台湾の蔡英文総統、党主席辞任 統一地方選で与党敗北
蔡英文・台湾総統が、党主席(党首)を辞任すると表明しました。
フランス通信によりますと、台湾で26日土曜、22市県の市長や知事らを選ぶ統一地方選挙が投開票され、与党・民主進歩党(民進党)は、台北市など主要都市で首長ポストを落として敗北しました。
これを受け、蔡英文総統は党首辞任を表明しましたが、総統職には留任します。
蔡氏は記者会見し、「期待通りの結果にならなかった。私がすべての責任を負うべきであり、直ちに党主席を辞任する」と述べました。
その上で「嘆いている暇はない。倒れても立ち上がらなければならない。現在の国際情勢と未来の課題に直面する台湾に、ためらっている余地はない」とアピールしています。
今回の選挙で、民進党は台北を含む直轄6市のうち4市で敗北し、獲得した首長ポストは5市県にとどまりました。
一方、親中派とされる最大野党・国民党は、13市県で勝利しています。
中国が台湾への圧力を強める中、蔡氏は選挙戦で「自由と民主主義の擁護に向けた台湾の粘り強さと決意」を示す場になると訴えてきましたが、有権者に届かなかった形となっています。
統一地方選と同時に、選挙権年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる憲法改正の是非を問う住民投票も行われたものの、支持は得られませんでした。
台湾問題に詳しいオーストラリア国立大学の宋文笛氏は、「統一地方選では各地域ごとの課題が争点となるため、2024年の総統選への影響は限定的だ」と指摘し、「今回あまり争点とならなかった中国政策は、24年には重視されるだろう。統一地方選挙と総統選挙は別物だ」と語っています。
民進党は前回の18年統一地方選でも敗北し、蔡氏は党主席をいったん辞任しましたが、20年総統選で地滑り的な再選を果たしていました。