韓国物流ストで、政府が運送拒否者に圧力
韓国政府は29日、同国労働組合の全国組織である全国民主労働組合総連盟の公共運輸労組貨物連帯本部によるゼネラルストライキを受けて、セメント分野の運送拒否者に対する業務開始命令を閣議決定しました。
韓国のヨンハプ通信によりますと、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官は閣議終了後に行われた関連官庁の合同会見で、「経済危機克服のために力を合わせなければならない時期にもかかわらず貨物連帯は自分たちの要求を通すために国民生活と経済を人質に物流を中断させ、産業基盤を揺るがしている」として「復帰義務を履行しない場合、法と原則に基づき厳正に対応する」と強調しました。
業務開始命令を受けた事業者が正当な理由なしに業務に復帰しなかった場合、運行停止や資格停止に加えて3年以下の懲役または3000万ウォン(約310万円)以下の罰金が科される可能性があります。
秋氏は、違法な運送拒否や運送妨害行為に対しては一切容赦せずに厳正な措置を取るとした上で、貨物連帯に対して直ちに集団運送拒否を撤回し、業務に復帰するよう促しました。
ストを主催する労組側は、この業務開始命令について、ILO国際労働機関の強制労働廃止条約に反する「非民主的かつ暴力的」なものであり、政府が対話に消極的な証拠だと訴え、組側の要求は最低賃金に近い収入でありながら長時間働くトラック運転手を保護するためのものだと強調しています。
韓国では、今回のストにより国内各地の生産現場で出荷がストップするなど、物流に深刻な支障が出ています。スト5日目となる28日には、政府と労組側の初回交渉が行われたものの合意に至らず、政府はこれを受けて、陸上貨物運送分野の危機警報レベルを「警戒」から最高段階の「深刻」へ引き上げるとしました。
貨物連帯は、トラック運転手が過労・速度超過・過積載走行を行わずに済むよう最低限の運送料を保障し、これに違反する荷主に過料を科す「安全運賃制」の恒久化と適用拡大などを求めて、今月24日午前0時より無期限のストライキを開始しました。同制度は2020年に期限付きで導入され、今年いっぱいで廃止される予定となっています。
韓国で物流ストが行われるのは、この半年間で2回目となります。