視点;シャーエブラーヒーム解説員
紅海の情勢不安の元凶たるアメリカ
西アジアの抵抗勢力と独立諸国の政府は、西アジアと紅海地域におけるアメリカおよびシオニスト政権イスラエルが形成する枢軸に反対し続けています。その一方で、アメリカとその同盟国は軍事介入の続行により、地域における情勢不安の主な原因となっています。
昨年10月7日以来、地域の抵抗勢力はシオニスト政権及び、米政府内の主要なシオニスト支持者の好戦主義的行動に大々的に抵抗しています。イエメン軍もパレスチナ抵抗勢力と同国のガザ住民を支援すべく介入しており、イエメン海軍はイスラエル占領地に向かう船舶の航行を阻止するとともに、米国の放火攻撃にも報復しています。
ここ数週間、イエメン軍はガザにおけるパレスチナ国民の抵抗を支援すべく、紅海とバブ・エル・マンデブ海峡においてイスラエル船籍もしくは、イスラエル占領地を目的地とする船舶数隻を攻撃しました。その一方で同時に、イエメン軍はそのほかの船舶についてはアデン湾と紅海の航行は自由であり、その海上安全が保障されていると強調しています。
イエメン軍がパレスチナ国民の抵抗への支援を目的にここ数週間介入して以来、米英はイエメン領を数回にわたり攻撃してきました。
イエメン救国政府外務省は今月5日、声明を発表し、「紅海における船舶の安全は完全に保障されている。だが、イエメンに対する侵略に沈黙していることはできない。また、このことはガザとパレスチナへの支持という我が国の立場には影響しない」と強調しました。
イエメンのアッズィー外務次官は、「もし地域紛争の戦火が燃え盛れば、それは地域におけるアメリカの覇権の終焉を意味するだろう」と語りました。
サウジアラビアを含む地域諸国の政府は、米国が思惑とする多国籍有志海軍連合に協力する意向を示しておらず、アメリカに同盟するヨーロッパ各国政府も、アメリカと同様にガザにおけるシオニストの犯罪への幇助を回避すべくこの有志連合への協力を拒否しています。
紅海とバブ・エル・マンデブ海峡は、世界の海運会社にとって物資輸送の戦略的な位置づけにあり、エネルギー輸送を円滑化するルートでもあります。米国とこれに同盟する西側諸国がこの海路で緊張を生み出せば、ペルシャ湾岸諸国からの石油・天然ガスの輸出に依存している西側の巨大企業に損害が生じることになります。
危機扇動の継続を狙ったイエメンの民間標的に対する米軍攻撃の継続は、米当局者にとって深刻な結果をもたらすと見られます。それは、彼らが自らの目的達成のために常に軍事手段を使用しているからです。しかし今回は、アメリカの軍事目的およびアメリカの軍事基地こそが、地域の抵抗勢力や独立諸国の政府にとって射程圏内の狙いやすい標的となると思われます。