印・パ間の緊張続く:イラン大統領が両国首相と電話会談
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印・パ間の緊張続く:イラン大統領が両国首相と電話会談
パキスタン政府が、インドとの係争地・カシミール地方パハルガムでのテロ攻撃発生によりインドとの緊張が高まったことを受け、ビザを取得してパキスタンを訪問中だった少なくとも335人のインド人らを本国に強制送還しました。
【ParsToday国際】インド政府の発表によりますと、パキスタンは短期滞在ビザにより同国を訪問していたインド人335人を本国に送還しました。
今月22日、インドとパキスタンが領有権を主張するカシミール地方シュリーナガルから約90キロ離れた観光地パハルガムで、武装集団が観光客のグループに発砲し、少なくとも26人が死亡しました。インド当局はこの事件をテロ攻撃だと断定するとともに、パキスタンがこの攻撃に関与していると主張しましたが、パキスタン側はこれを否定しています。
この事件を受けて、パキスタンのシャリフ首相は詳細な調査を目的とした独立調査委員会の設置を求めました。
またインド政府側も、両国が水資源共有のため60年以上交わしてきたインダス川水利条約の停止、国境検問所の閉鎖など、パキスタンに対する一連の厳しい措置に踏み切っています。
一方、パキスタンはインドに強く反発し、強硬な声明を発表してインド政府に対する一連の外交、通商、安全保障措置を発表しました。複数のアナリストの間では、両国間の前例のない緊張が新たな地域対立の火種になりうると見られています。
こうした中、インド軍とパキスタン軍はカシミール地方において3夜連続で銃撃戦を繰り広げました。パハルガムのテロ事件により陸の国境を共有する両国の関係は急速に悪化しています。
さらに、その他の報道によりますと、26日には少なくとも75人のパキスタン人がインドから帰国したと言われています。
今回の事件を受け、イランのペゼシュキヤーン大統領は同日、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相と電話会談し、印・パ間の緊張緩和および、誤解の解消に向けた用意があると表明しました。
この電話会談でペゼシュキヤーン大統領は共同でテロと戦う必要性を強調し、「最近の出来事により、テロという邪悪な現象への対抗およびテロ集団の資金・兵器源の破壊に向け、地域協力を強化する必要性が倍増した。我々は、地域の平和、安全、平穏を確立するために全力を尽くす必要がある」と語っています。
一方、シャリフ首相はあらゆるテロ行為を強く非難するとともに、「我が国自体もテロの被害を受けており、この不吉な現象に断固として対抗する必要があることを十分に認識している。我々は国家の経済状況の改善と国民の福祉の促進を目指しており、イランと同様に地域における平和、安定、そして恒久的な安全保障を重視している」と述べました。
なお、ペゼシュキヤーン大統領は26日夜、インドのナレンドラ・モディ首相とも電話会談し、今回のテロ事件を強く非難するとともに、インドの政府と国民に同情の意を表明しました。そして、テロリズムへの対抗に向けた地域諸国の協力、ならびにこの共通の脅威に対する連帯の必要性を強調しています。
これに対し、モディ首相もパハルガムのテロ事件の詳細に触れ、テロに関するイラン国民の苦い経験を想起するとともに、「イラン国民の自らの痛ましい経験から、他のどの国民よりもインド国民の感情と苦しみを理解できる。テロとの闘いには、地域諸国間の包括的な団結と協力が必要であるというイラン大統領の見解に、我々は完全に同意する」と表明しました。