週刊イラン(音声)
(last modified Tue, 30 Jan 2018 12:06:56 GMT )
1月 30, 2018 21:06 Asia/Tokyo

この1週間に起こった主な出来事です。 イスラム革命勝利記念行事の開催に向け、イラン国民の大規模な準備が始まっています。 イラン軍の合同軍事演習がオマーン海で行われました。 イラククルド人自治区の行政長官がテヘランを訪問しました。

イスラム革命勝利記念行事の開催に向け、準備が始まっています。

 

イランでは、イスラム革命勝利記念日が近づいています。1979年2月11日のイスラム革命の勝利は、イランにとって大きな変化の始まりでした。

 

イスラム革命は、新たな思想によって世界に影響を及ぼし、覇権主義的な政策を問題に直面させました。この革命はまた、弱小国の人々の正当な要求を強化し、独立や自由を求める運動に新たな機会をもたらしました。

チョムスキー氏

 

アメリカの言語哲学者のチョムスキー氏は、「イラン国民に対するアメリカや西側諸国の反対、敵対、陰謀は、この国が独立し、西側の支配に屈していないことにある」と語っています。こうした敵対にも拘わらず、イスラム革命は誇り高く存続しています。この革命は、イランに独立をもたらし、独立を求める本能を呼び覚まし、圧制下にある国民に解放のモデルを提示することができました。

ハーメネイー師、欧米諸国の若者に書簡

 

先週日曜は歴史的な出来事があった日でした。

 

3年前の2015年1月21日、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、フランスでのテロ事件を受け、欧米諸国の若者に書簡を寄せ、イスラム教を直接知り、イスラムに対する大規模なプロパガンダの原因について研究するよう求めました。

 

このハーメネイー師の歴史的な書簡は、パリでのテロ攻撃により、西側諸国、特にヨーロッパで反イスラムの思想やイスラム恐怖症が広まったときに記されました。ハーメネイー師はこの書簡の中で、テロや過激派の根源を明らかにすると共に、イスラム世界と西側の文化的な結びつきや相互的な影響について触れ、イスラム世界の現実を正しく理解するよう求めました。

 

ハーメネイー師は実際、重要な点を指摘し、自由な思想というアプローチにより、西側の若者に、よく考えることによって事実を突き止めるよう勧告し、世界に対し、イスラム教は事実を知り、考える宗教であることを示しました。その事実とは、人類の運命を変え、真の平和と安全に導くことのできるものです。アメリカのジャーアナリスト、アリソン・ウィアー氏は次のように語っています。

 

「ハーメネイー師の書簡は、私の祖国の若者たちを、彼らが必要とするものへといざなっている」

 

ハーメネイー師はその後まもなく、西側の若者たちに向けて2通目の書簡を送り、再び、なぜ過激派や暴力が生まれたのかについて考えるよう呼びかけました。

イラン軍の合同軍事演習「預言者ムハンマド5」

 

イラン軍の合同軍事演習「預言者ムハンマド5」が、イラン南東部オマーン海で実施されました。

 

この演習は、海軍、空軍、陸軍、航空防衛部隊が参加し、マクラーンとオマーン海で実施されました。

 

国際法の観点から、あらゆる侵略に対して自国の国境や領土を守る用意を整えることは、すべての国の合法的な権利です。これに基づき、イランはさまざまな脅威に対して抑止力を有しています。この中で、イラン全土に恒久的な安全を確立することが、国軍から革命防衛隊にいたるまでのイラン軍の共通の目標です。

 

イランは、いかなる侵略者に対しても、地域の安全を壊すことを許さないというメッセージを、常に敵や侵略者に与えています。イランは、通常の防衛措置により、最高のレベルの準備を強調しており、通常の防衛設備の製造と使用において、一瞬たりとも迷うことはありません。

ローハーニー大統領、ネチルバン・バルザニ行政長官

 

先週、イラク・クルド人自治区のネチルバン・バルザニ行政長官がイランを訪問しました。この訪問は、昨年9月25日にイラクのクルド人自治区で独立の是非を問う国民投票が行われて以来、初めてのバルザニ行政長官の訪問となりました。

 

マスード・バルザニ議長が実施した国民投票は、イラクの中央政府や様々なグループ、イランやトルコなど、地域や世界の国々の反対に遭いました。イラクの国会議員も、クルド人自治区の分離独立の是非を問う国民投票の実施は違法なものだと発表しました。

カカイー氏

 

