週刊イラン
(last modified Mon, 12 Jun 2017 06:13:36 GMT )
6月 12, 2017 15:13 Asia/Tokyo
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この1週間にイランで起こった主な出来事です。 イランイスラム共和国の創始者、ホメイニー師の命日の追悼式典が行われました。 テヘランのイマームホメイニー廟と国会関連の建物でテロがありました。 アメリカ上院が、最近、イランに対する追加制裁案を可決しました。 イラン外相が、上海協力機構の会議に出席するため、カザフスタンの首都アスタナを訪問しました。 これらが、この1週間に起こったイラン関連の主な出来事で、イランや世界のメディアで報道されました。ここからは、それぞれの出来事についてみていくことにいたしましょう。

イマームホメイニー師の28回忌の追悼式典が、先週日曜、イマームホメイニー廟で行われ、ホメイニー師を支持する人々が出席しました。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、この式典で演説し、ホメイニー師の名と記憶は、革命の名と結びついているとし、次のように語りました。

「この2つは切り離せないものであり、イスラム革命は、ホメイニー師の最大の芸術だった」

ホメイニー師は、圧制からの解放を目指した革命の大きな動きを作り出す上で、国民の力を信じ、彼らの役割を強調することにより、イスラム革命の大きな動きを導き、イランのイスラム革命勝利の土台を整えました。ホメイニー師は、覇権主義体制から解放されるための唯一の方法は、理不尽な大国に対して一致団結することだという考え方を、イラン国民の間に強化しました。そのため、革命の理想や目的は当初から明らかであり、世界の大国の支配下にある多くの国にとって、理解のできる重要なものでした。

ハーメネイー師はまた、地域の現状に関する重要な点を指摘しました。

 

ハーメネイー師は、「現在の状況において、敵は地域諸国で代理戦争を開始している」と語りました。また、バーレーンとイエメンに対するサウジアラビアの干渉は、地域で代理戦争を始めるための敵の陰謀の一部だとし、テロ組織ISISは、誕生の地であるイラクとシリアを追われ、アフガニスタン、パキスタン、フィリピン、ヨーロッパに向かっているとし、次のように語りました。

「これは彼ら自身が起こした火種であり、彼らは今、それに巻き込まれている」

この中で、現在、地域に情勢不安をもたらそうとする流れが見られており、ハーメネイー師の言葉を借りれば、それは地域の代理戦争として形作られています。

 

イスラム革命の勝利から40年近くが経過したにも拘わらず、イランの革命の価値観は今も消え去っておらず、世界的な価値観に変わっています。イスラム革命は、ホメイニー師が描いた道において、各国の国民の権利擁護を目標に掲げ、世界の多くの革命とは異なり、本来の道を外れていません。そしていかなる状況においても、多くの圧力や妨害に晒されながら、自らの理念や価値観から離れたことはありません。そのため、イスラム革命は、世界の政治や社会において、真理を求める流れの象徴となっています。こうした、ホメイニー師の大きな動きは、地域や世界の根本的かつ大きな変化のきっかけとなりました。

 

先週水曜、テヘランで2つのテロ事件が発生しました。武装したテロリストは、先週水曜朝、イラン国会関連の建物に女装して侵入し、警備員ともみあいになり、彼らに向かって銃を発射しました。7日の国会とイマームホメイニー廟に対するテロリストの攻撃で、17人が殉教、52人が負傷しました。

イランはこれまでにも何度もテロ攻撃を受けています。1万7000人以上のテロの犠牲者を出したことは、イランが地域における最大のテロの犠牲国のひとつであることを物語っています。イラン国民は、1979年のイスラム革命の勝利当初から、盲目的な爆弾テロや数々の犯罪を目にしてきました。それは、アメリカとイスラエル、サウジアラビアやその他のテロの支援国の資金と陰謀により、モナーフェギンなどのテロリストによって行われてきました。

今日、テロは世界各国の情勢不安の最大の元凶となっています。テロによる死傷者に関する報道が聞かれない日はありません。西から東まで、世界のあらゆる国がテロの危険に晒されています。こうしたテロのほぼすべてにおいて、タクフィール主義のグループやISISの足跡が見られます。そしてISISも、自分たちの力を示すために、これらのテロの犯行声明を発表しています。

政治専門家は次のように語っています。

「シリアとイラクで政府や義勇軍が、自分たちの管轄する地域や市町村からISISを追い出すために行っている措置は、ISISに大きな圧力をかけている。そのために彼らは、世界各地でのテロを拡大している。とはいえ、ISISに国境はない。この組織は、世界の各地で戦闘員を勧誘し、そうした人々が、自分たちの住む場所で、タクフィール主義の目的のためにテロを計画し、実行している」

