視点、米大統領に抗しきれないヨーロッパ
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ザリーフ外相
イランのザリーフ外相が、25日土曜に「発刊」されたドイツの「週刊誌」シュピーゲルとのインタビューで、「ヨーロッパには、アメリカのトランプ大統領に対抗する力がない」とし、「ヨーロッパがアメリカに盲目的に媚びへつらっていることは、1つの大惨事に等しい」と語りました。
ザリーフ外相はこのインタビューでさらに、英独仏のヨーロッパ3カ国が発動すると予想される、核合意内の紛争解消システム(国連の対イラン制裁行使につながりうる方策)に触れ、「ヨーロッパには、このような方策に訴える法的な根拠が欠如している」と述べました。また、「中国とロシアは、この問題に関してイランと見解が一致している」とし、「ヨーロッパは、1つの大きな戦いに向けた覚悟を決めるべきだ」としています。
紛争解消システムとは、核合意に定められた方策の最後の部分であり、国連決議2231により中止されていた以前の国連決議を復活させることができる、というものです。
ヨーロッパ諸国は、俗に「引き金システム」とも称されるこのシステム発動の狙いを、イランの核合意内の責務履行復帰に定める一方で、イランは1年以上前から核合意内の条項に従い、5段階にわたってこの合意に定められた責務の縮小プロセスを実施してきており、自らの政策そのものをまったく変更していません。
イランはこれまでに何度も、核合意内の自らの責務を遵守している旨を表明しています。このことは、IAEA国際原子力機関やヨーロッパ諸国も、様々な時期に発表した報告や声明において正式に認めています。
もっとも、ヨーロッパ諸国は自らのこの決定がもたらす結果を懸念しており、そのために当面この件を、双方の対立の審理責任者である合同委員会に付託しています。
イランの地政学者であるアブドルレザー・ファラジーラード教授は、「件のシステムの発動は、イラン問題を国連安保理に持ち込むことや制裁の再発動を意味するものではなく、むしろヨーロッパは対イラン交渉の開始を望んでいる」と語りました。もっとも、ここで同教授はこの交渉を、脅迫という味を伴ったものだとしています。
イギリスのジョンソン首相がBBCとのインタビューで語った、現行の核合意に代わる、所謂トランプ・ディール”関連の発言は、こうした視点を裏付けるものです。
ヨーロッパ諸国がこうした行動に出ている一方で、イランの決断の根拠は、核合意の枠組みにそったイランの経済的な利益の実現に関して、同合意の相手側の英独仏が消極的な立場をとっていることへの反応だといえます。イランは今月5日、核合意内の責務縮小の5段階目に踏み切りました。
イランの核計画に照らし、イランはもはやウラン濃縮やその濃縮濃度、濃縮ウランの備蓄量、さらには研究開発の点で一切の制限がなくなり、またイランの核計画は単に自らの技術的なニーズに基づき進行することになります。
現在、ヨーロッパは核合意への残留、あるいはアメリカと同様に離脱するかの岐路に立たされている一方で、イランへの対抗措置がもたらす影響や結果を強く懸念しています。もっとも、イラン側からの報復・回答はこれまで脅迫的なものではなく、また今後もそのような事は考えられず、イランはあくまでも自らの合法的な権利の枠内で行動していくと考えられます。
それは、イランのザリーフ外相がシュピーゲルとのインタビューで、イランがNPT核兵器不拡散条約の脱退を示唆していることへの質疑に答え、「イランのNPT脱退イコール核爆弾製造ではない。その理由は、イランが倫理・宗教信条面での問題に照らし核兵器製造を全く求めていないことにある」と述べているとおりです。
ザリーフ外相はまた、このインタビューの続きにおいて、イランイスラム革命防衛隊ゴッツ部隊のソレイマーニー司令官のテロ暗殺にも触れ、地域の緊迫化の原因がソレイマーニー司令官暗殺というアメリカのテロ行為にあるとし、「アメリカは、西アジア地域の諸国民からこのテロ攻撃の報復を受けるだろう」と語りました。さらに、「欧米諸国およびすべての国際社会は、テロ組織ISISの滅亡に関してソレイマーニー司令官に負うところが大きい」と述べています。いずれにせよ、多国間主義の成果としての核合意に対するヨーロッパの政治的な決定は、この合意を一極主義という奈落の底に陥れようとしています。
ヨーロッパ諸国は、核合意存続のためにこの決定を下したと主張していますが、数々の証拠資料からは、ヨーロッパのこうした行動がアメリカへの屈服・追従の結果であることが見て取れます。これは、ザリーフ外相が述べているとおりまさに、アメリカに対するヨーロッパの盲目的な阿諛追従であり、大惨事の実例だと言えるでしょう。
IRIB国際放送・アミーンザーデ解説員
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