視点
ウィーン協議の行方、良好な合意成立を目指すイランの意欲と決意
アメリカの圧政的な制裁の解除を目指しての協議が、先月29日よりオーストリア・ウィーンにて開始されました。
実に5ヶ月ぶりの再開となった今ラウンドには、イラン側からは法律と経済の専門家と外交官らで構成される経験豊富なチームが、バーゲリーキャニー外務次官を団長として出席しています。
これらの交渉においてイランが強調しているのは、米国政府および核合意のそのほかの署名国が保証を提供することによって今後の核合意離脱や、過去および今後の新たな制裁行使ができなくなるようにすることです。
制裁解除作業部会の専門家協議は、今ラウンドの交渉の2日目となる30日火曜朝に始まりました。イラン代表団は、制裁のレッドリストが実施されている限り、米の核合意復帰のゴーサインは出ないだろうと強調しています。
米国は2018年に核合意から離脱し、制裁という最大限の圧力を行使し核合意をを他の問題に絡めることで、核合意復活交渉の複雑化を招いた形となっています。
イランの核交渉チームの元メンバーだったムーサヴィアーン氏は30日火曜、米CNBCとのインタビューで、イランがウィーン協議で厳しい姿勢をとっているかという質問について「イランの要求は、核合意の正確で完全で正しい実施である」と語りました。
また、「イランの交渉担当者は、核合意以上の、あるいはそれ以下のものは全く要求していない。米国、ロシア、中国、ヨーロッパはいずれも、核合意の復活とその完全実施を提案しているが、それはまさにイランが言っていることに他ならない」と述べています。
イラン代表団が、協議開始の前後に専門的な語り口と建設的な態度、それでいて真剣で毅然とした立場を示したことから、すべての関係方面の評価は協議開始当初から肯定的なものとなりました。ウィーン協議に対するプラスの認識は、この協議前の一部のメディアや報道機関が、イランの立場に対して否定的なイメージを作り出そうと工作したにもかかわらず、そうした動きが失敗し、協議出席者はこの協議について建設的な見解を持っていることを示した形となっています。
ハティーブザーデ・イラン外務省報道官は、ウィーン協議の前夜にツイッターページへの投稿で、「米国と欧州トロイカ(英独仏)は詐欺的な声明を発表し、制裁を強化し、話をでっち上げ、シオニスト政権イスラエルの脅威を目の前にして沈黙を決め込んでいる」としました。
バーゲリーキャニー・イラン外務次官はこれに関して、最大限の圧力行使が幅を利かせている限り、核合意復活は絵空事でしかない、と語っています。
イランは自らの責務遵守を実際の行動により示しており、現在も「イラン国民の正当な権利を保証する公正な合意」に達する準備が完全に整っており、またこれを決意しています。
政治評論家や有識者らは、ウィーン協議がどのように進展するかは、アメリカの矛盾した行動の修正にかかっている、としています。このため、協議の相手側が時間を浪費するのではなく、建設的な見解を持って、意味のない騒ぎ立てを避けてウィーン入りすれば、交渉は正しい方向に進むと見られています。こうした中、イランは決して急ぐことはなく、「迅速な合意形成よりも良好で正確な合意」をモットーとしています。
アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相もこれに先立ち、ある口上書において、「西側諸国が核合意における約束違反を起こしたにもかかわらず、イランは善意を示し、一方的および違法な制裁の解除という究極の目標を掲げて、5カ国グループとの『良好な合意』に到達するための、結果志向の対話を行う準備ができている」と述べています。
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