中東問題の専門家であるカカイー氏は次のように語っています。

「バルザニ議長はこの国民投票の実施により、イラクからの独立の夢に近づけると考えていた。しかし、まもなく、この野望がイラクのクルド人自治区の情勢を大きな危機に直面させ、国民投票が犠牲の多い危険な政治ゲームであり、何の成果も得られない、逸脱した流れであることが明らかになった。バルザニ議長は、イラクからの独立の唯一の支持者はシオニスト政権イスラエルであることを知っていたにも関わらず、一部の外国勢力の誤ったアドバイスにより、このような行動に固執した。とはいえ、その野望も非常に短い期間で終わった」

 

バルザニ行政長官は、イラン訪問を前に、イラクや地域の情勢を現実的に見た上でバグダッドに赴き、イラクの中央政府との対立後、初めて、それまでとは異なる主張による会談を開始しました。実際、バルザニ行政長官のテヘラン訪問は、クルド人自治区の中央政府との協力や対話の重視という新たな政策によって実施されました。

 

イランのシャムハーニー国家安全保障最高評議会書記は、バルザニ行政長官との会談で、イラク・クルド人自治区の国民投票の実施という誤った戦略に触れ、「この国民投票により、イラクのクルド人自治区や近隣諸国の人々は、政治、経済、安全保障の面で大規模な犠牲を強いられた。なぜなら一部の人々は、クルド人の安全保障は、イラクや地域の市民のそれとは別のものであり、ISISやテロの脅威は協議や協力によって管理できると考えていたからだ」と語りました。

 

イラク・クルド人自治区の代表団は、2日間に渡るイラン訪問で、イランのローハーニー大統領、ラーリージャーニー国会議長と会談しました。

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先週、イラン、ロシア、トルコは、シリアの停戦を保障する3か国として、シリアの最新の情勢に関する協議を実施しました。

 

シリア問題に関するアスタナプロセスのイランの協議代表者を務める、イラン外務省のジャーベリーアンサーリー政治特別担当顧問は、この問題について、ロシア大統領府のラブレンティエフ・シリア特使、トルコのオナル外務副次官と会談しました。この協議の中心議題は、ロシアのソチで開催される会議へのシリアの反体制派の参加を促すことでした。シリア国民対話会議は、今月29日と30日にソチで開催されます。

 

シリア危機の解決に向けた協議が追求される中、シリアの一部のグループが懸念材料を作り出しています。中でも重要なのは、シリア北部の情勢不安です。

 

アメリカは、シリア北部に軍隊を配備する意向だと語っています。アメリカは、シリアのクルド人勢力の支援を得て、そこに軍隊を結成すると発表しました。ワシントンの中東研究所のポール・サリム副所長は、アメリカの政治メディア、ポリティコに寄稿した記事の中で次のように記しています。

 

「現在、シリア、ロシア、イランの陣営がシリアで勝利を収めており、トランプ大統領はシリア問題に関して、プーチン大統領に負けたことが明らかになっている」

 

アメリカは現在、情勢の流れを変化させ、イランとロシアをシリア危機の政治的な解決のプロセスから排除しようとしており、それはシオニスト政権とサウジアラビアにとって、戦略的な目標と見なされています。アメリカのペンス副大統領は、先週、地域を訪問した際、イランは地域の情勢を悪化させ、テロを支援していると非難しました。

 

核合意とアメリカの約束不履行の問題は、以前として政界やメディアの注目を浴びています。

 

シャムハーニー書記は、先週、アルアーラムチャンネルのインタビューで、核合意に疑問を呈するためのアメリカの最近の行動について次のように語りました。「核合意は、6か国と合意に至るためにイランが求めていた最低限の事柄だ」

 

シャムハーニー書記は、核合意の実施におけるアメリカの妨害に触れ、次のように語りました。

 

「核合意の見直しは、アメリカ大統領の妄想からくる、愚かな発言だ」

 

アメリカのトランプ大統領は、今月12日、イランの核関連の制裁停止を延長しました。しかし、核合意に残留する条件として、核合意の一部内容の変更、イランの軍事施設への査察、ミサイル関連の制裁といった問題を提示し、「もし議会とヨーロッパがこれらの条件を実現しなければ、核合意から離脱する」と語りました。一部のメディアは、ヨーロッパがトランプ大統領の脅迫を受け、イランに対する圧力を拡大しようとしていると伝えています。この問題に対し、イランの政府高官は反発しています。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、少し前、イランの学術分野のエリートや大学生を前に演説した際、ヨーロッパに向けて次のように語りました。

 

「ヨーロッパは、アメリカ議会が決定すると思われる、制裁を含めた核合意の違反をはじめとするアメリカ政府の行動に抵抗すべきだ。イランの防衛力や地域におけるイランの存在といった問題について、アメリカに同調すべきではない。我々は、アメリカの理不尽な要求にヨーロッパが同調することを決して受け入れない」

 

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