広島に続き長崎も、平和祈念式典にロシア招待せず
ことしの長崎原爆の日の平和祈念式典について、広島市に続いて長崎市の田上市長も、世界情勢を踏まえて来賓としてロシアとベラルーシの駐日大使に招待状を送らない考えを明らかにしました。
NHKによりますと、長崎に原爆が投下された8月9日に毎年、長崎市の平和公園で行われる平和祈念式典には、新型コロナ拡大前までは例年、被爆者や遺族などおよそ4000人が参列していましたが、感染が広がった去年とおととしはその8分の1の500人ほどに絞られていました。
長崎市の田上市長は26日の記者会見で、ことしの式典について、参列者を去年とおととしより1200人多い1700人ほどまで増やして開催する考えを示しました。
一方で、例年、来賓として招いている各国の大使などについて、田上市長はロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いている状況を踏まえて、式典の妨げとなる不測の事態が起きるおそれがあるなどとして、ロシアとベラルーシの駐日大使については招待状を送らない考えを明らかにしました。
これについて、田上市長は「長崎の被爆の実相に触れてほしいという思いはもちろんあるが、厳粛な式典ということを考えたときに難しい面が現実にあり、こういう対応をせざるをえないのは非常に残念だ」と述べました。
これに先立ち、広島で8月6日の原爆の日に開かれる平和記念式典についても、ロシアへの招待状送付が見送られています。
広島市は、今年の平和記念式典にもこれまでと同様にロシアのプーチン大統領に招待状を送る予定でしたが、政府と協議した結果「ロシアのウクライナ侵攻への日本の姿勢について誤解を生む」などとして招待しないことを決めました。
ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦を受け、広島市が8月6日の平和記念式典にロシアの代表を招待しないと明らかにしたことをめぐり、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使は25日、「恥ずべき措置」だとしてSNSで日本側を非難しています。
ガルージン氏は、「ロシアがウクライナでの核兵器使用をもくろんでいるというばかげた作り話を、恥知らずにもあらゆる手を尽くして拡散している」として日本を批判しました。
また、式典に招待されなかったことについて、「核不拡散と核兵器の最終的な廃絶を目指すリーダーである国が、このような状況にあることは注目すべきだ」と反発しました。