イランを世界的システム障害から守った国内の力
先日全世界で発生した広範囲なシステム障害により、各国の空港、病院、銀行などで多くの問題が生じましたが、イランは他の地域・国々と異なり、今回のシステム障害に巻き込まれることはありませんでした。
【ParsTodayイラン】今月19日未明、世界各地で銀行、空港、証券取引所、メディア、航空会社のコンピューターシステムが機能停止に陥りました。その理由は、米製ソフトウエアのアップデートに伴い、マイクロソフト社製のOS・ウィンドウズが起動しなくなったこととされました。
航空データ分析会社のシリウムは、システム障害が起きた19日に全世界で商用機約1万1000便のフライトが予定されていたものの、このうち2200便が欠航になったと発表しています。
これに関連し、テスラ社とSNS・X(旧ツイッター)のオーナーであるイーロン・マスク氏は、今回のシステム障害を「史上最大のIT障害」としました。
また、XユーザーであるPasha X Max氏は、世界中で相互に繋がっているITシステムの脆弱性を批判し、次のように投稿しました。
「マイクロソフトのサービス停止は、世界的な混乱を引き起こす。今回飛行機は運航停止となり、テレビや銀行も影響を受けた。ウィンドウズの入った複数のパソコンがシャットダウンしてしまう。このことは、相互に繋がるITシステムの脆弱性を示している。 我々は、より強力なインフラと、より緻密な緊急時の計画を必要としている」
世界的システム障害の影響を免れたイラン
イラン国立バーチャルスペースセンターは、世界規模でのシステム障害発生を受けて声明を発表し、「多くの国のコンピューターシステムに大規模な障害が発生しているが、我が国ではこれまでのところ、サービス提供にあたり混乱や障害が起きているという報告はない。これは、我が国が制裁のために(コンピューターシステムの)サポートを長年受けることができず、そのために若手が主導となって自国製の代替サービスをプログラム・運営してきたからである」としました。
また、イラン通信・情報技術省のアミール・モハンマドザーデ・ラージュヴァルディー次官もこれに関連し、「マイクロソフト社のコンピュータシステムの技術的問題によって引き起こされた世界的システム障害はイランには影響せず、これまでのところ、情報技術サービスに混乱は起きていない」と述べました。
イランのイマーム・ホメイニー空港都市社CEOであるサイード・チャランダリー氏も、「テヘランのイマーム・ホメイニー国際空港は、国産の知識企業のソフトウェアを使用しているために、今回世界中の空港でマイクロソフト社の問題により起きた混乱の影響を免れた」としました。
同氏は続けて、「イマーム・ホメイニー空港のソフトウェアシステムは、以前はフランス企業のサポートを受け、その会社による定期点検が必要であった。このため、国内の知識企業による自国製のシステム構築が計画され、今から1年半前に、道路・都市開発大臣の立ち会いの下でその運営が開始された。我が国ではそれ以降、空港システムはこの国産ソフトウェアにより運営されており、特に問題も起きていない」と説明しました。
そして、イランの他の空港についても、「我が国の国際便の80%はイマーム・ホメイニー空港を利用している。一部の便はマシュハド空港およびシーラーズ空港を利用しているが、そちらでも問題は起きていない」と述べました。
イラン人Xユーザーである@parsahonar313 は、世界的システム障害の影響を受けなかったイランのソフトウェアを賞賛して、次のように投稿しました。
「イラン製ソフトウェアはイマーム・ホメイニー空港を世界的な混乱から守った」
制裁が進歩の好機に
イランに対する西側の大規模な制裁は、当初は政治的・経済的な目的で始められましたが、後にはイラン国民の日常活動を掻き乱すことが目的に変わったように見受けられます。西側はおそらく、独立した国・イランに対し制裁を課した日には、この国が独自の力でこのような脅迫を好機に変えることができるとは考えていなかったでしょう。
イラン人Xユーザーの@fatemeh_sadat91 は、イランが自給自足で西側の制裁を無力化していることを称え、次のように投稿しました。
「マイクロソフトは世界的な混乱を起こし、世界中のメディア、交通機関、店舗、保健医療などのシステムの大半に問題が発生した。しかし、イラン、ロシア、北朝鮮だけは問題に巻き込まれることがなかった! なぜなら、これらの国は以前から、圧政的な制裁のために独立・自給して自身の生命線を西側の手の届かないようにしていたからだ。敵も好事のもとになる、だ」
Xユーザーでメディア活動家のベフルーズ・ショジャーイー氏も、西側の対イラン制裁が逆の効果をもたらしたとしながら、次のように投稿しました。
「これであなたも、制裁の何が良いかが理解できただろう? マイクロソフトが世界的な混乱を引き起こした中でも、イランは完全に守られ安全でいた」
最終的に言えるのは、西側による対イラン制裁は開始から日を重ねるごとに、西側への依存度が減少し自給力がつくという効果を、よりはっきり見せるようになっているということです。そして、西側へ依存していないことを示す例のひとつが、国内の知識に依拠した自国製ソフトウェアの使用だったのであり、今回の世界的システム障害においてそれははっきりとしました。
さらにイランは、技術サービス提供の分野で自国の力を囲い込むことはせず、すでにそれらを他国に移転してもいるのです。