サウジでのジャーナリスト拘束が、2017年以降に3倍に増加
(last modified Thu, 15 Dec 2022 07:16:25 GMT )
12月 15, 2022 16:16 Asia/Tokyo
  • ムハンマド皇太子
    ムハンマド皇太子

フランス・パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織「RSF国境なき記者団」が、サウジアラビアでの報道の自由の制限について触れ、「同国では2017年以降、ジャーナリストの逮捕・拘束が3倍に増加していることが判明している」としました。

サウジ関連の情報サイト「サウジ・リークス」によりますと、RSFは「サウジアラビアでは、2017年にムハンマド皇太子が政権を掌握して以来、政府の刑務所に収監されるジャーナリストやブログ執筆者の人数が3倍以上に増えている」と発表しています。

この報告によりますと、サウジは2022年、報道の自由度の面で180カ国中166位にあるということです。

RSFはまた、「サウジアラビアには自由なメディアは存在しない。同国のジャーナリストは外国にいても厳重に監視されており、サウジのメディアほぼ全てが当局によって管理されている。しかも、自己検閲の空気がSNS上のメディア媒体にも浸透している」としました。

この報告によりますと、民間部門から資金を確保しているメディアでさえ、サウジの公式メディアのアプローチに沿うことが強要されており、同国のイエメン戦争関与を批判したり、シオニスト政権イスラエルとの関係正常化に反対するような者は、誰であれ背信行為を行ったと見なされるということです。また、中立の立場を取っているジャーナリストたちも、ムハンマド皇太子の賞賛という公式メディアの方針に従わなければ、非難・糾弾の矛先を向けられます。

サウジにおけるサイバー犯罪・対テロ法や刑事罰法は、ジャーナリストに対し、政治問題に関する見解表明や批判を一切控えるよう義務付けており、違反すれば確実に逮捕・拘束されるとしています。

サウジ政権の刑務所に収監中のジャーナリストの多くは、政府側の利己的な方針により一方的に拘束されています。また、サウジは依然として、国内外でのジャーナリストの動向の追跡・監視を目的とした、複数の諜報手段を行使しています。

こうした中、サウジ当局はジャーナリストの逮捕拘束だけでは飽き足らず、逮捕者の拷問や殺害という行為に及んでいます。その代表例が、同国の反体制派ジャーナリスト、故ジャマール・カショギ氏です。同氏は国内情勢批判を理由に、トルコ・イスタンブールにあるサウジ領事館内で惨殺されました。

複数の人権団体は今や、サウジ当局者が人権や自由の残忍な侵害において完全に責任があるとみなしています。

ムハンマド皇太子は2017年に政権を掌握して以降、サウジ国内において残忍で弾圧的な統治の見本を示し続けています。このため有識者らは、ムハンマド皇太子が王位に就こうと多くの動きを見せていることからも、反体制派や活動家はもちろんのこと、サウジ王族やムハンマド皇太子の側近たちでさえも、弾圧という同皇太子の大鉈から逃れることはできないだろう、と推測しています。

 


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