週刊イラン
この1週間の主な出来事です。 イラン国会で、大統領から指名された閣僚の資格審査が行われました。 イランのローハーニー大統領が、アメリカの核合意への違反について発言しました。 イラン統合参謀本部議長がトルコを訪問しました。 イランの石油関係者が、日本の石油企業INPEXのアーザーデガーン油田開発への復帰の可能性について発言しました。

イラン国会ではこの1週間、大統領によって指名された閣僚の資格審査が行われました。
国会は、大統領が提案した閣僚の資格審査を行う責務を負っており、国会の信任によって内閣が結成されます。国会による17名の閣僚の資格審査は、今月15日から始まり、20日日曜朝に終わりました。その結果、エネルギー大臣を除く16名の指名閣僚が信任されました。特に、ラフマーニーファズリー内務大臣、ザリーフ外務大臣、ザンゲネ石油大臣の続投が決まり、国防軍需大臣にハータミー司令官が就任しました。エネルギー大臣に指名されていたビータラフ氏は、唯一、信任を得ることができませんでした。この他、科学技術大臣のみが指名されておらず、後日、改めて指名が行われる予定です。
ローハーニー大統領は、先週火曜、国会で国防大臣について発言する中で、次のように語りました。

「地域の問題は、地域による解決法があり、イランは安定した国として、近隣諸国に友好の手を差し伸べ、誠意と確かな決意によって、地域の平和と安定を追求する」
ローハーニー大統領の発言は、核合意に対するアメリカの行動への強い回答でもありました。ローハーニー大統領は次のように語っています。
「アメリカは、よいパートナーでもなければ、信頼できる協議相手でもないことを示した。理不尽な発言や脅迫、制裁に戻ろうとする者たちは、実際、過去の空想にとらわれている。彼らは自分たちを平和という恩恵や利益から遠ざけている」
政治評論家によれば、この発言は、アメリカのトランプ大統領による最近の発言への回答と見なされています。ローハーニー大統領は国会で、「イランは数時間で核計画を再開し、ただちにそのレベルを、2015年の核合意締結の頃よりも高いレベルに到達させることができる」と語りました。
ロシア戦略研究所のアナリストであるウラディミル・フィティン氏は、トランプ大統領による脅迫の多用は、ある意味で政治的な流れになっているとしています。アメリカのヘイリー国連大使も、トランプ大統領の発言と同時に、イランのミサイル能力に関してこれまでの主張を繰り返し、イランのテロ支援と人権侵害に関する発言を行いました。
ヘイリー対しはこのように語りました。「イランはミサイル実験、テロへの支援、人権の無視について回答すべきだ」
アメリカは、テロや防衛問題を理由にした制裁により、イランを核合意から後退させ、まずイランに、核合意から離脱させようとしています。
今週も、イランの地域外交が活発に行われました。ここからは、この問題についてお話ししましょう。
イラン統合参謀本部のバーゲリー議長は、先週、トルコを訪問しました。この訪問の中で、両国の防衛・軍事協力に関する重要な合意が得られました。バーゲリー議長は、この訪問で、トルコのアカル参謀総長の他、ウシュク国防大臣、エルドアン大統領とも会談しました。今回の訪問では主に、防衛に関する協力、テロ対策の方法、軍事・安全保障協力の拡大、軍事問題や国境の協力について話し合いが行われました。

政治評論家は、地域の危機における政治・安全保障面での変化は、トルコにとって、懸念すべき問題になっており、トルコを近隣諸国との関係強化に向かわせているとしています。現在も、シリアの衝突における変化が、協力に向けた新たな状況を生んでいます。特にイラントルコは、ロシアとともに、シリア危機の解決に向けたアスタナ協議で協力しており、トルコは安全保障問題に対処する上で、地域の支援を必要としています。
バーゲリー議長のトルコ訪問によって、地域の協調を強化しようとする両国の意志が示されました。この協議の中で、エルドアン大統領が近く、テヘランを訪問することが明らかにされました。
イランとロシアは、トルコと協力し、アスタナ協議の中で、シリア危機の解決に向けた協力のための土台を築きました。トルコは、イランの重要な隣国であり、地域で重要な地位を有しています。両国の間には、地政学、歴史、文化の面で深い結びつきがあり、400年の間、常に友好を保ってきました。
政治評論家は、イラン統合参謀本部議長のトルコ訪問は、西側諸国のイラクに関する計画や、地域に新たなバランスを作り出そうとする動きに対処する上でのイランとトルコの協力の拡大を示すものだとしています。政治問題専門家のカカイー氏は次のように語っています。
「イランとトルコは隣国にあり、地域において政治や安全保障の点で共通の問題に注目している。今回の会談の一部は、イラクの問題に関するものであり、イランとイラクは、イラクのクルド人自治区の住民投票に関して敏感になっている。いずれにせよ、イランとトルコは、イラクの情勢変化が彼らにとって重要であること、イラクの領土保全と統一を強調していることを確認しようとした。この他、両国は国境の安全保障についても話し合った。トルコは長年に渡り、この分野で協力を行っている。このことは、地域の政治に注目すると重要である」
これについて、トルコのチャブシオール外務大臣は、インタビューで、9月25日に行われる予定のイラク・クルド人自治区の分離独立の是非を問う住民投票に触れ、「地域がこれほど多くの問題に直面している現在の状況の中で、この住民投票は状況を悪化させ、イラクを内戦に引き込む可能性がある」と語りました。バーゲリー議長もこれについて、トルコ訪問で地域問題について良好な話し合いができたとし、次のように語りました。
「両国の関係者にとって最も重要な問題は、イラクのクルド人自治区の住民投票という決定の発表である。この問題について、両国は、もしそれが実現すれば、イラク内戦の始まりとなり、その影響は近隣諸国にも広がるという共通の見解を有している」次の一文は繰り返しなのでカット

イランの関係者が、イラン南西部の油田開発に日本の石油企業INPEXが復帰する可能性を明らかにしました。イラン国営石油会社のカールドゥール最高経営責任者は、「INPEXは、この国際入札への我々の招待状に回答し、アーザーデガーンの開発に参加し、外国の石油企業とコンソーシアムを結成する意向を示した」と語りました。
INPEXがアーザーデガーン油田開発に復帰すれば、これは、イランへの投資を再開しようとしている日本にとって、一つの成果となります。INPEXは2010年、アメリカの制裁対象となることを懸念し、この油田の活動を脱退しました。
INPEXは、2016年、アーザーデガーン油田の研究に関する合意覚書に署名しました。INPEXのスポークスマンも、イラン国営石油会社からの招待状を受け取ったことを認め、「アーザーデガーン油田に関してどのように行動するかについて検討中であり、詳しいことは明らかにできない」と語りました。
INPEX以外にも、トタル、ロイヤルダッチシェル、ペトロナス、CNPCが、以前に、イラン国営石油会社と合意覚書を締結しています。この他にも、エニとBPが、この入札への参加に関心を示しています。