日韓が処理水放出協議、要請事項巡る協力策で一致
東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に関して、日本と韓国が実務協議を行い、相当水準の見解の一致に達しました。
韓国ヨンハプ通信によりますと、韓国国務調整室のパク・グヨン第1次長は8日火曜、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に関する政府の定例記者会見で、日韓が7日月曜にテレビ会議形式で開いた処理水放出を巡る実務協議について「先月12日の韓日首脳会談で議論した事項を実現するための具体的な協力策に対し、相当な水準のコンセンサス(意見の一致)を形成した」と伝えました。
日韓両政府は先月25日、汚染水放出を巡る局長級の実務協議を日本で開催し、局長級、実務者級の協議を通じ、ユン・ソクヨル大統領が先月12日の韓日首脳会談で岸田文雄首相に要請した事項などについて話し合ってきました。
リトアニアでのNATO北大西洋条約機構首脳会議に合わせて開催されたこの会談で、ユン大統領は処理水放出の点検過程への韓国専門家の参加、放出モニタリング情報のリアルタイム共有、放射性物質濃度が基準値を超えた場合の放出の即時停止などを求めていました。パク氏の発言から、両国はこれらの要請事項に対し前向きに協議を進めているものとみられます。
パク氏は今回の協議に関し、「前回の韓日の局長級協議で議論した事項に対する両国の内部検討を基に、技術的な事案に関する立場を調整する場だった」と説明し、「双方とも内部で追加議論や最終検討が必要な事項が残っており、あと1回、会合を開いて協議を終える予定だ」と伝えました。
また、実務レベルでは韓国人専門家の放出点検過程への参加に問題はないと判断しているのかとの問いに、パク氏は「これまでのところ日本側は大きな反対の意思は示していないと思う」と答えました。
一方で、韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は8日、国会で開かれた懇談会において、今月末にも始まる福島第1原発の処理水の海洋放出について、「長期的に未来世代に大きな被害を与えることが明らかな核汚染水の排出問題を総力を結集して阻止するときが来た」と強調しました。
また、「未来世代にも安全で快適な環境で暮らす権利を保障することは現世代を生きるわれわれの重要な責務」として、「核汚染水の排出問題はいくらでも避けることができる、避けなければならない問題であることは明白だ」と述べています。
さらに、同党の「福島原発汚染水海洋投棄阻止総括対策委員会」の常任委員長を務めるウ・ウォンシク議員は「日本政府がいくら安全だと強弁しても国民の懸念は払しょくできていない」とし、「市民社会、他の党と協力し阻止できる最善の方策を探る。国連人権理事会に訴える方策も考えている」と明らかにしました。