台湾が「損害の最小化」を要求、米国製F-16の納入の遅延に
台湾の邱国正国防相が、米国から台湾への最新鋭の戦闘機「F-16V」66機の納入が、新型コロナウイルスのパンデミックによるサプライチェーンの混乱で遅れていると明らかにしました。
ロイター通信によりますと、邱氏は台湾政府が米政権に対し、既存の軍用機のためのスペアパーツの供給を優先することなど「不足分を補充する」ことを要請したと発表しました。
さらに、「我々は遅延による損害を最小限に抑えようとしている」と述べました。
米国は2019年、ロッキード・マーティン社製の戦闘機「F16」を台湾に80億ドル(約1兆750億円)で売却することで承認しました。この契約により、台湾が保有するF-16は200機を超え、これはアジアで一国としては最大の保有数となります。
最新型のF-16Vの1回目の納入は2023年第4四半期に納入される予定でしたが、新型コロナウイルスの大流行による供給網の混乱により、納入時期は2024年第3四半期までとなり、ほぼ1年延期されることになりました。台湾政府は、2026年までに納入が完全に終了することを期待しています。
台湾は2022年以降、米国の武器供給に問題があると不満を示しています。
これには、台湾が2015年に防空ミサイルシステム「スティンガー」を発注したものの、メーカー側は現在ウクライナに供給しているという事情があります。米国の軍需産業の代表者は、「携帯型防空システムを東欧に納入することで、数年分のスティンガーとジャベリンを使い切ってしまった」と説明しました。
米国連邦下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長は、先月の台北訪問中に、台湾への武器調達を迅速化に向け努力すると発表しました。
またジョン・ボルトン前米国家安全保障問題担当大統領補佐官は最近の台湾訪問で、アメリカから台湾への武器・軍事装備の販売契約の遅延に言及し、これらの契約の額は190億ドルであると表明しています。
台湾は、中国が最も神経を尖らせている領土問題であり、ここ数カ月における米中間の緊張の主要因の 1 つになっています。
米国は台湾の独立を正式には承認していませんが、台湾と非公式の関係を築いており、台湾への防衛支援提供を約束しています。
中国は、台湾への高度な軍事装備の提供が、この地域をめぐる緊迫化の元凶であると考えています。
米国防総省のキャサリン・ヒックス副長官は、米国際情報サイト・ブルームバーグとの最近のインタビューで、米国の焦点は依然として中国との対決であり、ウクライナで米国は「経験を得ている」と語りました。