテヘランに出てきました。次第に、彼らは息子の金銭的な問題により、やむなく家を売り子供たちの下に来て暮らしています。こうした状況は困難ではあるものの、それでも彼らは今ある事を神に感謝し、心を1つにすることで暮らしを楽にしようとしています。

ホセイニー氏は、仕事や社会面で数多くの問題を抱えているものの、自分の親が家にいるほうがよいと考えており、折あるごとに、自分の両親の存在を問題の解決のために活用します。ホセイニー夫人は、家族生活の継続のために、忍耐強くある事を心がけ、夫の両親に敬意を払うとともに、自分の時間の大部分を友人や親戚とともに過ごしています。

 

 

 

近年行われた調査の一部によれば、イラン人全体の58%近くが、若い夫婦は両親とは別に、独立して暮らすほうがよいと考えていることが判明しています。しかし、宗教の教えの影響により、イスラム社会におけるこのモデルは独自の特徴を帯びています。

イスラムでは、特に年老いた両親の権利が強調されていることから、彼らが孤立化したり、老人ホームなどに預けられたりするケースは少ないのです。複数の調査の結果によれば、老人ホームについて考える人は全体の2%に過ぎず、また全体のおよそ23%の人々が、結婚した子供たちと老夫婦による生活を、好ましい生活スタイルと考えています。さらに、全体の約19%は、こうした生活様式は状況を考慮した上でのものに限られるとしており、この考え方を持つ人の割合は、16歳から24歳までの青少年層ではおよそ22%となっています。

このことから、イラン人の家族は西洋式のモデルとは完全に溶け合っておらず、親戚づきあいといった価値観がイスラムで強調されていることから、比較的親戚同士の結びつきが強くなっています。

宗教関係や国民の祝祭、宗教の偉人の生誕日や追悼日、結婚や出産、巡礼の旅からの帰還といった親戚の集まりにより、イランでは親戚関係の位置づけが明確化しています。

さらに、私たちは金銭面やそれ以外の面での何らかの支援を必要とする場合、ほかの誰よりも親戚を頼りにする事が多く、問題を抱えている人を親戚が助ける確率は、そのほかの他人よりも高くなっています。このことから、イランでは準核家族の存在が目立っています。

 

イラン人の家族

 

それでは今夜の番組の締めくくりとして、夫婦関係における重要なポイントについてご紹介する事にいたしましょう。

緊張やストレスのない共同生活を営む原則として、他人の前でパートナーに敬意を払うこと、行動に融通を利かせる事、パートナーの発言に耳を傾けること、暮らしの中で創造性やアイデアを発揮する事などがあげられます。

いくつかの調査結果から、女性は生まれたときから男性の生活を彩る役割を担っており、男性の人格形成や正しい進路の選択、さらには物事の成就に至るまで数多くの役割を果たしている事がわかっています。また、最新の調査によれば、男性は母親や姉妹、よき配偶者なしには人生で成功を収めることはできないとされています。

ここで注目すべきことは、男性と女性は互いに敬意を払うことにより、互いに対する自信を高めることができるということです。共同生活を常に喜びあふれた状態に維持するためには、相手自身やその能力を賞賛する必要があります。

また、数多くの調査の結果によれば、男性も女性も共同生活において自らが考えるルールを紙面に書き出し、常にそれらに関して、生活の中での対立を防ぐために意見交換を行うべきだとされています。すなわち、自分のパートナーにはどのような長所や、ほかの人にない点があるかに注目し、1日に少なくとも1つは相手のよい点を見つけてほめることを心がけたいものです。重要な事は、その長所がどのようなものであるかではなく、自分が相手をほめる事によって相手が自信を持ち、さらには相手もますます自分に愛着を持つようになるということです。相手の長所を見つけてほめることで、それはますます発展する事になるのです。

次回もどうぞ、お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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