ソレイマーニー司令官の殉教と西アジアでの米の地位の急速な凋落
(last modified Mon, 03 Jan 2022 13:31:05 GMT )
1月 03, 2022 22:31 Asia/Tokyo
  • ソレイマーニー司令官の殉教
    ソレイマーニー司令官の殉教

2022年1月3日は、イランイスラム革命防衛隊ゴッズ部隊の司令官だった故ガーセム・ソレイマーニー氏が、米政府によりテロ暗殺され殉教してから2周年に当たります。

2020年1月3日未明、テロとの戦いの偉大な指揮官の1人を暗殺するという、米国政府の犯罪のニュースが報道されました。米国政府は、イラク首都バグダッド空港近辺にて、ソレイマーニー司令官を、イラク民兵組織ハシャドアルシャビのアブーマハディ・アルムハンディス副司令官を含む、ほか複数名の同行者らとともに暗殺しました。

特に米国とシオニスト政権イスラエルをはじめとした敵は、抵抗勢力の中でも最も有力な指揮官であったソレイマーニー司令官を暗殺することで、各国および地域レベルでの抵抗勢力の台頭を阻止する下地を作り、地域的なパワーバランスのかく乱を阻止するのみならず、それが抵抗の枢軸への逆風となると思い描いていました。

しかし、過去2年間の情勢から、敵は抵抗勢力の宗教的信条や内発的な動きを、再び誤解し誤って解釈していたことが証明されました。ソレイマーニー司令官の殉教が何にも増して示したのは、抵抗主義の他にはない特徴の1つが、その信仰の根っこになっている覇権主義やシオニストに反対する言葉であり、覇権主義を決して受容せず、覇権主義者との戦いを1つの基本原則として掲げているということです。

ソレイマーニー司令官の殉教により、覇権主義やとシオニズムとの戦いは停止、弱体化しなかったばかりか、アメリカのこの犯罪からわずか2日後には、イラク議会がアメリカ軍を国外に撤退させる法案を可決しています。また2020年1月24日には、バグダッドで数百万人規模の反米デモも実施されました。

さらに、イラクでは抵抗組織と米軍との衝突が日常茶飯事となり、ソレイマーニー司令官の殉教から5か月後、米政府はイラク政府と米軍の状況について新たな協議を開始せざるを得なくなりました。そしてこれらの一連の協議により、イラク駐留米軍の位置づけ・役割は「戦闘」から「軍事顧問」へとシフトされる結果となりました。

仮に米軍が2021年末までに実質的にイラクから撤退しなかったとしても、西アジア地域における米と米軍が「安全保障の構築」にならないだけではなく、安全保障のジレンマに直面しているのは、その活動の本質が変化したということです。 米軍のイラク駐留の本質が変化した主な理由として、彼らの安全上の懸念や、イラク政府からの安全上の保証の取得が指摘できます。

しかしそれでも、米国はどうやら、アフガニスタンでの敗北を受け入れて軍隊を撤退させたように、間もなくイラクからも完全撤退を余儀なくされると思われます。これに関して、イラク民兵組織ハシャドアルシャビの長であるファーテフ・アルファイヤーズ氏は、ソレイマーニー司令官とアルムハンディス副司令官らの殉教2周年に際して、「この2人の暗殺により米軍はもはやイラクにには残留しなくなるだろう」とコメントしました。

この現実は、ソレイマーニー司令官の殉教後に、西アジアがアメリカにより複雑化されている秩序から脱却する方向に動いていることを如実に物語っています。そしてこのことはまさに、ソレイマーニー司令官の殉教がもたらした重要かつ戦略的な結果であり、またそのような結果により、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は「殉教者ソレイマーニー氏は、生前のソレイマーニー司令官よりもさらに敵にとって危険である」と強調しているのです。

 

 


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