日本のGDP回復に遅れ、コロナ感染状況が影響
日本のGDP・国内総生産の伸び率は、新型コロナウイルスの感染に左右される状況が続き、結果として経済回復が遅延しています。
NHKが15日火曜、報じたところによりますと、コロナ元年となる2020年の第4四半期のGDPは、その前の3か月に比べた伸び率が物価の変動を除いた実質の年率換算でプラス7.5%でした。ところが、年が明けて2021年の第1四半期は、感染の急拡大で緊急事態宣言が出された影響で、伸び率はマイナスに転じ、実質年率=ー2.1%となっています。
また、同年の次の3か月の去年4月から6月は+2.4%となったものの、7月から9月まではデルタ株の感染拡大に伴う緊急事態宣言が響いて個人消費が落ち込み、マイナス2.7%となり、感染の状況に左右される形で、プラスとマイナスを繰り返してきたことが明らかになっています。
さらに今年1月の消費者態度指数は、新型コロナの感染再拡大や暮らしに身近なガソリンや食品の値上げが相次いだことから、前の月を2.4ポイント下回る大幅な悪化となりました。
このため内閣府は消費者心理の基調判断を「足踏みがみられる」と8か月ぶりに下方修正していて、感染再拡大と物価の上昇による個人消費への影響が懸念されています。
2000人余りの働く人を対象に景気の実感を聞く「景気ウォッチャー調査」では、1月の景気の現状を示す指数が前の月を大きく下回り、5か月ぶりに悪化しました。
この下落幅は、東日本大震災があった2011年3月に次ぐ過去2番目の大きさとなっています。
特に、GDP全体の半分以上を占める個人消費は新型コロナの感染状況に左右され続けていて、今の感染状況を反映した今年の第1四半期のGDPは再び減速することが懸念されています。
15日発表された昨年第4四半期のGDPはプラス5.4%、GDPの規模では541兆円となり、感染拡大直前の(2019年10-12月期)542兆円とほぼ同水準まで回復しましたが、コロナ前のピークである(2019年7-9月期)557兆円にはまだ届いていません。さらに先月以降、コロナ新変異種・オミクロン株の感染が全国で急拡大する中、3月までの3か月間のGDPの伸び率は大幅に鈍化するという見方も出ており、医療体制の充実など、感染対策と経済活動の両立をいかに図っていくかが課題となっています。