イラン新政権発足を待つウィーン協議
(last modified Sun, 18 Jul 2021 10:13:52 GMT )
7月 18, 2021 19:13 Asia/Tokyo
  • ライースィー氏とローハーニー大統領
    ライースィー氏とローハーニー大統領

オーストリア・ウィーンでの核合意復活交渉で、イラン代表団の団長を務めるアラーグチー外務次官がツイッター上で、「ウィーン協議は、イラン新政権発足を待つ必要がある」と語りました。

アラーグチー次官はさらに、「我々は政権移行期にあり、政府内では民主的な権力の移譲が行われている最中である」と述べています。

また、「ウィーン協議がイランの新政権発足を待たなければならないことははっきりしており、これはあらゆる民主主義のが求める要求だ」としました。

イランの大学で教鞭をとる国際問題の専門家、レザー・ザビーヒー教授は、ウィーン協議の進展の遅延理由に関して、「我々は現在、協議の第6ラウンドと第7ラウンドの間で活動が休止している様子を目の当たりにしている。しかし、これは現在の状況を考えると、ごく通常の成り行きだ」と述べています。

また、「交渉における遅延発生の原因の1つは、政権移行と内部協議の問題だ。政権移行というテーマは、あらゆる政治体制において敏感な事柄であり時間のかかるものだ」としています。

はっきりしていることは、イランが政権交代に関係なく、常に国際的な義務を遵守してきたことです。ライースィー・次期イラン大統領も、各種制裁の全廃の必要性および、相手側の責務履行の場合にイランが責務を履行することを強調しています。このため、交渉の原則と目標に根本的な違いはありませんが、方法や細部が一部で異なる可能性が出てきます。

アメリカに関してこれまでに見られたものは、約束や責務の不履行であり、これはトランプ前大統領の核合意離脱により加速化し、依然として継続されています。その後発足したバイデン現政権は、イランのミサイル問題や地域政策にまで、核合意の範囲を拡大しようとしています。しかし、これらの過剰な要求は、核合意において何の位置づけも持ちません。にもかかわらず、アメリカは手を変え品を変え、事実のすり替えを行おうと画策しています。

米国務省は、アラーグチー外務次官のツイートに反論する形で、声明を発表し、「イランは、ウィーン協議における現在の膠着状態への対応を回避しようとしている」と主張しました。

しかし、こうした主張の一方でアラーグチー次官は、ウィーン協議の第6ラウンドの終了後、カタール国営衛星通信アルジャジーラとのインタビューで、核合意復活交渉プロセスについて、「ウィーン協議では、さまざまな問題について具体的な良い進展が見られ、これまで以上に合意に近づいたと我々は考えている。だが、まだ交渉が必要な根本的問題がいくつか残っている」と語っています。

総括すると、核合意の復活には1つの政治的な意思が必要だと言うべきでしょう。アメリカは、イランに保証を与える上で何かと口実を設け、行動を渋っています。これらの遅延原因こそは、米国内の内圧にも起因しているこれらの遅延原因が、交渉プロセスを長引かせているのです。イランは、米国側からの責務履行や約束遵守、および相手側が今後いかなる口実によっても核合意から離脱しないことの法的な保証を求めています。しかし欧米諸国は、この分野での信頼構築を渋り、可能な限り最大限の圧力をかけてあらゆる方法で、イランの防衛力の管轄に入るミサイル能力などの核合意には関係のない他の問題をも、核合意復活交渉プロセスに持ち込もうとしています。米国は、トランプ前政権の下で行使した、核関連以外とされている制裁に関しても、注目に値する柔軟な姿勢は示していません。

このことは、米国当局がイランへの最大限の圧力行使という政策の失敗を公然と認めてはいるものの、これまでと変わらずイランへ圧力をかける梃を持ち続けようと画策していることを意味します。しかし、この失敗した政策の継続を主張することは、同国の核合意への復帰をさらに遅らせることになります。

 

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