8月 29, 2023 17:51 Asia/Tokyo

今回ご覧いただくのは、テヘランにあるラサーム・アラブザーデ絨毯博物館です。1995年に設立されたこの博物館には、イランの著名な絨毯デザイナー、ラサーム・アラブザーデ氏の芸術による華々しい、そしてオリジナリティのある絨毯66点が展示されています。

ラサーム・アラブザーデは、本名をアボルファトフ・ザイディ・ロトフィといい、近代の優れたイラン式絨毯デザイナーの1人です。

彼の父親は、イランの著名な画家キャマーロル・モルクの弟子の1人で、絨毯の図柄のデザインを生業としていました。

キャマーロル・モルクは、ガージャール朝時代における近代イラン芸術史上最も著名な人物の1人です。

ラサーム・アラブザーデも幼少期より父親の作風に親しんでおり、青年時代に様々な図柄を画板に描いていました。

彼は絵画創作の経験を数多く積み重ねることで、絨毯製造に携わることを決意しました。

また、絨毯に見られる伝統的な側面と、哲学や文学を表現する斬新さの融合により、新しいタイプの絨毯織り芸術を生み出しました。

アラブザーデがデザインとした題材には、肖像画、歴史的建造物、細密画などがあります。

彼が新たに創意工夫で考案した絨毯の編み方には、1つの結びに代えて4つの結び目を作る「結び目垂らし」があります。この方式によって、絨毯の織りなす図柄をより大きく、立体的に表すことができるようになりました。

ラサーム・アラブザーデはさらに、絵画や細密画、彫像製作、染め物の分野でも創作活動を行っていました。

今回ご紹介するこの博物館に収蔵された66点の絨毯は、いずれもラサーム・アラブザーデの作品です。

それらの絨毯には、人生の一場面や、美しい手書きによるアラビア語の文章、さらには美しい絵画が編みこまれています。アラブザーデは、文学と哲学を絨毯絵画という形で表現することに成功し、絨毯製作の分野で独自のスタイルを打ち立てたのです。

 


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