視点;新型コロナウイルス対策、脅威から機会への転換
(last modified Sun, 05 Apr 2020 12:48:03 GMT )
4月 05, 2020 21:48 Asia/Tokyo
  • 新型コロナウイルス対策
    新型コロナウイルス対策

「我々は、新型コロナウイルス対策におけるイランの進歩を楽観的に見ている」

これは、リチャード・ブレナンWHO世界保健機関使節団代表による、1ヶ月前のテヘランでの記者会見での言葉です。ブレナン代表はさらに、「イランの医療スタッフの勤勉ぶりに、心から最大級の賛辞を送るとともに、これを名誉に感じている」と語りました。

ブレナン氏は、「イランは東地中海地域で最もしっかりした保健衛生システムの1つを有している」とし、「情報交換は、世界にとって非常に重要であり、新型コロナウイルス分野でのイランの成果は、他国に伝えられる必要がある」と述べています。

リチャード・ブレナンWHO世界保健機関使節団代表

 

現在までのところ、新型コロナウイルスの収束時期についてはめどが立っておらず、予断を許さない状態にあります。エボラ熱といったそのほかの類似した感染症に関しては、半年後にワクチンが開発されました。一部の医療筋は、新型コロナウイルス用ワクチンの発明・開発には9ヵ月から1年を要する、との見方を示していますが、その時までの最も重要な仕事は、感染者の診断や隔離・検疫の迅速化及び、感染の連鎖ルートの遮断だとされています。

イラン保健医療教育省及び、新型コロナウイルス対処への最前線の現場では、多数の人々が日々最大限に尽力しており、このことはこのウイルス撃退に向けたイランの確固とした決意や責任感の強さを物語っています。そうした努力や感染者の検査・診断の迅速化が続けられる中の4日土曜、テヘランにあるシャリーフ工科大学の先端情報通信科学技術研究所での式典で、新型コロナウイルス診断システムが公開されました。

同研究所のラビーイー所長はこの公開式典において、「現在のところ、新型コロナウイルスを診断する最も迅速な方法は胸部スキャンである」とし、「現在、このシステムと類似したシステムが存在しているのは中国、そしてアメリカのスタンフォード大学であるが、イランの若手研究者らも、このシステムの開発・稼動に成功した」と語りました。

このシステムは、遠隔地にいる医師のように機能し、危険率を下げるとともに、新型コロナウイルス感染者の治療に極めて重要となってくる肺の損傷部分について正確に計測します。

 

新型コロナウイルス対策に必要な機材や物品の確保は、現在ナレッジベース企業の努力により、際立って迅速化しています。このプロセスにおいて発生した重要な出来事とは、世界のごく一部の先進国に独占されていた機材の製造ができるようになったことです。こうした機材にの酸素を製造する人工呼吸機(ベンチレーター)があり、これにより普通のベッドをICUに転換することが可能になります。

サッターリー副大統領

 

イランのサッターリー科学技術担当副大統領は、「現在、複数のナレッジベース企業が新型コロナウイルス診断キット生産の現場に参入し、1週間あたりのキット生産可能数が10万点に増加した。これにより、イランは今後、他国から診断用キットを輸入する必要はなくなるだろう」と語りました。

マスク製造機材を製造するナレッジベース企業もマスク生産の現場に参入しており、これにより国内の需要量の問題は解決されると見られています。新型コロナウイルス蔓延当初に比べて、マスクの生産量は4倍以上に増大し、今後マスクの大量生産ラインが稼動することで、イランでのマスクの生産量がさらに大きく増えるとともに、その一部をマスクを必要とする地域諸国に輸出することも可能になると思われます。

サッターリー副大統領はまた、ナレッジベース企業が現在、新型コロナ関連医薬品の規約を調査中であるとして、「イラン国内の研究者らにより数百件もの臨床実験が実施されている」としました。

これらの成果は、意思と努力、知識がもたらした成果であるとともに、生産分野での躍進の目に見える証拠だと言えます。現在、全世界のほぼすべての国が新型コロナウイルスに巻き込まれており、このウイルスへの感染はもはや世界的な問題と化しています。現在、世界での新型コロナウイルス感染者数は100万人の大台を突破しており、こうした現状において新型コロナウイルスに対処するためには、自らの知識や経験を他者と共有し、この脅威をチャンスへと転換していかねばなりません。これに関して、多数の国が支援に向けた行動を起こしていますが、この流れには例外も存在します。その1つがアメリカであり、対イラン制裁の行使により、自らがいかに人間的な価値観や基準から乖離しているかを、世間に示しているのです。

 

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