4月 26, 2016 19:33 Asia/Tokyo
  • アメリカによるイラン資産押収

およそ20億ドルのイランの凍結資産の押収に関するアメリカの最高裁判所の判決を受け、イランは、正式にこの問題を国際裁判所での審理にゆだねると発表しました。アメリカはこの資産を、1983年のベイルートの爆発事件で死亡したアメリカ人の遺族への賠償金にあてるとしています。

アミーンザーデ解説員

イラン大統領府は、25日月曜、アメリカに対する訴状を調整していると発表しました。イランのザリーフ外務大臣も、「アメリカ政府には我々の資産を保護する責任があり、もしそれに手がつけられるのであれば、同国の政府に対して損害賠償を求める」と述べました。

アメリカの裁判所のイランに対する、国際法規に反する決定には、長い歴史があります。このような判決の下地は、1990年代の終わりから経済制裁と共に整えられました。アメリカ議会が治外法権法を可決した1996年から、アメリカの裁判所は、いわゆるテロ支援国家に対して審理を行うことができるようになりました。この法により、世界のどこであってもテロの被害にあったアメリカ人、あるいはその遺族はテロを支援している政府をアメリカの裁判所で訴えることができます。これに関して、アメリカの国務省はテロ支援国家のリストを提示しています。

イランは1984年から、アメリカのテロ支援国家リストに入っており、イランに対する訴えはこうした理由で提示されました。この訴訟の一つに、1983年のレバノンでの爆発事件に関するものがあり、この事件でレバノンのアメリカ海兵隊の拠点が攻撃され、およそ240人の兵士が死亡しました。遺族は2003年、アメリカの裁判所に訴えを起こし、イランに対し20億ドルの賠償金を求めました。

また2006年には、アメリカの連邦裁判所のひとつが、イランの古代遺跡ペルセポリスのコレクションを、パレスチナ人の自爆による犠牲者の賠償金として押収する判決を下しました。

最近でも、アメリカの裁判所は、証拠を提示することなく、イランを2001年のアメリカ同時多発テロに関与したと結論付けました。この問題においてイラン政府に対する訴えを起こすことに成功した人々は、イランの機関に属する資産を見つけ出し、損害賠償を請求しようとしています。これに関して標的になっているのがイラン中央銀行です。こうした中、中央銀行はほぼどの国においても、法的な免除を受けています。しかしながら、アメリカは国際法規に注目することなく、前例のない措置の中で、一連の訴えを提示することで、中央銀行の有価証券を押収しようとしました。イランはこれまでアメリカで発行された有価証券を購入したことはなく、中央銀行の所有する有価証券は、ヨーロッパ市場などで発行されたドル建有価証券です。これにより、アメリカの裁判所は、法的にこのような押収の判決を出す権利はなかったのです。

明らかなことは、国際体制や国際法規は実際、一国のものではなく、国際社会によって守られるべきです。

このような敵対的な動きは、イラン国民に対するアメリカの干渉行為の経歴を物語っており、イラン国民の記憶や歴史から消え去ることはないでしょう。

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