週刊イラン
(last modified Tue, 11 Jul 2017 07:13:37 GMT )
7月 11, 2017 16:13 Asia/Tokyo
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シリアのISISの拠点に対するイランのミサイル攻撃についての、最高指導者の表明が発表されました。 最高指導者が、イラン司法府の関係者と会談しました。 1981年6月のイスラム共和党事務所に対する爆弾テロと、1988年6月のアメリカによるイランの旅客機撃墜事件の犠牲者が追悼されました。 アメリカの人権の本質を暴露する週間と国際的な麻薬対策に関する会合が開催されました。これらが、イランに関するこの1週間の重要な出来事でした。

先月18日、イランイスラム革命防衛隊が、シリア東部デリゾールのテロ組織ISISの拠点をミサイルで攻撃しました。その攻撃の数時間後、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、革命防衛隊の司令官らと会談し、ミサイル分野の革命防衛隊の努力を賞賛しました。

 

イスラム革命防衛隊は、先月18日、デリゾールにあるISISの司令部、拠点、自爆自動車製造施設に対して6発の地対地中距離ミサイルを発射しました。この攻撃で、幹部数人を含むテロリスト170人以上が死亡しました。

 

ハーメネイー師は、この攻撃の数時間後に行われた会談で、革命防衛隊によるシリアのテロリストの拠点へのミサイル攻撃はすばらしい行動だった、敵はミサイルに神経を尖らせていると述べ、「ミサイル関連の活動に取り組み、敵にダメージを与えるべきだ」と強調しました。

 

革命防衛隊の司令官も、この会談で、シリアのISISの拠点に対するミサイル攻撃の成功について報告を提示し、「この作戦は、革命防衛隊の海外支部の情報によって行われ、テロリストの拠点のみが攻撃され、民間人に被害は及んでいない」と強調しました。

 

アメリカは、地域の干渉的な国として、これまで何度も、安全保障問題を巡ってイランを脅迫してきました。こうした脅迫の目的は、イランを原則的な立場から後退させ、シオニスト政権イスラエルに対する抵抗勢力を弱体化させ、イラン恐怖症の戦略を継続させることにあります。先月7日にテヘランで起こったテロは、こうした脅迫が具現化されたものであり、イランの対応力を測るためのものでした。こうした中、革命防衛隊は、6発の地対地中距離ミサイルでシリアのISISの拠点を攻撃しました。

 

イランのデフガーン国防軍需大臣は、テヘランで記者会見し、シリアのテロリストの拠点に対するイランのミサイル攻撃に触れ、次のように語りました。

 

「今回示されたのは、イランのミサイル力のほんの一端に過ぎない」

 

デフガーン国防軍需大臣は、制裁がイランの軍事力に影響を及ぼすことはないとし、「イランは、あらゆる脅迫に対し、可能な限り厳しい方法によって回答するだろう」と強調しました。イランの防衛政策の主な指標のひとつは、脅迫に対抗するための戦闘力の拡大です。そのため、ハーメネイー師は、敵はミサイルに神経を尖らせているとし、「ミサイル関連活動に取り組み、敵にダメージを与えるべきだ」と強調したのです。

 

ハーメネイー師はまた、先週月曜、司法府の関係者と会談し、国際問題を法的に追及することは非常に重要だとし、次のように強調しました。

 

「司法府は、アメリカによるイランの資産の凍結、テロ、制裁、世界の虐げられた要人への支援、ミャンマーやカシミールのイスラム教徒への支援に関して法的な立場から問題に介入し、最終的な見解をはっきりと表明し、世界に明らかにさせるべきだ」

 

ハーメネイー師はさらに、「司法府は、社会における公共の権利の旗手であるべきであり、あらゆる分野において、人々の権利をしっかりと擁護し、違反者に対処する必要がある」と語りました。

 

先週、テヘランでは、国際麻薬乱用撲滅デーに際した会合が開催されました。イランの東の隣国であるアフガニスタンは、今なお、世界最大の麻薬生産国です。こうした中、アフガニスタンは情勢不安やテロとの戦いに巻き込まれており、地域や世界、近隣諸国の安全保障に直接、あるいは間接的に関わっています。

 

NATO北大西洋条約機構軍、特にイギリスは、これまで、アフガニスタンにおける過激派やテロへの対策について、正当化できるような進展を手にすることができていません。さまざまな統計が示しているように、アメリカがテロや麻薬への対策を口実に、アフガニスタンに侵攻して以来、この国の麻薬の生産量は数倍に増加しました。世界における麻薬の多様性や生産量の増加も懸念すべき問題ですが、それが増加したことには、どのような原因があるのでしょうか。なぜ麻薬対策は、終わりなき問題になっているのでしょうか。イランのラーリージャーニー国会議長は、国際麻薬乱用撲滅デーに関する会合の中で次のように語りました。

