12月 30, 2019 13:38 Asia/Tokyo
  • アリー・ブン・ホジュヴィーリーの墓廟
    アリー・ブン・ホジュヴィーリーの墓廟

今回も、前回に引き続き、11世紀のイランの思想家ホジュヴィーリーについてお話しすることにしましょう。

ホジュヴィーリーはイランとインドで輝かしい功績を残し、神秘主義の分野において、この2つの地域で多くの支持を受けています。

これまでは、ホジュヴィーリーの生涯と、著作『隠されたるものの開示』についてお話してきました。ホジュヴィーリーは、10世紀後半に、現在のアフガニスタンのガズナに生まれ、そこで学び、学問を学ぶ中で長い旅にでました。旅の終着点は現在のパキスタンのラホールで、ホジュヴィーリーはここで『隠されたるものの開示』を完成させました。

ホジュヴィーリーはラホールで多くの貢献を行いました。また、著書の『隠されたるものの開示』は5章立てで、内容は様々ですが、神と人間の関係、人間と欲望の相克という2つの中心となるテーマから成っています。それぞれの部分は独立しているものの、ほかの部分とつながりを持っています。それでは、この作品の一部の重要な要素についてお話しすることにしましょう。

ホジュヴィーリーの著書『隠されたるものの開示』は、5章立てで、それぞれが節にわかれています。この本の基本的な部分をつなぐ要因となっているものは、この小さな節をつなぐものにもなっています。

『隠されたるものの開示』の序文は、構造の点から大きな重要性を含んでいます。つまり、本の構造における多くの特徴は、この序文にうかがうことができます。

この序文は神への賞賛とイスラムの預言者ムハンマドとその一族への感謝により始まり、この短い、アラビア語による4行の賞賛の中に、神秘主義的な言葉と内容がもりこまれており、これは本の内容に即しています。

この短い賞賛の後で、著者である本人を紹介し、執筆について触れています。この部分は、単純かつ詳細に語る文体が使われています。

その後に続く序文のすべての節では、いずれもこの部分の文章のひとつについての説明となっています。ホジュヴィーリーはこの説明を完全なものにするため、コーランやハディース、神秘主義の偉人の言葉などを引用し、最初から神秘主義哲学の議論を提示しています。

ホジュヴィーリーの説明方法は、たいていの場合、ひとつのテーマを扱っているとみなされますが、その後全体に広がります。しばしば、それぞれの部分を語るとき、より副次的な議題にわけています。

 

序文に見られるホジュヴィーリーの同郷の友人、アブーサイードの質問は、この本のすべての章の要約だとすることができます。実際、この本のすべての部分は、彼の質問に対する回答で構成されています。この質問も、各章の冒頭で説明している冒頭部分と同じように、一文の説明が加えられており、それは本の各部分でも説明されています。神秘主義の偉人たちを紹介する部分においても、この構造が見られます。つまり、はじめにそれぞれの偉人についての全体的な情報が示され、その後、その内容が説明されます。この部分では、それぞれの偉人の格言についても説明されています。

『隠されたるものの開示』の序章でも、そのほかの部分でも、重要なのは文章の統一性だとみなされています。また、「私が語ったように、その目的とは、何々だった」という言葉はすべての章の始めにおいてみられ、また、真理、僕、本と言った単語が繰り返されていることは、序文とそのつながりのある部分の統一性に大きな影響を与えています。

『隠されたるものの開示』の序文の後、最初の部分は、様々な節に分けられています。この部分のすべての節は、似たような構造を持っています。ホジュヴィーリーはこの部分の節それぞれは、内容に関係あるコーランの節やハディースなどからはじめています。

ホジュヴィーリーは、各節の終わりで、最終的な結論やまとめを出しています。この部分では、バランスが考慮されています。学問、貧困、神秘主義思想といったこの部分の節のテーマはすべて、彼らにとって重要な神秘主義的な問題とされていました。このテーマの密接なつながりも、この部分の統一性に大きな役割を果たしています。

神秘主義の偉人たちを紹介する部分でも、この本の全体的な構造にしたがっており、いくつかの節に分かれています。そのいずれも、数人の人物を紹介しています。ホジュヴィーリーは人物のそれぞれを紹介した後、短い文章でその精神的な地位について触れ、その後、彼らにまつわる話や、彼らの思想や言葉について触れています。ホジュヴィーリーは必要な場合、この部分のいたるところで説明を行っており、自分の言葉を強調するために、コーランやハディースなどを引用しています。

 

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