7月 18, 2018 20:29 Asia/Tokyo

この1週間の経済に関する主な出来事です。                     

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、政府閣僚と会談しました。

イランに経済的な圧力をかけるためのアメリカの努力が続いています。

イランの対外貿易の拡大に向けたカスピ海の可能性について見ていきます。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師政府閣僚と会談する

 

「敵は、問題を必要以上に誇張しようとしているが、これらすべての問題は、神の助けと若者たちの力によって解決することが可能である。そのために敵は、若者たちの優れた能力に強く苛立っている」

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、先週日曜、大統領をはじめとする政府閣僚との会合で、この点を強調するとともに、経済問題を克服するためのイランの能力について語りました。ハーメネイー師はこの会合で、あらゆる分野における成功の条件として、強い意志、勇気、意欲、強い精神力を挙げ、「政府のすべての関係者は、倍の責任感とさらなる活動により、問題に対処すべきだ」と述べました。この時間はまず、この問題からお話ししましょう。

イランと国連安保理常任理事国にドイツを加えた6か国の国旗

 

イランと国連安保理常任理事国にドイツを加えた6か国は、2015年7月、イランの核問題に関して合意に至りました。この合意により、イランの核問題に関連した独自制裁、国際的な制裁のすべてが解除されることになりました。しかし、アメリカ政府は、この核合意の実施の直後から、それを妨害し、イランの核合意による利益を減らすための努力を始めました。

 

トランプ政権の発足により、この妨害は激しさを増しました。トランプ大統領は、5月8日、アメリカの核合意からの離脱を発表し、2段階に分けた対イラン制裁の復活を宣言しました。

 

イランのローハーニー大統領は、アメリカが核合意から離脱した後、「イランは、他の5か国との協力により、核合意における要求をかなえることができるという結論に至った場合、この合意の実施を継続する」と語りました。これを受け、EUは、核合意を維持するための提案を提示しました。

ザリーフ外務大臣

 

イランのザリーフ外務大臣は、このように語りました。

 

「世界の政治的な決定は、法を基準にする形へと向かっているが、アメリカの横暴な動きに対する各国の力の度合いにはいまだに疑問がある」

 

石油の輸出、銀行の関係、運輸、投資、経済協力の継続は、EUが強調している事柄です。

 

 

ローハーニー大統領

 

ローハーニー大統領は、スイスとオーストリアへの訪問、そしてフランスの大統領、および、ドイツの首相との電話会談で、核合意を維持するためのヨーロッパの提案は、失望するものだったとし、「EUに対するイランの期待は、明確な時期を設定した具体的な計画が提出されることだ」と語りました。

 

ハーメネイー師はこれについて、改めて、「ヨーロッパ側は、核合意に関して必要な保障を提示すべきであるが、イランの経済がこの問題の影響を受けて、遅れるようなことがあってはならない」と述べました。ハーメネイー師は、外交の拡大の必要性を強調し、「アメリカなどの一部の場合を除き、東と西の国とのイランの関係は、可能な限り強化され、目的のある具体的な外交活動を拡大すべきだ」と語りました。

 

アメリカの雑誌ネイションは、最近の報告の中で次のように伝えました。

 

「アメリカのイランに敵対するロビーは、イランのさまざまな経済部門に対する制裁を求めている。とはいえ、彼らの最終的な目的は、核合意を破棄させ、イランに対して経済戦争を始めることであり、一部のアナリストが認めているように、イランの体制を転覆させることである」

 

アメリカのポンぺオ国務長官とムニューシン財務長官は、フランスの政府高官に宛てた書簡の中で、「アメリカ政府は、前例のない経済的な圧力をイランの政府に対して行使しようとしている」としました。

アメリカの財務省

 

ブルームバーグは、アメリカの核合意離脱後のトランプ大統領の対イラン戦略を評価する中で、次のように記しました。

 

「この戦略の軸は、イランに対する全面的な経済戦争である。この計画の目的は、イランの石油の輸出をゼロにし、イランの個人や企業、その他の機関を国際貿易から締め出すことにある」

 

ブルームバーグは一方で、トランプ政権に対し、経済的な圧力のみによってイランの体制を転覆できるという考えは捨てるべきだと勧告しています。

 

カスピ海

 

カスピ海からの輸出の拡大は、イランの経済的な取り引きにおいて貴重な機会となっています。この中で、イラン北部のマーザンダラーン州のアミールアーバード港で、今月11日と12日、カスピ海を経由した輸出の拡大に関する国際会合が開催されました。

 

マーザンダラーン州は、カスピ海の沿岸にあり、経済開発に向けた良好なポテンシャルを有しています。マーザンダラーン州の東部にあるアミールアーバード港は、北と南を結ぶ国際的なルートの途上にあります。

 

アミールアーバード港は、面積の点で、イランで第3位の港であり、イラン北部の港の輸出の98%、輸入の88%を占め、その可能性により、非石油製品の輸出量の増加に貢献することができます。

 

アミールアーバード港は、石油の輸送を行うネカー港やサドラー造船、ネカー発電所に近いこと、国際空港へのアクセスが簡単であること、現代的な運輸のインフラを有していることなどから、経済活動を拡大するための優れた条件を有しています。

 

アミールアーバードの港と経済特別区は、イランとこの州の開発において重要な役割を担うことができます。この中で、鉄や機械などが、この3ヶ月の間に、マーザンダラーン州の税関から、アフガニスタン、パキスタン、ジョージア、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラクに移送されました。今年4月に発表された統計によれば、この港で11万5000トンの製品が積荷され、昨年と比べて67%増加しました。

 

最近、イランのトランジットや貿易の強化において、重要な歩みが進められました。テヘランの東にあるセムナーン州のギャルムサールから、イラン北部ゴレスターン州イーンチェブルーンへの鉄道を電気化するプロジェクトが、イランの道路都市開発大臣と、ロシアの鉄道関係者の立会いのもとで開始されました。このプロジェクトの完成により、イランと近隣諸国の経済関係が拡大することになります。

 

また、北と南のルートの完成により、カスピ海北岸の国々とイラン南部のペルシャ湾が結ばれ、さらに、東南アジアや南アジアがカスピ海北岸の国々やヨーロッパと結ばれるようになります。

 

アメリカは、イランの経済と輸出を妨害するための破壊的な政策を計画しており、国際的な批判や反対をよそに、この計画を推し進めようとしています。しかし、イランは大きな可能性を有しており、この可能性を利用することで、地域や国際レベルで、経済関係を拡大することができるのです。