実際、ISISは、平和、和解、自由、全ての宗教の信者の平和的な共存といったイスラムの至高なる教えの誤った解釈による思想を持った単なるグループではありません。そのため、ISISというタクフィール主義のテロの脅威への対抗は、非常に複雑で困難です。政治専門家のお話しです。

「イランは、中東地域におけるテロとの戦いの先駆者である。この数年、イランの軍事関係者が、テロ組織との戦いにおいて命を落としてきた。ISISは、イランに対して大きな憎しみを抱いており、この組織の思想の源のひとつは、イスラムから外れた者たちとしてのシーア派への反対である。彼らはシーア派の信者を殺害することを義務と考えている。ISISはこの数年、イランでテロを引き起こすために多くの努力を行ってきた。しかし、イランから戦闘員を勧誘することに失敗し、イランの治安・情報機関がISISをよく認識していることから、彼らはイランでテロを行うことができなかった」

 

中東地域に現在生まれている状況は、イスラム革命勝利当初にイランに対して実践されたシナリオの繰り返しです。現在、同じシナリオが、今度はISISというテロ組織によって、地域の数か国で実施されています。サウジアラビアなどの政権は、テロ組織を支援し、イランの情勢を不安定にすることを、外交政策の戦略の一部として明らかにしています。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、テヘランでのテロの後、哀悼のメッセージを発表し、次のように語りました。

「7日のイマームホメイニー廟と国会で起きたテロは、イランの気高い国民と、革命、イスラム体制、ホメイニー師に関するすべての事柄への覇権主義に雇われた者たちの敵対や憎しみを明らかに示すものだ」

ハーメネイー師は次のように語っています。

「この犯罪は、アメリカ政府とサウジアラビアのような地域の彼らの傀儡に対する嫌悪を増幅する結果をもたらすだけであり、イラン国民は、一致団結し、強い決意で前進を続けるだろう」

 

一部の政界やメディアは、今回の動きを、地域の一部のアラブ諸国を利用した、アメリカのイランに対する敵対の新たな幕開けだとしています。地域や世界における全体的な方針は、リヤドの会合と、サウジアラビアの副皇太子によるイラン国内に情勢不安を持ち込む必要性に関する発言の後に描かれています。サウジアラビアの国防大臣は、5月2日、インタビューで、次のように発言しました。「サウジアラビアは戦争をイラン国内に持ち込みたいと考えている」

 

イランのホシュルー国連大使は、この発言を受け、5月4日に国連事務総長と安保理議長に抗議書簡を送り、イランに対するサウジアラビア国防相の発言は、イランに対する明らかな脅迫であり、国連憲章への違反であるとしました。ホシュルー大使は、「サウジアラビアの挑発や無責任な政策は、国連憲章の目的や原則への明らかな違反である」と語りました。

 

イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記は、フランスの新聞、フィガロのインタビューで、アメリカによるテロ組織の道具としての利用に関して次のように述べています。

「アメリカは、戦略的な目的を推し進め、シリア軍やその同盟国の拠点に対するアメリカの攻撃は、ISISへの支援に基づいて行われている」

 

国連のグテーレス事務総長は、イランのザリーフ外務大臣との会談で、テヘランのテロを非難し、イランの政府と国民に哀悼の意と連帯を示しました。

 

イランのザリーフ外相は、上海協力機構の首脳会議とアスタナ国際博覧会の開幕式に出席し、演説するため、先週木曜夕方、カザフスタンに入りました。

イランの外交政策の優先事項のひとつは、地域の経済協力と数か国の協力を拡大することです。上海協力機構の会合へのイランの出席も、そのようなアプローチによるものでした。イランは、この組織への加盟要請を2008年4月に提出しました。ロイター通信は、ロシア政府の関係者の話として、次のように伝えています。「イランはまもなく、この組織の完全な加盟国となる」

この関係者は、先週水曜、「イランは上海協力機構の7つ目の加盟国として受け入れられる」と語りました。

イランは、安全保障、貿易や市場、運輸とエネルギーの3つの問題に注目しながら、上海協力機構を見つめています。イランは8000万人の大市場を有しており、イランの上海協力機構への加盟は、加盟国間の協力に向けた効果的な機会になるでしょう。この組織は、国連安保理の常任理事国2か国が加盟し、重要な地位を有しており、経済分野でも好ましい状況を有しています。