核合意が終了した際に、従来以上の核活動への復帰を目指すイラン
イラン原子力庁のキャマールヴァンディ報道官が、アメリカの核合意離脱への対抗措置について、「イランは必要な時期に自国の核活動を再開するために必要な下地を有している」と語りました。
キャマールヴァンディ報道官は26日土曜、プレスTVのインタビューでさらに、イランが核合意に定められた条項を守っていないとする、アメリカのトランプ大統領の主張について、次のように述べています。
「イランの核合意の是非の有無を判断するのは、IAEA国際原子力機関の責務である。この国際機関が10回にわたりイランの核施設を査察した結果、イランが核合意を遵守していることが公然と強調されている」
トランプ大統領の脅迫めいた発言は、決して目新しいものではありません。トランプ政権の前にはオバマ大統領も、「もし可能だったなら、自分はイランの核施設の全てのボルトやねじを開けていた」と語っています。アメリカのポンペオ国務長官も今月25日、VOAのインタビューで権限の枠を外れた発言を行い、「ウラン濃縮やプルトニウム施設の保有は、イランにとって相応しくない」と述べ、空想的な繰り返しの発言の中で、次のように語っています。
「イランが、ウラン濃縮あるいは、核分裂を起こす物質の生産に手を出さないことを確信するためには、イランの軍事施設や研究施設への査察が行われる必要がある」
もっとも、この発言に対してはイラン外務省のガーセミー報道官が反論しています。ガーセミー報道官は、ポンペオ長官が国際情勢や世界の現実から疎遠になっているとし、次のように語っています。
「参考までに、ポンペオ長官に対しては、ウラン濃縮というイランの合法的な権利が確定しているとともに、その技術も既にイラン国内のものとなっていることを告知しておく必要がある。このことから、ポンペオ長官は情勢の変化から取り残されており、既に失敗した前任者の発言を繰り返していることになる。もっとも、我々はもちろん、国際世論にとっても、彼の発言は認められたものではない」
アメリカは、広島と長崎に原子爆弾を投下するという犯罪を起こし、、世界で唯一、核兵器を使用した国とされています。アメリカはまた、新しい核兵器の製造計画を打ち出していることから、他国の核活動について見解を表明する資格はないことになります。明らかに、イランが自国の研究炉や原子力発電所に必要な燃料の確保を目的とした、ウラン濃縮の過去のレベルへの引き上げについてどのような決定を下そうとも、それは平和目的での活動という合法的な権利や、IAEAの規約に基づくものです。この分野でのイランの進歩も、イランがそれに必要な知識や資格・適正を有していることによるものです。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は今月23日、体制責任者との会談において、次のように述べています。
「今や、国連がウラン濃縮というイランの権利を正式に認めている以上、原因となっているのは協議ではなく、核の分野における我々の進歩である」
イラン原子力庁のサーレヒー長官もこれに基づき、イラン原子力庁は様々な分野で核合意以前の状態に戻る用意があると表明しています。現在、イランが核合意の存続に向けてEUに与えた猶予期間が数週間しかないこと、そしてイラン原子力庁の責任者の発言により、これに関するやり取りがさらに緊迫化しています。イランは、あくまでこの合意による利益が維持されるという十分な保障が得られるときまで、核合意を遵守することになるのです。