孤児や貧しい人々を思いやる、ラマダン月の祈り
(last modified Tue, 26 Mar 2024 05:40:47 GMT )
3月 26, 2024 14:40 Asia/Tokyo
  • 孤児や貧しい人々を思いやる、ラマダン月8日の祈り
    孤児や貧しい人々を思いやる、ラマダン月8日の祈り

イスラム暦ラマダン月には毎日異なる祈りがありますが、8日目に行われる祈りには、孤児に優しくする、貧しい人々に食事を施す、寛大な人々と交際するなどの教えが含まれています。

コーランが預言者ムハンマドに啓示された月にあたるラマダン月は、神との関係を築くのに最適な時期の一つとされています。

神の命により得た魂を浄化するためにラマダン月の日中に断食を行う人は、その祈りがより聞き届けられやすい状態にあるとされており、この時期に神に捧げる祈りや願い事の種類は、非常に重要視されます。

預言者ムハンマドに関する伝承・ハディースを完全に諳んじていた預言者一門の者たちは、ラマダン月の祈りを、信徒たちが現世および来世の望みをかなえる最善の方法であると説明していました。

ラマダン月8日の祈りは、次のようなものです。

 

ラマダン月8日の祈り

 

「慈悲深く慈愛あまねき神の御名において

神よ、この月の間に私たちが、孤児たちに優しくし、食事を施し、はっきりと挨拶し、寛大な人々と交際できるようにしてください、願いを持つ者たちの避難所たる御方よ」

この祈りの文句を詳しく解説していきましょう。

1. 孤児への注目

イスラム教およびそれ以前の宗教においては、孤児に関する事柄が取り上げられ、彼らに優しく接するよう求められてきました。

 

孤児への注目

 

コーランのバカラ(牝牛)章第83節でも、神は次のように語っています;

「われがイスラエルの子孫と、約束を結んだ時のことを思い起せ。(その時われは言った。)『あなたがたはアッラーの外に、何ものも崇めてはならない。父母に孝養をつくし、近親、孤児、貧者を規切に扱い、人々に善い言葉で話し、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさい』」

孤児への接し方には、気を付けるべき点があります。

預言者ムハンマドは、次のように語っています。

「孤児に対しては、父親のように優しく接しなさい」

また、次のようにも語っています。

「天国には喜びの家と呼ばれる場所があるが、そこに行けるのは信徒の孤児たちを喜ばせた者だけである」

この「孤児たちを喜ばせる」ということは、金銭的援助に限ったことではありません。もちろんそれも一部ではありますが、孤児が社会において役立ち、尊敬・信頼される人格を形成できるよう、さまざまな年齢で迎える危機を乗り越える手助けをすることも、彼らが大きく必要としている事柄の一つなのです。

2. 飢えた人々への食事の施し

断食を行う人は、空腹を味わうために、他者の飢えによる苦しみをよりよく理解することができます。

そのためにイスラム教では、飢えている人々へ食事を施すように説いているのです。

 

飢えた人々への食事の施し
 

 

シーア派6代目イマーム・サーデグは、これを神からの赦しにつながる行為だと語っています。

「飢えた人々を満腹にさせることは、罪の赦しにつながる」

3. はっきりとした挨拶

挨拶は、預言者ムハンマドも行っていた、伝統的かつ道徳が求める行為であり、社会の人々の心をつなぐのに役立ちます。

挨拶には、次の2つの効果があります。

・相手の健康を願う

・挨拶する側からの危害を加えないというメッセージを相手へ伝える

このように、挨拶は間違いなく、社会の人々の間に心のつながりを生み出し、それを深めていくのです。

 

飢えた人々への食事の施し
 

 

イマーム・サーデグは、次のように語っています。

「まずはじめに挨拶し、それから話を始めなさい」

ハディースにも、次のようにあります。

「”けちな者”とは、挨拶を惜しむ者のことである」

預言者ムハンマドは、挨拶をしない者がいれば「けちな者」だとしたのです。これはまた、道徳感の低さを示す行動でもあります。

預言者はさらに、次のようにも語っています、

「挨拶を明確にするということは、その行為を惜しまないことである」

このように、祈りの文句のこの部分は、大声で挨拶をするということではなく、総じて私たちが出会う人々に挨拶をすることを意味しているのです。

4. 寛大な人々との交際

人は、本質的に社会的な生き物であり、常に他者と交流しています。

イマームたちの語るところによれば、最後の審判の際に人は、どのような人々とつきあっていたかを質問されるということです。

預言者ムハンマドは、次のように語っています。

「人は、友人や自身の身近な人の宗教に基づいた者となる」

そのため、つきあう相手がどのような人々かは重要なことだと言えます。

イスラム教は、尊敬すべき寛大な人々と交際するよう勧めています。

預言者はまた、次のようにも語っています。

「最も幸運な者は、尊敬すべき寛大な人々と交際している者である」

なぜなら、人はそのような交際でより心身が美しくなるからです。

これらすべての願いは、それを抱く者たちの避難所たる至高の神の恵みによって叶えられるのです。

 


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