6月 01, 2024 14:32 Asia/Tokyo
  • イラン国会のゾロアスター系議員で研究テクノロジー委員会の委員長を務めるエスファンディヤール・エフティヤーリー氏
    イラン国会のゾロアスター系議員で研究テクノロジー委員会の委員長を務めるエスファンディヤール・エフティヤーリー氏

知識ベース産業は今日の世界経済において重要な基盤となっています。これらの企業は知識やイノベーションをもとに運営され、イランの知識ベース企業も、ナノ、医療技術、医薬品、医療機器などの分野で西アジア地域や世界各地に製品を輸出するなど活発に活動しています。

イラン国会のゾロアスター系議員で研究テクノロジー委員会の委員長を務めるエスファンディヤール・エフティヤーリー氏は、イラン国内の知識ベース企業を支援する法案の成立や中部ヤズドへのテクノロジーセンター開設に尽力した人物で、イランの「知識産業の父」との異名も持ちます。

今回ParsTodayは、このエフティヤーリー議員にインタビューすることができました。

 

ーそもそも知識ベース企業とはどういった企業なのでしょうか?

知識ベース企業とは、知識やアイディアを形に変え、製品として販売する企業です。この分野では、「イノベーション」と「テクノロジー」という2つの軸があります。顧客はイノベーションにお金を払います。アイディアが尽きない限り、それは止まることはありません。イランの詩人フェルドゥースィーの言葉に「知は力なり」とありますが、知識ベース経済とはまさにこれを体現するものです。

 

ーイランで知識ベース企業が提唱され、実際に動き出したのはいつ頃のことでしょうか?

2001年にイラン初の学術テクノロジー学園都市が設立されたのが始まりと言えます。2010年には「知識ベース企業支援および研究産業化法」が成立しました。この法律により、知識ベース企業の活動が活発になり、それまでの企業もこの分野に参入しています。2022年にこの法律は、「知識ベース生産拡大法」として改正されました。

 

ーイランの知識ベース企業の現状はどのようなものでしょうか?

我々はこの分野でよい実績を有しています。イランは西アジアの知識ベース企業にとってハブ拠点となる存在で、世界レベルで見ても高い地位を有しています。多くの企業が好調な輸出と業績をあげています。

 

エフティヤーリー議員(右)とインタビューにあたったParsTodayのアトゥサー・ディーンヤリヤーン記者


 

ーイランの知識ベース企業が世界的に成功しているのは、どういった分野なのでしょうか?

我が国の知識ベース企業は主にエンジニアリング、医療用ロボット、医療技術、IT、医薬品、ナノテクノロジーの分野で活動しています。特に医薬品、医療技術、医療設備の分野で世界的な競争力を持っています。そのうちの多くが、イラン国外へ製品を輸出しています。

 

ー人文系や芸術分野でも活躍している知識ベース企業はあるのでしょうか?

新しいアイディアを生み出し、それが実際の経済活動で実現される分野であれば、知識ベース産業は成立します。例えば観光分野では、一般人の家を民泊として利用するアイディアは知識ベースと言えます。

 

ーアメリカによる制裁は、イランの知識ベース企業にどのような影響を与えたのでしょうか?

制裁は見方を変えれば、イランの知識ベース企業にとって大きな助けとなりました。というのも、大半の知識ベース企業が国内能力の不足を克服するために設立され、成長してきたからです。新型コロナウイルスが流行した際、イランは人工呼吸器の輸入が制裁により禁じられていたため、国内の知識ベース企業がその代替品を製造しました。制裁が成功の要因となった一例です。もっとも制裁による弊害もあり、海外との取引の際に決済が円滑に進まないことがあげられます。

 

ーイランの知識ベース企業にはどのような法的支援が与えられていますか?

現在の法律では、知識ベース企業に対して低金利の融資や税制上の優遇措置がとられています。我々は、海外の知識ベース企業に与えられているのと同じような法的支援がイランの企業にも適用されるべく努力しています。

 

ー知識ベース企業の未来をどのように評価しますか?

イラン人は知能も教育水準も高い。したがって、イランの知識ベース企業はよい実績をあげることができます。それには官製寄りの経済の問題を解決することが前提となります。

 

ー最後に、世界におけるイランの学術成果についてどのように見ていますか?

イランの人口は世界の1%に過ぎませんが、学術成果では1%を超える割合を占めます。イランの学術成果は西アジアでは常に1位か2位を保っています。学術成果を測る指標のひとつが掲載論文の数ですが、イランはこれについても好成績をあげています。大卒者の割合も高く、こうした国民の学術志向は、イラン経済における知識ベース企業の発展にとって誇るべき点です。

 


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