イランがめざす「持続可能な安全保障」とは?
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イラン国家安全保障最高会議のラリージャーニー書記(左)とレバノンのアウン大統領
イラン国家安全保障最高会議のラリージャーニー書記のイラク・レバノン歴訪からは、イランがめざす今後の安全保障の姿が見えてきます。
【ParsTodayイラン】ラリージャーニー氏は今月10日からイラク・レバノンを歴訪しました。イラクでは、両国の国境管理と外国勢力による領土の悪用を阻止するための安全保障協力協定に署名しました。
また、レバノンでは、同国の大統領、首相、国会議長、ならびに各政治勢力の指導者らと会談し、イランがレバノンの独立と国民統一を支持する立場を改めて強調しました。そして、同国の内政に対する外国からの干渉や米・イスラエルによるヒズボッラーの武装解除圧力にも断固として反対を表明しました。
ラリージャーニー氏の訪問は、地域が非常に敏感な時期にあり、地域諸国の建設的な対話と協力を通じてしか持続的な安定は達成できないことを示しています。ラリージャーニー氏はイランに帰国後、「西アジア地域の持続可能な安全保障」計画を発表し、これをアメリカの指針と比較しました。
ラリージャーニー氏は次のように語っています。
イランの国家安全保障戦略は地域問題に重点を置いている。アメリカとイスラエルは現在、力による平和を追求することを隠さない。これは、我々が降伏するか、戦争を選ぶかというもので、地域を混乱させる結果を生む。シリアがその好例だ。
もう一つ重視するのは、各国が協力して持続可能な安全保障を達成するというものだ。すべての国が力を持つべきであり、イランが追求しているのはこの理論だ。これに基づけば、イランの行動は異なる意味を持ち、地域を混乱させるのではなく、安定を追求していることが分かる。イラクとの安全保障協定はその例で、我々は共に安定した安全地帯を作り出そうとしている。
ラリージャーニー氏はまた、現在の西アジア情勢を20年前と比較し、イランに対するアメリカとイスラエルの戦争に言及しながら、「これらの出来事は一つの連鎖として捉えることができ、彼らの行動は常に地域の混乱を引き起こすものだった。アメリカはいつも地域の問題や行動の背後に隠れていたが、今回は自ら前面に出てきた」と述べました。
そして、イラン・イスラエル戦争後の情勢について、「敵は、イスラム諸国がこれまで対立してきた経緯からイランには接近しないだろうと考え、イランが孤立すると思っていたが、実際にはイスラム諸国の政府や民衆はイランを支持した」と述べました。
また、イランが敵に対してどう立ち向かうかについても、「敵はイランの防衛能力を過小評価していたが、イランのミサイル攻撃は戦争の半ばで彼らを困惑させた」と語りました。