ニュース解説;核合意の維持に向けたヨーロッパの新たな歩み
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EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表
EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表が29日金曜、ベルギー・ブリュッセルで2日間にわたり開催されたEU首脳会合の終了に当たり、イランを支持する決議案に賛成票を投じました。
モゲリーニー上級代表によれば、EU諸国の首脳陣は賛成28票により、核合意の枠内でのイラン支持案を採択しています。さらに、今後2日の間に、支持案の内容がイランの政府関係者に伝えられることになっています。
イラン支持案は、ヨーロッパが核問題に関するアメリカの対イラン制裁の復活への対抗を約束する目的で成立しています。この支持案を作成したのは、核合意に関わっているドイツ、フランス、イギリスのヨーロッパ3カ国です。
現在、イランが基本的に重視している事柄は、核合意による利益を得ること、そしてこの合意に調印したヨーロッパの相手国が明確な確約を示すことです。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、アメリカを除いた核合意の関係国とイランの協力という形での、核合意の継続の条件として、イランのミサイル計画には言及しないこと、そしてイランが地域での存在感を発揮すること、イランが必要とする、他国によるイラン産原油の購入、イランとヨーロッパの銀行間の関係、アメリカの制裁に対する明白な反対、となっています。
ヨーロッパは、これまでに何度も、アメリカによる対イラン制裁の復活に100%対抗することは無理であり、特にフランスの石油大手トタルや、ドイツの複合企業シーメンス、フランスの航空機製造企業エアバスといった、ヨーロッパの大手企業のイラン市場からの撤退という決定に一矢を報いることはできないことを認めています。しかし、EUはこの数ヶ月間にイランとの経済通商関係の維持や、追加制裁を初めとするアメリカの対イラン制裁の悪影響を回避するための決定を下しています。こうした決定には、アメリカの対イラン制裁の影響の回避を目的として、1996年に可決されたブロッキング規制が挙げられます。今回の新たな決定により、ヨーロッパ企業は国外ではアメリカが行使する制裁に従う必要がなくなります。さらに、欧州委員会は。ヨーロッパの投資銀行に対し、イランで活動するヨーロッパの投資家を支援するよう求めています。
ヨーロッパの首脳陣が打ち出したイラン支持案は、核合意の維持に向けたヨーロッパの新たな歩みと見なされます。現在、ヨーロッパに加えて中国やロシアも、アメリカや同国のトランプ大統領がとっている一方的で専横な立場に対し、どのように対処するかを今一度はっきりさせる必要があります。イランのアラーグチー外務次官は、これについて次のように述べています。
「イランの核合意残留は、ヨーロッパ諸国とロシア、中国の行動にかかっている」
アメリカのトランプ大統領は、アメリカの利益が維持されていないことを口実に核合意から離脱しました。しかし、核合意は基本的に国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランの間で、イランの核問題を解決するために成立したものとして、その有効性を示しています。核合意が消滅することは、明らかにヨーロッパにとって様々な側面での失敗と見なされます。
ドイツのメルケル首相は、核合意をめぐるヨーロッパとトランプ大統領の対立を深刻なものとみなしています。イランはこれまでに何度も、核合意とこの合意の完全な実施に対する誠意を証明してきました。今度は、ヨーロッパが核合意の維持に向けて現実的な歩みを踏み出す番となっています。核合意の維持が、ヨーロッパの政治、通商経済、安全保障面での利益を維持すると同時に、トランプ大統領の一方的な行動に対抗する上で効果的な行動となることは、紛れもない事実なのです。