国連機関が示したガザ経済の厳しい見通し
(last modified Sat, 03 Feb 2024 10:09:13 GMT )
2月 03, 2024 19:09 Asia/Tokyo

国連機関は、パレスチナ・ガザの経済が今回の戦争前の水準に戻るのには今世紀末までかかる可能性があるとしました。

シオニスト政権イスラエルがガザに対する戦争を始めて120日が経過しました。ガザ保健省の発表によれば、同地区へのシオニスト政権軍の攻撃が続けられていることで、戦争開始以降に殉教した人々の数は2万7000人を超え、さらに6万6000人以上も負傷しているということです。

 

マーティン・グリフィス国連人道問題担当事務次長は、パレスチナ情勢を検討する安全保障理事会会合において、次のように述べています:

「日を追うごとに増えているのは、ガザの人々の悲惨さや苦しみのみである。(ガザ南部)ハーンユニスの周辺で行われている激しい戦闘は、家を追われた数千人の人々がラファに向けて逃げる原因となっている。ガザ南部には現在、ガザ全人口220万人のうち半数以上が集まっているが、ここへの攻撃がさらに拡大することは、そこにいる人々の貧困を増大させ、近隣諸国に大量の避難民を流れこませる結果になるだけだ」

 

このような事柄は、シオニスト政権が始めたガザに対する戦争が人々に及ぼした影響ですが、これに加えてガザには、深刻な経済的影響ももたらされています。

UNCTAD・国連貿易開発会議の報告によれば、イスラエル政権の軍事作戦によってもたらされた破壊はガザを居住不能な場所に変えるほどのものであり、今年1月末までに崩壊・損壊した建物は、同地区の建築物全体の50%に相当する3万7379棟であったということです。

この報告の作成に加わったUNCTADの経済専門家、ラーミー・アル・アッゼ氏はこれに関して、「新たな情報によれば、ガザの建物の50%が崩壊・損壊しており、同地区での軍事作戦が続けられれば、その割合はさらに増加する」と述べています。

また、前述のグリフィス氏も、ガザの住宅の60%以上が崩壊・損壊したとした上で、これまでに同地区で破壊された建物には住宅だけでなく医療施設・教育施設なども含まれているとし、「ガザにある36の病院のうち、機能しているのは14病院のみであるが、これらの病院も、完全には機能していない」としています。

ガザではさらに、建物に加えてインフラもほぼ完全に破壊されています。

同地区は、今回のシオニスト政権による全面戦争でこのような状況に置かれる前からも、2006年から全面的に封鎖され、世界最大の青空刑務所と呼ばれていました。このような状況により、ガザでは住民の約80%が今回の戦争前から国際支援を必要としていましたが、4カ月続く今回の戦争で、事態は考えうる最悪なものへと変わりました。

UNCTADの報告によれば、ガザ経済は2023年の第1~第3四半期にかけて4.5%下落していたものの、今回の戦争後に経済の下落はさらに加速し、GDP・国内総生産は24%減、GNI・一人当たりの国民総所得は26.1%減となり、さらに失業率も80%まで上昇しています。

同機関は、現在の状況のためにガザ経済の以前の水準までの回復は今世紀末までかかるとし、ラーミー・アル・アッゼ氏も、「ガザ経済が以前の水準に戻るには、2092年までかかると見られる。それも、ガザの2007年から2022年までの平均年間成長率0.4%を基準として、さらに現在の戦争が即座に終結すると想定した上での見通しだ」と述べています。

 


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