イランの名声、世界的な栄誉
アリーシール・ナヴァーイー
今回は、15世紀のイランの優れた政治家で文学者のアリーシール・ナヴァーイーについてお話しました。この人物は、様々な分野で価値ある貢献を行い、それを後世に残しました。
ナヴァーイーの作品の多くは、古いトルコ語系のチャガタイ語により記されています。彼は、ウズベク語の詩を一冊の詩集にまとめ、それを4つに分けました。このため、この作品はタジク語で、4詩集として知られています。
ナヴァーイーは、この詩集の各部分を、インドのペルシャ語神秘主義詩人アミール・ホスローの詩集にならって、名づけました。この詩集は5万5千の対句を持ち、自身の生涯の4つの時代をうたった叙情詩や頌詩を含んでいます。
この4詩集の中で、何よりも際立ち、特別な地位を得ているのは、叙情詩です。この一連の作品を見ることで、抒情詩人としてのナヴァーイーの能力を知ることができます。ナヴァーイーは、それまではありきたりで、たいていの場合、詩人の個人的な感情を表現するものだった叙情詩の内容のレベルを高め、社会的な生活や自身の経験をその中に含みました。彼はチャガタイ語の叙情詩を段階的に完全に新たなものにして、それを内容の点から豊かなものにしました。
ナヴァーイーは優美な言葉を用い、アラビア語、ペルシャ語を巧みに使って、斬新な表現や言葉の組み合わせを作り出し、言葉の持つ力を引き出したのです。
ナヴァーイーの4詩集、特に叙情詩から、彼の思想を理解することができます。彼は博愛主義的な詩人であり、彼の政治的、社会的、文学的、文化的な活動は、人々の物質的、精神的状況の改善のためにおこなわれたものでした。彼は人間の悲しみを知る人物であり、人間としての悲しみを感じないものは、人間ではないと考えていました。
ナヴァーイーは人々が互いに同情や友情をもち、敵意をなくすよう求めていました。彼は人々に対して、敵意を抱くことは人間としてふさわしい行いではなく、友情、同情こそが重要だとしていました。
ナヴァーイーはまた、正義や権利といったものを厳格に守り、また、社会の福祉や平穏は、公正な体制と為政者によって生みだされるものだとしていました。この思想は、彼の様々な作品、特に『5部作』や、『イスカンダルの壁』に美しい形で描かれています。
賞賛されるべき性質、謙虚な道徳は、知識の習得、寛容さ、博愛主義、正直さ、勇気、自尊心、柔軟さ、深遠な思想といった人間の美徳は重要なもので、ナヴァーイーの詩、特に四行詩において強調、奨励されています。逆に、ナヴァーイーは貪欲さや裏切り、おろかさ、人々を傷付けることや、嘘を非難しています。ナヴァーイーは常に、大変に努力し、仕事を多くこなす人物を賞賛しており、彼らを奨励し、育てることについては、いかなる協力も惜しみませんでした。一方で、何もしない人物を社会の負担だとして、詩の中で批判しています。
そのほかのナヴァーイーの文学作品には、トルコ語による『40の四行詩』があります。この作品は、神秘主義者のジャーミーのペルシャ語の著作と内容が一致しており、実際、ジャーミーの作品のチャガタイ語への翻訳とみなすことができます。前回の番組でもお伝えしたように、ナヴァーイーは、イランの大変高名な神秘主義者のジャーミーのすすめにより、ナクシュバンディー教団に加わり、このため、この教団の基本的な事柄が、彼の作品の中に広く反映されています。
歴史家のナヴァーイーの宗教についての見解は、一致していません。しかし、シーア派初代イマーム・アリーをはじめとする預言者ムハンマドの一族に愛着を持っていたことは、歴史的資料においても証明されており、明らかです。『宝石の星』という本には、イマーム・アリーに対する最大の愛が示されています。トルコ語で記されたこの本は、シェイフ・タブレスィーという宗教詩人による、イマーム・アリーの伝承を集めた本の訳本となっています。
ナヴァーイーはこの本の序章で、次のように記しています。「王であるホセイン・バイカラの愛顧に報いるため、王にふさわしい贈り物を用意したいと思った。しかし、どうしたらよいか途方にくれていたとき、ふさわしい宝石、つまり本質を捜しているのであれば、イマームアリーの美徳を求めるがよいという声を聞いた。この様な声により、私はイマーム・アリーの伝承を翻訳した」
この本は260の四行詩が含まれています。
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