視点
イラン南部三島における革命防衛隊演習の重要性
イラン・イスラム革命防衛隊海上部隊は2日水曜日、ブームーサー島、大トンブ島、小トンブ島において同隊航空宇宙部隊の支援とともに演習を行いました。
イスラム革命防衛隊海上部隊の演習は、軍事的、地理的、政治的な重要性を持っています。
今回の演習が持つ軍事的重要性には、高速ミサイル艇、AI搭載の無人艇・無人機、水陸両用機、海上でのピンポイント攻撃が可能な弾道ミサイルなどが使用され、革命防衛隊の装備力が示されことが挙げられます。
カタール国営衛星通信アルジャジーラはこの演習について、射程600キロのミサイル、射程120キロの極超音速弾道ミサイル「ファタハ」、射程600キロ超の長距離巡航ミサイル「ガディール」の全てを搭載する戦艦が1隻、初めて登場したと伝えました。
さらに、イラン本土からブームーサー島と大トンブ島へ兵士の迅速移送を行い、ヘリコプターと飛行機を使ったブームーサー島への移送が15分を切ったことも、革命防衛隊の力を示しました。
一方、地理的重要性として挙げられるのは、イランの三島領有が強調され、イラン軍にこれらの領土をあらゆる点で防衛する完全な準備があることを見せた点です。
イラン三島をめぐっては、ロシア外相とペルシャ湾岸協力会議加盟国が先日、第6回戦略協議の最終声明にこの三島に関する記載を盛り込み、大きく物議を醸していました。イランはこれを受けて、同国駐在のロシア大使を外務省に呼び出し、抗議を伝えました。さらにその前には、中国とペルシャ湾岸協力会議加盟国がこのイラン三島をめぐる共同声明を発表しており、イラン外務省は中国大使を呼び出して抗議を伝えていました。
また今回の演習には、アメリカの度重なる行動に関連した政治的重要性も含まれていました。
アメリカ国防総省は先月17日、西アジアなどを管轄するCENTCOM・米中央軍へペルシャ湾海域にミサイル駆逐艦トーマス・ハドナーとF35およびF16戦闘機を展開するよう指示を出したと発表しました。アメリカは、イランに対抗するためにこのようなペルシャ湾での軍事展開強化を行うと主張しています。そのため、今回のイラン三島における海事演習は、アメリカの威嚇に対し備えを固めた宣言とも言えます。
イスラム革命防衛隊のサラーミー総司令官も、海事演習の開始にあたり、「イランと近隣のアラブ諸国は自力で地域の海域を守ることができ、地域外の外国軍の駐留を必要としていない」と、自国の取る立場を強調していました。
今回の演習については各メディアも、イランがこの3島の領有権を重視していること、またアメリカの軍事行動へ反応を示したことの2つの点に注目して報じていました。英BBCは、イランが今回の演習によって、依然として自らが地域大国でありペルシャ湾とその湾口に当たるホルモズ海峡を完全に掌握していることをアメリカに示した、と伝えました。