2月 07, 2016 20:35 Asia/Tokyo
  • 多面的な協力を目指すイランとEU

アミーンザーデ解説員 ギリシャのチプラス首相が6日土曜夜、同国の政府高官や経済通商関係者の一行を率いて、イラン訪問の最初の目的地である同国中部のイスファハーンに到着しました。

チプラス首相は、テヘランでの正式な協議の開始前に、イスファハーンの観光名所や旧跡を見学し、イランの文明・文化の都に触れ、7日日曜の午後テヘラン入りが予定されています。

2日間にわたる今回の訪問には、ギリシャの政府高官の一部と、同国の通商産業界の活動家のグループ50人が随行しています。イランとギリシャの政府関係者は通商、金融、観光業、文化に関する複数の合意書に調印する予定です。さらに、住宅や道路建設、農業、医薬品産業、イラン産原油の輸入に関する合意書の調印も検討されています。両国はまた、地域・国際的な協力についても協議することになっています。

イランと6カ国の核合意の実施は、様々な分野におけるイランとヨーロッパ諸国の関係拡大の新たなチャンスを生み出しています。このことは、先週のドイツの外務大臣に続き、今度はギリシャの首相がイランを訪問したことからも明らかです。

現在、イランとヨーロッパ諸国の政治的な協議の優先事項は、中東やヨーロッパ諸国が直面しているテロや過激派による脅威、そして難民問題をはじめとする一連の地域問題となっています。EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は6日土曜、ベルギー・ブリュッセルでオランダのクーンデルス外務大臣と共同記者会見し、今月15日と16日にブリュッセルでイランのザリーフ外務大臣との会談が計画されていることを明らかにしました。また、「EUは、イランのみならず、そのほかの地域諸国からも正式に認められた役割を果たしている。さらに、できる限り緊張を緩和する協力的で賢明なメッセージを発信することに努めている」と語っています。

モゲリーニ上級代表は、包括的共同行動計画という形での核合意が、様々な分野における、上級レベルでのイランとEUの対話に必要な下地を整えたと考えています。このことは、二国間関係に加えて、地域の問題の解決や国際舞台への進出におけるイランの効果的な役割の活用も含んでいます。この建設的な役割は現在、シリアに対して顕著になっていますが、その効果はイラクやレバノン、といったほかの国の安定やイエメン戦争にも関係しています。

明らかに今日、地域は国際レベルでの協力と共感を必要としていますが、それは地域が直面している危険は世界をも脅かすことになるからです。イランのザリーフ外務大臣は最近、イギリスのシンクタンク・チャタムハウスでの演説において、「地域・国際問題の解決を促すには、アプローチの変更が必要である。我々はこれを一度試運転し、結果を得たのだから、再び結果が得られる可能性がある。我々は現在、また別の国際的な環境におかれている。それは我々が普通、グローバル化した世界と呼ぶ環境である。だが、我々はこれまでその意味に真剣に注目してこなかった」と語りました。

この視点から、核合意以降の、特にヨーロッパ諸国との協力におけるイランの外交が、経済通商、あるいは石油に関する合意書の範囲にとどまらず、集団的な安全保障と平和の実現に向けた協力の強化に基づくアプローチを目指していると言うべきでしょう。

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