イラン最高指導者;「シリア問題は米とイスラエルの共同司令室の産物」「抵抗勢力が地域を掌握するだろう」
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イラン最高指導者;「シリア問題は米とイスラエルの共同司令室の産物」「抵抗勢力が地域を掌握するだろう」
イラン・イスラム革命最高指導者のアリー・ハーメネイー師がシリアでの出来事の様々な側面について説明し、同国におけるイランの存在の論理を概説するとともに、地域情勢の今後の変化の将来の傾向を説明し、シリア問題の教訓を語るとともに、「これらの出来事はアメリカとシオニストの策略の産物である」と強調しました。
ハーメネイー師は、イランの様々な階層の数千人の市民らとの会談で、「シリア問題は米国とシオニスト政権イスラエルの共同司令室が生み出した産物であり、抵抗の範囲は圧力や犯罪に対するさらなる強さと動機を見いだすことで地域全体を網羅することになるだろう」と述べています。
また、シリアでの出来事に同国の一近隣国の政府が公然と関与していることを指摘し、「それでも、陰謀や策略を企む輩、そして主要な司令塔がアメリカとシオニスト政権であることを示す多くの手がかりが存在している」と語りました。
さらに、こうした手掛かりの1つとして、最近のシリアでの出来事に対するシオニストとアメリカの行動だとし、「もし彼らがシリアでの出来事を仕組んだ張本人でなかったとしたら、なぜ彼らはほかの諸国とは違って沈黙を守らず、数百ものインフラ施設や空港、研究センター、学者の教育機関やシリアの他の地域への爆撃により実際に現在の出来事に介入したのか?」との疑問を提起しています。
そして、シリア領を北と南から占領しようとする侵略者の目的は違うものだとし、「こうした中で、アメリカは自らの足場を強化しようとしているが、時間が経てば、いずれの目標も達成できないことが明らかになり、占領されたシリア各地は同国の情熱的な若者たちによって解放されるだろう」としました。
加えて、地域における今後の情勢変化のプロセスを描く中で、「米は神の恵みによって、また抵抗戦線の手により地域から追放されるだろう」と強調し、「覇権主義者の因子は、抵抗を支持していたシリア政権の崩壊後は抵抗戦線が弱まったと考えているが、それは大きな間違いである。なぜなら、そもそも彼らは抵抗と抵抗戦線について正しく理解していないからである」と語っています。
ハーメネイー師は抵抗を、破壊や崩落の可能性のあるハードウェアではなく、信仰や思考、信条の潮流、そして精神的な決断であるとし、「このため、抵抗は圧力がかかると強まり、背信を見た輩とその因子の動機は激化するとともに、その範囲はさらに拡大するだろう」と述べました。
そして、こうした事実の具現として、過去14か月の圧力下でレバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラー、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマス、パレスチナ・イスラム聖戦運動、そしてその他のパレスチナ勢力がさらに強くなったことを挙げ、「数々の災厄および、故ナスロッラー・ヒズボッラー事務局長の喪失による重圧は非常に大きかったが、ヒズボッラーの力と拳はますます強くなり、敵もこの事実を目の当たりにして停戦を求めた」としています。
また、「全ての地域における抵抗勢力の拡大は敵の犯罪と各種の圧力の決定的な結果となるだろう」と強調し、「これらの出来事がイランを弱体化させると考える物知らずで無知なアナリストは、イランが強くて有力であり、今後さらに強力になるであろうことを熟知すべきだ」と語りました。
さらに、何年も前からイランがシリアに駐在し勢力を広げていたことに触れ、「若者をはじめとする大半の人々が気づいていない点は、我々がシリア政府を支援する前、つまり1980年台の対イラク戦争、つまり聖なる防衛の重要な段階で、誰もがイラクの旧独裁者サッダームに加勢し我々に敵対している状況で、シリア政府は、イランへの重要な援助提供および、大規模かつ決定的な行動により、イラクから地中海への石油パイプラインを遮断し、サッダームの収入を奪った」と述べています。
そして、イランがテロ組織ISISと戦う決意を固めている重要な理由として、ISISの扇動行為との戦いおよびイランへの情勢不安の拡大防止を挙げ、「これに基づいて、我が国の軍とイスラム革命防衛隊ゴッツ部隊の故ソレイマーニー司令官およびその同僚たちはイラクとシリアに赴き、それらの国の若者を組織化し武装させることで、ISISの前に立ちはだかりその背骨を打ち砕いた」と述べました。
また、イラク・サーマッラーの霊廟の破壊と同様に、イラクのカルバラー、ナジャフ、カゼメイン、シリア首都ダマスカスの聖地を破壊するというISISの目的に言及し、「聖地に対する彼らの敵意とは対照的に、イスラムの預言者一門を敬愛する情熱的な若手信者たちが聖地への侵略や侮辱を許さず、無関心でいなかったことは明白であった」としました。
さらに、シリアとイラクにおけるイランの軍事駐留の種類はあくまでも「助言」のための駐留、すなわち中央基地の設立や戦略と戦術の決定、必要なときに戦場に立つこと、そして何よりも重要なことは若者の動員だとして、「シリアとイラクにおける我々の駐留は、彼らの軍隊の代わりに我が国の軍隊と革命防衛隊の師団を派遣して戦うことを意味するものではなかった。なぜなら、このような行動は論理的ではないし、世論にも受け入れられないからだ」としています。
また、「もっとも、いかなる国や地域への駐在・進出には相手方の国の政府の同調と承認が必要である。それは、我々がイラクやシリアの政府の同意と要請に応じてこれらの国に駐在したことを見ても明らかだ。彼らの要請がなければ道は閉ざされており、支援は不可能である」と語りました。
加えて、シリアと抵抗戦線での出来事に関して「状況はこのままでは続かないこと、そして情熱あふれるなシリアの若人らは必ずや立ち上がり、犠牲者を出し手でも抵抗し、この状況を克服するだろうということを、万人が熟知しておくべきだ」としています。
ハーメネイー師は最後に、「イラン国民は行動を起こす準備ができている」とし、「神の恵みによって、シオニズムの根と西側の邪悪な要素は地域から根絶されるだろう」と強調しました。