週刊イラン
今夜も、この1週間におけるイランでの主な出来事を振り返ってまいりましょう。
今週の主なニュースです。
イマーム・ホメイニー航空宇宙基地が、衛星ロケット・スィーモルグの発射実験の成功とともに開設されました。
アメリカ議会で、対イラン追加制裁案が可決されました。
アメリカ海軍の艦艇が、ペルシャ湾で挑発行為に出て、イランの艦艇に対し警告射撃を行いました。

イランでは先週、航空宇宙科学の分野で新たな歩みが踏み出されました。イマーム・ホメイニー航空宇宙基地が、衛星ロケット・スィーモルグの発射実験の成功とともに、正式に開設されました。
イマーム・ホメイニー航空宇宙基地は、技術面でも世界の最新の基準にそって設計、建設されており、最新のフェーズにおいて地球低軌道におけるイランの全てのニーズを満たすことができます。しかし、イランのこうした成功はアメリカの反発を招きました。今夜は、この問題にもスポットを当てることにいたしましょう。

アメリカ議会は、イランやロシア、北朝鮮に敵対するというアメリカ政府の方針を踏襲し、イラン、ロシア、北朝鮮に対する制裁案を可決しました。
この可決内容は、アメリカのトランプ大統領の署名を経て、法制化、そして実施される可能性が高いと見られています。
アメリカのポール・ライアン上院議長はイラン、ロシア、北朝鮮に対する制裁案が上院で可決された後、声明を発表し、「この法案は、アメリカ史上最も包括的な制裁案の1つであり、アメリカの安全保障の維持を目的とし、アメリカにとって最も危険な敵の包囲網をさらに狭めることになるだろう」と主張しました。
また、このほかの措置として、アメリカ財務省がイランの衛星ロケットの発射実験に反応を示し、イランの6つの組織を制裁リストに加えました。アメリカ財務省の声明では、アメリカ国内にあるこれらの6つの組織の資産は全て凍結されており、アメリカ人はこれらの組織との協力を禁じられる、とされています。また、アメリカ財務省のナウアート報道官も、イランの衛星ロケットの打ち上げは核合意の精神に矛盾するとしました。これに対し、イラン外務省のガーセミー報道官は次のように述べています。
「軍事・ミサイル分野におけるイランの政策は完全に明白であり、他国がこれに口出しする権利はない。イランのミサイル・防衛政策は、国家防衛および、地域の平和と安定、安全に寄与するためのものである。イランのミサイル計画は、近隣諸国をはじめとする他国にとって危険なものではなく、イランへの侵略という愚かな考えの全てを未然に阻止するための政策である」
地域におけるアメリカの挑発的なテロ行為に対処する全体的な計画案が、イラン国会・国家安全保障外交政策委員会の緊急会議で可決されました。この委員会のメンバーは29日土曜、イランのアラーグチー外務次官も出席したこの会合において、この計画について検討しました。これについて、イラン国会・国家安全保障外交政策委員会のブルジェルディ委員長は、次のように語っています。
「地域におけるアメリカの挑発的なテロ行為に対処する全体的な計画案が可決されたことは、アメリカ議会の行動に対してイラン国会の内部に完全な団結のムードがみなぎっていることを示している」
アメリカは、イランのミサイルの実験が安保理決議2231に違反しており、こうした実験には核弾頭の搭載能力のあるミサイルが含まれていると主張しています。しかし、EUの外務安全保障政策上級代表のマスラリ報道官は、次のように述べています。
「イランのミサイル実験は、核合意への違反ではない」
アメリカの政府関係者の主張とは逆に、イランのミサイル計画や抑止力は、核協議には全く関係がなく、核合意への違反ではありません。過去にイランの外務大臣を務めた、イラン外交戦略評議会のハッラーズィー議長は、フランスのラジオ局とのインタビューで、アメリカのトランプ大統領による中東での情勢不安を煽る政策を批判し、「アメリカは、核合意の実施を完全にかく乱している」と語りました。
アメリカは、国際的な意見の一致により、様々な口実を設けて対イラン制裁の新時代の幕を開けようとしています。アメリカは、気候変動対策に関するパリ条約や、NPT核兵器不拡散条約といったそのほかの国際的な合意、さらには事実上国際的な自由貿易法に対しても疑問を提示しているのです。そして、イランに対してのみならず、ロシアに関しても経済戦争に入り込み、国際的な利器に反して行動しています。
シオニスト政権イスラエルによる侵略的な政策は、依然として続いています。これに関する最新の問題は、パレスチナ人の権利を侵害するアクサーモスクへの侵略、そして聖地ベイトルモガッダス・エルサレムの真のアイデンティティを喪失させようとする動きであり、これらは大規模な反応を引き起こしています。

イランのアールハビーブ国連次席大使は先週火曜、「中東地域の状況とパレスチナ問題」を議題とした安保理の会議において、アクサーモスクに対するシオニスト政権の侵略行為を非難しました。また、イランの最高指導者を選出する機関である専門家会議も先週木曜、声明を発表し、「聖地の問題と、パレスチナ人によるシオニストへの抵抗運動インティファーダは、今なお世界の人々の覚醒の精神の中に息づいており、パレスチナ人の若者は、シオニスト政権の犯罪に対抗する唯一の方法は抵抗であるという結論に至っている」としました。
先週は、アフガニスタンのアトマル国家安全保障担当大統領顧問がテヘランを訪問し、両国の政府高官らが安全保障の分野での両国の協力を強調しました。今回のテヘラン訪問では、テロ組織の結成や拡大への対抗に関して協議が行われました。
イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記は、アトマル大統領顧問と会談し、「両国の安全保障は密接に関係しあっており、決して切り離すことはできない」と語りました。
情勢不安やテロとの戦いに向けた協力は、両国の国境の安全や安定の確保にとっての前提条件であり、両国が恒常的な共通の利益を得るための下地となります。イランはこの分野において、豊かな経験を有しており、これに基づいて東側の2つの隣国であるアフガニスタンとパキスタンとの協力を強調しています。アトマル大統領顧問が、シャムハーニー書記との会談で述べたように、アフガニスタンでの挙国一致政府の結成に向けたイランの建設的な協力により、そのための協議が継続されることになります。言うまでもなく、イランとアフガニスタンはこの分野で、協議や経験の交換を行うことにより、共通の利益や安全保障を活用できる下地が整うことになります。
次回もどうぞ、お楽しみに。