7月 05, 2022 21:02 Asia/Tokyo
  • パレスチナ人ジャーナリスト、シリーン・アブ・アクラ氏
    パレスチナ人ジャーナリスト、シリーン・アブ・アクラ氏

アメリカ国務省が、数々の明白な法的証拠の存在にもかかわらず、声明を発表して「カタール国営衛星通信アルジャジーラのパレスチナ人女性記者シリーン・アブアクレ氏の殺害は意図的なものではなかった」と表明しました。

こうした表明とは逆に、この女性記者の殺害は数百万人ものテレビ視聴者らの面前で公然と行われており、アメリカ国務省からのこのような見解表明は世界の数千万人もの人々の常識や認識に対する明白な侮辱にほかなりません。

トランプ前米政権がこのような見解表明を行っていたなら、それほど驚くに値しなかったかもしれません。しかし、バイデン民主党現政権の国務省によるこの見解表明は、大きな疑問を呼ぶものです。この問題は改めて、シオニスト政権イスラエルに対しバイデン政権がトランプ前政権の方針を踏襲している、という事実を裏付けることとなりました。

このことから、アブアクレ氏殺害が故意によるものではなかったとする米国務省の報告は、民主党の原則、さらにはメディアや言論の自由の支持という主張に反し、しかも完全に自分の利益を考慮する偏見的な的なものです。

アブアクレ氏は、アルジャジーラテレビという公式の場で、占領下のパレスチナにおけるシオニスト政権の犯罪ぶりを公に開示した、という理由で暗殺されました。

実際、イスラエルはアブアクレ氏の意図的殺害により、アブアクレ氏の情報開示に対する自らの恨みを晴らし、さらにはアブアクレ氏のやり方を続けることについて、占領地からの報道にあたるメディアやジャーナリストに対し警告を与え、これによって、メディアの沈黙の中で、より自由に自らの拡張主義的な行動を続けるようにしています。

このことから、現存する証拠資料によれば、アブアクレ氏はヨルダン川西岸・ジェニンでのイスラエル軍の作戦開始の直前に殺害され、彼女とその同行スタッフが16発もの銃弾を受ける前には、現場では銃撃は全く発生していなかったことが判明しています。そのときにも、多くの考察ではアブアクレ氏への銃撃は、同士の殺害を狙って行われたものとされています。

サウジアラビアのムハンマド皇太子が、同国の反体制派ジャーナリストのジャマール・カショギ氏の殺害により反対派を弾圧し、自らの政権占有や独占的な政策に反旗を翻させないようにしたと同様、イスラエルもアブアクレ氏の殺害により、ほかのジャーナリストに、パレスチナ問題や、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムおよびアクサーモスク関連のイスラエルの政策について報道させないよう仕組んだことは明らかです。

このことから、バイデン米民主党現政権は選挙運動時のスローガンとは逆にカショギ氏殺害の追跡を断念したと同様、アブアクレ氏殺害に関しても、イスラエル政府による事実の歪曲や捏造に屈した形となりました。

総括すると、アブアクレ氏殺害事件に関する、欧米諸国の当局やメディアのアプローチは再び、メディアや言論の自由への支持という彼らの主張に疑問符をつけ、そして改めて、人権という概念が彼らにとっては、イスラエル政府の政策や利益に反するものにならない限りは重要で意味があるという事実を証明したことになります。そして、この利益が脅かされたたびに犠牲にされなければならないのは人権と人道上の原則です。ただし、これらの問題が他国やライバル国で発生した場合、話は別であり、その際にこうした問題は毎日脚光を浴び、注目を集めているのが現状なのです。

 


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