9月 19, 2023 19:08 Asia/Tokyo
  • イランのライースィー大統領
    イランのライースィー大統領

イランのライースィー大統領が、就任から2度目となる国連総会出席のため、ニューヨークへ行きました。

今回の訪問では、国連総会での演説のほか、各国首脳との会談、在米イラン人らとの面会などが予定されています。また、在米の政治、社会、宗教関係者や団体との会合にも出席し、質疑に応じることになっています。

毎年9月の第3週から始まる国連総会は、各国の首脳や高官らが一堂に会し、演説をすることになっています。ライースィー大統領は昨年、自身初となる国連総会の演説において、テロ組織・ISISの誕生・支援といった米国の悪行、さらにトランプ前米大統領の指示によるイラン革命防衛隊司令官のソレイマーニー氏暗殺に触れ、ソレイマーニー氏の写真を掲げました。また、核合意のすべての当事国が合意

イラン革命防衛隊司令官のソレイマーニー氏

 

国連総会は、6つある国連の主要心機関のうちの1つで、すべての加盟国が平等に1票を有する唯一の機関でもあります。そのため、イラン大統領による国連総会出席は、イランの国際情勢に対する見解を表明する機会となる、きわめて重要なものです。また、国連総会は各国の首脳や高官が集まることから、二者会談を行う好機にもなっています。

これについては、ライースィー大統領も、国連総会出席はイランの見解を伝える機会であるとしながら、「国連や国連総会は、イランの見方や考えを伝えるのにふさわしい場所だ。イランが目指す理想の世界は、貧困のない世界、核兵器や大量虐殺のない世界、不正義や差別のない世界であり、そこでは人間の尊厳が守られ、自然災害や世界の覇権主義勢力による政治的災厄を防ぐために、世界に存在する様々な可能性が利用される」と述べています。

もう一つ重要な点は、今年のライースィー大統領の国連総会出席は、イランがこの1年で外交の幅を新たに広げ、それが各国や地域・国際機関との対話をもたらした中で行われるということです。イランはこの間、上海協力機構BRICSへの加盟を果たしています。また、イランと近隣諸国の関係も改善の兆しを見せており、サウジアラビアとの国交回復後、これまでイランと対立していた他のアラブ諸国も、イランとの関係拡大を望むようになっています。

BRICS

 

こうした中、イランとアメリカの間接協議は着々と進んでおり、アメリカが核合意内容に忠実になるならば、制裁解除交渉においても明るい見通しが期待できます。イランが交渉の場で常に最高レベルの協力姿勢を示してきたことを考えれば、国連総会の機会を利用してライースィー大統領が行う諸会談は、各国にこの交渉プロセスへの支持を促す機会にもなりえるでしょう。

これについてイラン外務省のキャンアーニー報道官は、「国連総会の場で、制裁解除交渉について話し合われる可能性がある」としています。

こうしたことから、ライースィー大統領の国連総会出席は、イランが国際機関の公式な場から改めて自国の基本的立場を発信する機会ととらえられ、その政策や目標を達成するための外交協議の可能性をもたらしうるのです。

 


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