 

「麻薬は、人間の肉体や精神を内側から破壊し、家庭を崩壊させ、社会を混乱させる。そのため、社会にとって非常に穢れた現象である。イランは、ある程度、麻薬の密輸ルートをコントロールしているが、他の国々も対策を練る必要がある。なぜなら、イランがすべての費用を負担する必要はないからだ」

 

イランは、麻薬密輸対策において世界でも先頭に立っており、これまでにこの道において、

500人を越える殉教者と1万人以上の負傷者を出しています。こうした中、麻薬の脅威やその密輸組織への対策に向け、すべての地域諸国による効果的な共通の解決策を見出すことはできていません。

 

麻薬対策に向けた努力が効果的なものになるためには、全ての国がそれに取り組み、真剣な意志が形成されることが必要です。報告によれば、アフガニスタンの麻薬生産量は2016年に増加し、国連はそれを5600トンと発表しています。これらの報告によれば、生産された麻薬のうちおよそ35%が、イランを通過しています。この他、懸念すべき問題は、麻薬がテロ組織の収入源になっていることです。

 

明らかに、この問題の解決には、数カ国による包括的な努力が必要です。イランは、麻薬の生産国であるアフガニスタンの隣国として、厳しい麻薬対策に向けた努力により、世界の安全と平和の代償を支払っています。なぜなら、アフガニスタンにおける麻薬の生産は、地域だけでなく、世界全体にとって、危険な脅威となっているからです。

 

1982年7月、レバノン・ベイルートのイラン大使館の軍事担当者であったモタヴァッセリヤーン氏、ムーサヴィー代理大使が、他大使館職員とイルナー通信のカメラマンと共に、大使館に向かっている途中、シオニスト政権イスラエルとつながりのある軍事組織によって、検問所で拉致されました。

 

このテロから35年が経過します。イランはこれまで何度も、国連や国連安保理に対し、この問題への対処と、拉致された外交官らの安否を明らかにするための国際調査団の結成を正式に求めてきました。しかし、国連はこれについて、しかるべき責務を果たしていません。レバノンでは、しばらく前から、この問題を調査し、情報を収集するための調査委員会が結成されていますが、これまで、具体的な成果を挙げることはできていません。レバノンのシーア派組織ヒズボッラーのナスロッラー事務局長は、次のように語っています。

 

「イラン人外交官が、シオニスト政権の刑務所に拘束されていることを示す証拠がある。イスラエルは報告の中で、4人のイラン人外交官が拉致、殺害されて、彼らの遺体は埋葬されたと主張している。しかし、イスラエルは我々の敵であり、我々は、彼らの報告を信用することはできない。イスラエルはかつて、刑務所に一部の捕虜が存在していることを否定していたが、後に捕虜がこの政権の刑務所にいたことが明らかになった」

 

イギリスの新聞インディペンデントは、シオニスト政権イスラエルの諜報機関モサドを、イスラエルの残忍な殺害マシンと呼び、数々のテロの例を挙げながら、「これらのテロのすべてにおいて、イスラエルの諜報機関の署名が見られる」と報じました。

 

イランが改めて、核兵器禁止条約の完全な実施を支持しました。

 

国連は、アメリカとシオニスト政権の反対にも拘わらず、核兵器禁止条約を採択しました。この条約は、先週金曜、歴史的な採決の中で、イランをはじめとする122カ国の賛成により、ニューヨークの国連本部で採択されました。シオニスト政権やアメリカをはじめとする核兵器保有国のすべてが、この採決をボイコットしました。

 

イランのナジャフィーIAEA大使は、この条約の採択後、イランは大量破壊兵器の犠牲国のひとつだとし、核兵器禁止条約へのイランの完全な支持を強調しました。ナジャフィー大使は、大量破壊兵器を禁じられたものとした最高指導者の教令に触れ、核兵器の完全な廃絶に向けた努力における宗教指導者の役割が、条約の内容に盛り込まれたことを賞賛しました。

 

核兵器禁止条約は、強制力のある国際的な合意であり、核兵器の製造、備蓄、使用の脅迫の禁止を求めるものです。この条約により、核兵器保有国は、保有する核兵器やそれに関連するすべての施設を期限以内に廃絶する必要があります。国連加盟国の代表が、9月20日にニューヨークで行われる国連総会の中で、この条約に署名することになっています。

 

この新たな条約の採択は、非常に重要な国際的変化と見なされます。なぜならこの条約は、核の大国が、半世紀にわたって、自分たちの核兵器や利益を維持するために国際レベルで行ってきた政策に対して多くの非核保有国がノーをつきつけ、核兵器の廃絶に取り組んできた結果であるからです。