日本でのムスリムとの共生に求められる賢明さ
先月、外国籍のイスラム教徒の男が神戸市垂水区にある神社の設備を破壊する事件があり、SNS上などではイスラム教徒に対する否定的なコメントが相次ぎました。しかし、一人の行動をイスラム教徒全体に一般化することはできず、在日ムスリムが日本に果たしてきた役割も忘れてはなりません。
日本では過去20年間で、モスクの数が飛躍的に増え、宗教構成が根本的に変わりつつあります。
この変化は、日本国籍者と外国籍のムスリムの結婚によるものもありますが、大部分はイスラム諸国からの移民によるものです。
日本に住むイスラム教徒の数は2000年には1万〜2万人とみられていましたが、現在では20万人にのぼるとみられます。これは1世代経たずして10倍に増加したことになります。
モスクもかつては日本では見慣れない存在でしたが、2021年3月時点では全国で113のモスクがあります。これも1999年にはわずか15カ所でした。
これは日本社会が多様化したことの表れと言えます。しかし、それに伴う問題もあります。今回の神社への攻撃はその一例です。
事件後、一部のSNSユーザーは、神社を破壊した男の行動をムスリム全体に一般化し、イスラム教は他の宗教に対して不寛容だなどといったコメントを投稿しました。
その中には、「他の信仰を攻撃するのは日本人の価値観と相容れない。このような宗教とは共生できない」といったコメントもありました。
また、「イスラム教は世界支配を狙っている。昔から日本に根差してきた考え方とは一切合わない」というコメントもありました。
イスラム教と神道は、互いに異なる信仰であり、それぞれに独特の作法があります。
その一方で、両方ともそれを信じる者に対して精神的な教えを与えてきました。根本で異なる宗教であるとしても、一人のムスリムの行動をイスラム教全体に一般化するのは公正な議論ではありません。
日本のムスリム社会はこれまで、非ムスリムの日本人と共生し、日本社会に多くの貢献をしてきました。
日本でムスリムやモスクの数が増えているのは、日本の人々がイスラム教を脅威とはみなしておらず、彼らを歓迎していることの表れです。
それゆえ、日本のムスリム社会の指導者らは、一部の者による過激な行動を阻止する必要があります。